18日に対話型鑑賞のファシリテーターをやってくださった、会員からのレポートが届きましたので、ご覧ください。
第1回 絵をみて話そう レポート 正田 裕子
日時:平成25年5月18日(土)
場所:浜田市世界こども美術館(Hamada Children’s Museum of Art)
展示:「やなせたかしの世界」展
鑑賞作品:「デユエットでいななくや朝の海」(2003年)やなせたかし作
「朝日の海のアンパンマンバルーン」(不明 年)やなせたかし作
参加者:中学生11人・大人10人(うち会員6名)
今回の振り返り
とても楽しかったです!!特に中学生の鑑賞者の発言がたくさん聞けたのが嬉しかったです。最初は、アイスブレークをどうしようかとか、初めてお会いする大人の鑑賞者がいらっしゃるな…とか思って緊張していましたが、中学生の方の発言をきっかけに大人の方の意見も交えていただき、自分自身が皆さんの意見を聴くのが楽しいひと時になり、感謝しています。
一作目の「デユエットで…」については、全体には青紫がかった寒色を中心に静かな海と夜明け間近の夜空が広がる風景の中に男女のシルエットとそう離れてないところに表情のわかる馬が二頭描かれた作品です。対になるモチーフが二人の男女、白馬と黒馬のペア、背景には、月と日の出、海と岸部(大陸)と幅広い読み取りができそうな作品だと感じ、一作品目に選びました。
最初から、「海が広がっていてその近くに二人の男女がいて、近くに馬が二匹います」「背の高さが高い人と低い人がいるので高いほうが男性、低いほうが女性だと思いました。」などと見えたことを根拠に考えたことを伝えてくれました。対になるモチーフについても早い段階からそれぞれ話題にあがり、海の水平線から光が差し込んでいるのは、「朝日」、「夕日」それぞれに見えるということでした。「夕日」に感じられる鑑賞者と「朝日」に見える鑑賞者では、それぞれ思い描いた物語が異なり、「遠くから来た二人が、馬に乗ってやってきて夕焼けの海を見ている」とか手綱のつけられていない馬が静かに立っている姿から、「(野生の)馬なら人を襲ってもおかしくないけれど、近くで待っている姿から、人が馬に乗ってきたと思う」とか「朝早くに馬に乗ってやってきた二人が朝日を見ながら一日を迎え希望に満ちた思いでいる」などと作品から受ける物語を聞かせてもらいました。また、「二人の人も親しい間柄だけど二頭の馬も仲が良い、それは黒い馬が白い馬に寄り添っているように見えるから」「人と人や馬も互いに仲が良いけれど人と馬の関係もとても近くてよい関係である」などと持ち前の感性や思いを発言してくださいました。また、描かれている人たちの背景である光景についても「向こうの海の波の様子から波音も静かな音が聞こえ続け、静かな世界が広がり続けているようだ」とか「星空の中の月と夜明け前の太陽が、画面の中に描かれていて、新しい一日がつながる場面が描かれている。」などの意見がありました。その大人の意見も聞きながら、中学生の鑑賞者が「人々と動物と両方の存在が大切で両方とも同じ重みでバランスをとりながら生きている姿を描いている」など”生き物の命の尊さ”であったり”支え合い共存する関係”に気づくなど、中学生の深い「生」への思いを触れて感動しました。また、作品のキャプションには「朝日」という言葉があるにも関わらず、主体的に「夕日」という見方ができるのも素敵なことだと感じました。せっかく、大人の鑑賞者からも発言がかなり出たので、もっと「自然」についての思いや、「平和」や「時間の永遠性」、「死生観」など深められることができたかも…という反省が残りました。どんなふうに掘り下げていけばよかったのか、まだまだ課題が残りました。
