夏季研修会を開催しました。
8月17日18日とみるみるの会主催の夏季研修会を開催しました。今回の研修会は安来市教育研究会と出雲市教育研究会との併催で、多数の先生方が参加してくださいました。安来市の先生方は午前中の対話型鑑賞の実践研修に参加。出雲市の先生方は午前に続いて午後も参加していただき、ACOP(対話型鑑賞法)の理念や鏡のWS、ブライイドトークWSの活動を行いました。最後に1日の研修の振り返りをグループ討議し、全体でシェアしました。締めくくりに「アクション宣言」を行い、2学期に向けてやる気を高めていただきました。
朝は、土砂降りの雨の中、足元も悪かったのですが、みなさんの熱気が伝わったのか、閉講式の頃には雨も上がり、研修を気持ちよく締めくくることができました。
では、最後までご参加くださった14名の参加者のみなさんのアンケートの結果と感想、そして、「質問紙」に寄せられた質問にも回答したいと思います。
研修評価
A 今日の研修は有意義だった ④11名 ③3名 ②0名 ①0名
B 2学期からの授業に取り入れたい ④9名 ③4名 ②0名 ①0名 無回答1名
C 研修内容で1番よかったものは?(複数回答)
対話型鑑賞の実践(4名) ACOP(対話型鑑賞)レクチャー(3名)
鏡のWS(6名) ブラインドトーク(6名) 振り返りの協議(4名)
ひまわりでの自己紹介(1名) 全部(1名)
D 今回の研修内容に興味があった ④12名 ③2名 ②0名 ①0名
E このような研修会があれば、また、参加したい ④11名 ③3名 ②0名 ①0名
F 図工・美術で研修を受けてみたいものは?
・活動の振り返りについて ・低学年における絵画指導 ・子どもの思いを引き出す絵の描き方 ・造形でのアイディア ・絵画の指導法
・実技研修 ・教材開発 ・PCの有効活用
研修の感想
☆たくさんの意見や感想を聞けて、とても充実した時間になりました。美術に限らず、みて話すこと、ことばにする能力は大切だなと改めて感じることができました。(中学校)
☆鏡のWS、ブラインドトークは今まで体験したことがなく、カルチャーショックを受けました。物事を認識したり理解するってことは、思い込み(目だけ、耳だけの情報では不十分)をつくらないこと。会話を通して理解しあえるのですよね。それを練習していける大切な授業になると思います。(中学校)
☆小学校の先生との会話で、小学生、中学生の感じ方や発表意欲の質が変化があることを実感できよかった。(中学校)
☆しばらく図工から遠ざかっているので、最近の様子が知りたくて参加した。図工という教科に限らず、いろいろな場面で必要となってくるコミュニケーション力なのでぜひ、他の教科の中にも取り入れてみたいと思った。大切なのは対話!(小学校)
☆今までの鑑賞教育がとても恥ずかしく思いました。今日の研修を受けて、2学期からできそうなネタをたくさんいただきました。自分自身も図工がなかなか苦手意識をもっていましたが、今日のお話を聞いて、自分も楽しく図工ができそうで、早く図工がしたくてたまらなくなりました。(小学校)
☆今日の研修のねらいの一つだったと思いますが、参加者のみなさんの考えを聞いて、いろいろな考え方、見方があるのだなと実感しました。どうしても思い込みがちになるので、いい刺激になりました。2学期にはマニュアルにならないように実践してみたいです。
☆鑑賞学習を通して、コミュニケーション学習ができることを改めて感じました。道徳での実践を併せて考えることができました。(小学校)
☆実践できそうなものばかりで、2学期から早速使いたい。とくに対話型は全教科でとり入れたい。(小学校)
☆ACOPについて一度研修を受けたが、再度確認できて、今後の指導や作品鑑賞に生かしたい。(小学校)
☆対話型の鑑賞は研修で体験したりしてきたが、今回の鏡のWSやブラインドトークで改めて見ること、伝えることを考え直すことができました。自分と他者との見方の違い、感じ方の違いにも気付くことができたことも新鮮な体験でした。(中学校)
☆同じ教科の教員がほとんどいない職場なので、こういう研修があると心強いです。小さな悩みでも聞いてもらえるので、2学期からの活力になります。若い方のアイディアも新鮮です。(中学校)
☆楽しかったです!子どものようですが・・・。子どももたのしくさせなくてはいけませんね。(中学校)
☆より多くの先生方と対話型鑑賞、コミュニケーション教育についてお話を聞くことができました。大変勉強になりました。アクティブラーニング、探究型学習との関係も興味深かったです。(一般)
参加者からの質問
☆作品選びについて
・このことについて詳しく触れようとすると、とてつもない紙面を要します。それはVTS(ACOPのもとになっている理念)に関わることなので、一言で回答できるものではないからです。誤解があってもいけないからです。
一般的には「どんな作品でもできる」と言われますが、限られた授業時数の中での鑑賞の時間になると思うので、精選する必要があると思います。みるみるの会員が使用し、児童・生徒からの手応えのある作品は、ゴッホの「椅子」「古靴」をはじめ、このブログで実践紹介しているものが「はずれ」がないと思います。
・児童生徒の作品ではどうか?と聞かれますが、やはり同じ1時間の鑑賞の時間なのであれば、名作をみせた方がよいと思います。対話型鑑賞で一人の児童生徒の作品について互いに語り合うことには困難があることは小中学校の先生ならご想像いただけると思います。
・実際に対話型鑑賞を行おうと思われ、どんな作品がよいのかと言うことは、児童生徒の学齢にもよるので、このブログに問い合わせのメッセージを送っていただけると個別に作品紹介できると思います。
☆評価について
・評価についても紙面では語りつくせない部分や誤解を生じる危険もあるので、個別に対応したいと思いますが、基本的に「ねらい」を明確にしておけば「できる」と思います。また、学習指導要領では中学校では観点別評価でB評価をめざして学習活動を行うようにと言われているので、B評価をどのくらいに設定して鑑賞を行うのかを明確にしておくとよいと思います。
・また、あらかじめ中学生であれば「ねらい」を示し、そのねらいに迫る鑑賞になるように促しながら活動を行えば、評価も自ずとできるのではないかと思います。
・この件に関しても、具体的な事例でご相談いただければアドバイスできると思いますので、メッセージをお寄せください。
☆池 大雅「蘭亭曲水図屏風」について
「ハンコが2つずつ押してあるのは?」
・作品にハンコを押す(落款と言います)のは、一つとは限りませんので、複数あることは珍しいことではないのです。この作品の書の部分は、池 大雅自身が書いていますが、絵の賛(ほめたたえる言葉)を他人が書くこともあり、その際には賛を書いた人の押印もあります。賛を複数の人が寄せ書きする場合もあるので、その時にはその人数分の印が押されて作品はハンコだらけ・・・といったものも中にはあります。
以上です。
私たちは「鑑賞教育」の充実をめざしてサークル活動を行っていますが、今後は図工・美術教育全般で研修機会を設ける必要性も感じています。皆様から寄せられた研修希望を今後の活動にも反映したいと思います。
なお、来夏の研修は隠岐での開催を予定しています。
私たちの活動に興味をもたれた方は、一緒に活動しましょう!!会員はいつでも入会可能です。
では、夏休みも残り少なくなりました。2学期に向けて英気を養い、臨みましょう!!