二作目「朝日の海のアンパンマンバルーン」は、やなせたかし氏の代表的な作品「アンパンマン」を題材にした作品でした。2作品目をどの作品にしようか正直迷っていましたが、「やなせたかし」氏といえば、長年の制作活動の中で遅咲きの作家であることや、やなせ氏を世に表してくれる代表作となったアンパンマンの中に作者の生き方、考え方が込められていると思い、鑑賞者の皆さん共に味わえたらいいなあと思い選びました。
一作品目でウオーミングアップできたためか、一、二分作品を見た後にさっそく中学生が造型的な要素から印象を発言をしてくれました。「オレンジ色の背景が印象的でとても暖かくなります。体も暖かくなるし、気持ちもあったかくて幸せな気持ちになります。」というスタートでした。そこを切り口にして、アンパンマン(顔型)バルーンがさんさんと輝く太陽の上を飛んでいく状況に一人一人が物語を紡いでいってもらった感じでした。
この作品も太陽が「朝日」なのか「夕日」なのかでそれぞれ読み取りが違いましたが、「夕日」なら「人助けをして充実した一日を達成感を感じながら帰っていくところである」「バルーンの笑顔、特に口のほほえみや赤みのあるふっくらとした頬から達成感を感じる」という意見もあり、「朝日」と見た人は「これからおなかをすかせた人など困っている人を探しに行く」とアンパンストーリーと関連付けて考えていかのようでした。その点では見えているものだけでなく、他の情報に左右されることも大きいと感じました。
その中である中学生が「その笑顔は作り笑いでいろいろストレスを抱えながらも一日頑張って生きている表情のように思います。」「太陽の光が下からあたっていることから頬の赤みもどんより暗い赤に見えるから」と根拠も伝えてくれました。独創的な見方でしたが、その場で彼女の見方を共有する雰囲気もあり、また作品自体にも単純に勧善懲悪の善を表すというよりは、そのヒーローにも人間くさい悲しさや苦しさをも感じられたのではないかと思いました。大人の鑑賞者の方からは、「構図上、太陽とアンパンマンが画面の中心線上に縦に配置され、二つの存在が生命を生かしてくれる存在であったり、困っている人を助けてくれる絶対的な揺るぎない存在であることをあらわしているように思う。」と見えている造型的な要素からの読み取りがなされました。それらを聞いて最初に発言をしてくれた鑑賞者が「太陽に向かい希望をもって生きている姿」と締めくくってくれました。見えている要素が少なく、作品自体が小さく、バルーンにつながっているものが紙飛行機に見えたり、鳥に見えたり(実際は三つの旗)、また気球のかごに乗っている姿が、アンパンマンとバイキンマンにも見えたり(実はジャムおじさんとバタ子さん)と実際に描かれている姿と違う見方をして対話が進んでいったところがありました。鑑賞者すべてがそういう見方をしたわけではないのですが、キャラクターの影響が個人の見方に影響を与えてしまったり、一作目の人類と動物のように「善悪の共存」的な読み方が影響を与えたのかもしれないとも思いました。
自分の反省点としては、作品の大きさに対して人数が多かったので、作品の近くに行って「観る」時間を保障しなくてはならないこと。複数作品を見る場合、どちらを先にすればよいか考えること。そして、最大の反省は、鑑賞者の読み取りに自分の解釈(読み取ってほしいと願っていること)を載せずに、鑑賞者の意見をしっかり聞き取り、言い換え(パラフレーズ)することかなと思っています。
鑑賞者の方に楽しんでいただくことができることを目標に実践に取り組んでいきたいです。鑑賞者の皆さんからすべての意見を言ってもらうことができなかったことを反省材料に、次回はたくさん意見を言っていただけるように、実践を積んでいきたいと思います。皆さんと素敵な時間を過ごさせていただくことができ感謝感謝です!!
以上です。しっかりと実践の振り返りをしていて素晴らしいと思います。今後も会員同士が研鑽を積み、ファシリテーターとしてのスキルを上げたいと思います。
また、美術館の館長さんから、もっと、一般来館者にこの活動に参加してもらえるように働きかける必要があるとのご指摘を受けましたので、参加者を増やしていく活動にも取り組みたいと思います。
興味のある方は、どうぞ遠慮なくお越しください。お待ちしています。
第1回 絵をみて話そう レポート 正田 裕子
日時:平成25年5月18日(土)
場所:浜田市世界こども美術館(Hamada Children’s Museum of Art)
展示:「やなせたかしの世界」展
鑑賞作品:「デユエットでいななくや朝の海」(2003年)やなせたかし作
「朝日の海のアンパンマンバルーン」(不明 年)やなせたかし作
参加者:中学生11人・大人10人(うち会員6名)
今回の振り返り
とても楽しかったです!!特に中学生の鑑賞者の発言がたくさん聞けたのが嬉しかったです。最初は、アイスブレークをどうしようかとか、初めてお会いする大人の鑑賞者がいらっしゃるな…とか思って緊張していましたが、中学生の方の発言をきっかけに大人の方の意見も交えていただき、自分自身が皆さんの意見を聴くのが楽しいひと時になり、感謝しています。
一作目の「デユエットで…」については、全体には青紫がかった寒色を中心に静かな海と夜明け間近の夜空が広がる風景の中に男女のシルエットとそう離れてないところに表情のわかる馬が二頭描かれた作品です。対になるモチーフが二人の男女、白馬と黒馬のペア、背景には、月と日の出、海と岸部(大陸)と幅広い読み取りができそうな作品だと感じ、一作品目に選びました。
最初から、「海が広がっていてその近くに二人の男女がいて、近くに馬が二匹います」「背の高さが高い人と低い人がいるので高いほうが男性、低いほうが女性だと思いました。」などと見えたことを根拠に考えたことを伝えてくれました。対になるモチーフについても早い段階からそれぞれ話題にあがり、海の水平線から光が差し込んでいるのは、「朝日」、「夕日」それぞれに見えるということでした。「夕日」に感じられる鑑賞者と「朝日」に見える鑑賞者では、それぞれ思い描いた物語が異なり、「遠くから来た二人が、馬に乗ってやってきて夕焼けの海を見ている」とか手綱のつけられていない馬が静かに立っている姿から、「(野生の)馬なら人を襲ってもおかしくないけれど、近くで待っている姿から、人が馬に乗ってきたと思う」とか「朝早くに馬に乗ってやってきた二人が朝日を見ながら一日を迎え希望に満ちた思いでいる」などと作品から受ける物語を聞かせてもらいました。また、「二人の人も親しい間柄だけど二頭の馬も仲が良い、それは黒い馬が白い馬に寄り添っているように見えるから」「人と人や馬も互いに仲が良いけれど人と馬の関係もとても近くてよい関係である」などと持ち前の感性や思いを発言してくださいました。また、描かれている人たちの背景である光景についても「向こうの海の波の様子から波音も静かな音が聞こえ続け、静かな世界が広がり続けているようだ」とか「星空の中の月と夜明け前の太陽が、画面の中に描かれていて、新しい一日がつながる場面が描かれている。」などの意見がありました。その大人の意見も聞きながら、中学生の鑑賞者が「人々と動物と両方の存在が大切で両方とも同じ重みでバランスをとりながら生きている姿を描いている」など”生き物の命の尊さ”であったり”支え合い共存する関係”に気づくなど、中学生の深い「生」への思いを触れて感動しました。また、作品のキャプションには「朝日」という言葉があるにも関わらず、主体的に「夕日」という見方ができるのも素敵なことだと感じました。せっかく、大人の鑑賞者からも発言がかなり出たので、もっと「自然」についての思いや、「平和」や「時間の永遠性」、「死生観」など深められることができたかも…という反省が残りました。どんなふうに掘り下げていけばよかったのか、まだまだ課題が残りました。
二作目「朝日の海のアンパンマンバルーン」は、やなせたかし氏の代表的な作品「アンパンマン」を題材にした作品でした。2作品目をどの作品にしようか正直迷っていましたが、「やなせたかし」氏といえば、長年の制作活動の中で遅咲きの作家であることや、やなせ氏を世に表してくれる代表作となったアンパンマンの中に作者の生き方、考え方が込められていると思い、鑑賞者の皆さん共に味わえたらいいなあと思い選びました。
一作品目でウオーミングアップできたためか、一、二分作品を見た後にさっそく中学生が造型的な要素から印象を発言をしてくれました。「オレンジ色の背景が印象的でとても暖かくなります。体も暖かくなるし、気持ちもあったかくて幸せな気持ちになります。」というスタートでした。そこを切り口にして、アンパンマン(顔型)バルーンがさんさんと輝く太陽の上を飛んでいく状況に一人一人が物語を紡いでいってもらった感じでした。
この作品も太陽が「朝日」なのか「夕日」なのかでそれぞれ読み取りが違いましたが、「夕日」なら「人助けをして充実した一日を達成感を感じながら帰っていくところである」「バルーンの笑顔、特に口のほほえみや赤みのあるふっくらとした頬から達成感を感じる」という意見もあり、「朝日」と見た人は「これからおなかをすかせた人など困っている人を探しに行く」とアンパンストーリーと関連付けて考えていかのようでした。その点では見えているものだけでなく、他の情報に左右されることも大きいと感じました。
その中である中学生が「その笑顔は作り笑いでいろいろストレスを抱えながらも一日頑張って生きている表情のように思います。」「太陽の光が下からあたっていることから頬の赤みもどんより暗い赤に見えるから」と根拠も伝えてくれました。独創的な見方でしたが、その場で彼女の見方を共有する雰囲気もあり、また作品自体にも単純に勧善懲悪の善を表すというよりは、そのヒーローにも人間くさい悲しさや苦しさをも感じられたのではないかと思いました。大人の鑑賞者の方からは、「構図上、太陽とアンパンマンが画面の中心線上に縦に配置され、二つの存在が生命を生かしてくれる存在であったり、困っている人を助けてくれる絶対的な揺るぎない存在であることをあらわしているように思う。」と見えている造型的な要素からの読み取りがなされました。それらを聞いて最初に発言をしてくれた鑑賞者が「太陽に向かい希望をもって生きている姿」と締めくくってくれました。見えている要素が少なく、作品自体が小さく、バルーンにつながっているものが紙飛行機に見えたり、鳥に見えたり(実際は三つの旗)、また気球のかごに乗っている姿が、アンパンマンとバイキンマンにも見えたり(実はジャムおじさんとバタ子さん)と実際に描かれている姿と違う見方をして対話が進んでいったところがありました。鑑賞者すべてがそういう見方をしたわけではないのですが、キャラクターの影響が個人の見方に影響を与えてしまったり、一作目の人類と動物のように「善悪の共存」的な読み方が影響を与えたのかもしれないとも思いました。
自分の反省点としては、作品の大きさに対して人数が多かったので、作品の近くに行って「観る」時間を保障しなくてはならないこと。複数作品を見る場合、どちらを先にすればよいか考えること。そして、最大の反省は、鑑賞者の読み取りに自分の解釈(読み取ってほしいと願っていること)を載せずに、鑑賞者の意見をしっかり聞き取り、言い換え(パラフレーズ)することかなと思っています。
鑑賞者の方に楽しんでいただくことができることを目標に実践に取り組んでいきたいです。鑑賞者の皆さんからすべての意見を言ってもらうことができなかったことを反省材料に、次回はたくさん意見を言っていただけるように、実践を積んでいきたいと思います。皆さんと素敵な時間を過ごさせていただくことができ感謝感謝です!!
以上です。しっかりと実践の振り返りをしていて素晴らしいと思います。今後も会員同士が研鑽を積み、ファシリテーターとしてのスキルを上げたいと思います。
また、美術館の館長さんから、もっと、一般来館者にこの活動に参加してもらえるように働きかける必要があるとのご指摘を受けましたので、参加者を増やしていく活動にも取り組みたいと思います。
興味のある方は、どうぞ遠慮なくお越しください。お待ちしています。