ART COMMUNICATION IN SHIMANE みるみるの会の活動報告

島根の美術教育関係者が集まって立ち上げた対話型鑑賞の普及に努める「みるみるの会」の活動情報をお知らせするブログです。

隠岐研修 2日目午後(大人向け)の様子です!

2016-08-11 11:57:10 | 対話型鑑賞

みるみるの金谷です。「みて 考えて 話そーや IN 隠岐」にスタッフとして参加してきました。

2日目は、8月6日(土)海士町中央公民館にて開催しました。この日は、子ども向けと大人向けの活動が、それぞれ午前・午後開かれました。

大人向けの活動として、午前中は「二枚貝について考えよう」というテーマで、三重県総合博物館館長の大野照文先生とともに、知の冒険に出かけました。貝について知っていることを話し合ったり、ハマグリの貝殻をじっくりと観察したりしながら、貝の体の構造について考えました。

大人向けの午後は、京都造形芸術大学アートコミュニケーション研究センターの北野諒先生による「対話型鑑賞について~みる、考える、話す、聴く~」という講義&ワークショップでした。

参加された方の中には、はじめ表情や雰囲気が硬い方もおられました。ですが、講座の後半の「ブラインド・トーク」という鑑賞のワークショップから、参加されている方々の雰囲気が変わってきました。「ブラインド・トーク」というのは、ペアになって鑑賞をするのですが、一人は目隠しをしていて、もう一人が作品について言葉で伝えるという活動です。

作品について「伝えたい」「知りたい」という共同作業(対話)を通して、参加されている方々の表情や雰囲気が柔らかくなっていきました。始めは、みえている方が「話し手」として、目隠しをしている「聴き手」に、作品についての説明を一生懸命にしていました。しかし、何かのタイミングで、目隠しをしている「聴き手」の方が「○○ってどういうこと?」などと、作品がみえている「話し手」の方に質問をするなど、役割が逆転する場面が多くありました。質問を受けた(みえている)方が「うーん?」「どう言ったら、いいかなぁ」と、改めて作品をよくみて考え、言葉を選びながら目隠しをしている方に伝え返す。それを受けて目隠しをしている方が「もしかして、○○ってことかな」、「そうそう!」という姿があり、お互いに伝えあい、聴きあう姿が印象的でした。
スタート時には「一方的な説明」だったのが、作品についてお互いに質問したり確認したりという「対話」に変わっていきました。伝えあい、聴きあうことを通してこころの距離も縮まるように私は感じました。

また、作品選定にも仕掛けがあり、目隠しを取った際には、驚きや笑い声があがりました。作品を二人でみながら、「伝えるコツ」は何だろうかと、和やかな雰囲気の中でも参加者の皆さんは真剣にふり返りをされていました。そして、講座が終わった後、「楽しかった」「参加してよかった」という声をお聞きすることができました。

その後、この「ブラインド・トーク」で起こっていたことは、一体何なのだろうと、私自身しばらく考えていました。もしかして、これがまさに「鑑賞を介したコミュニケーション教育」だったのではないかと。始めは「コミュニケーションを介した鑑賞教育」ということで、深く作品を鑑賞するために「対話」という「コミュニケーション」の術を使っているのですが、それがいつの間にか逆転していたのです(それはまるで「聴き手」と「話し手」が逆転したように)。鑑賞する時に、コミュニケーションの力を使うことでスキルがアップし、それを繰り返すことで豊かなコミュニケーションができるようになる、と。

一体何言ってるの?何が逆転するの?とお思いの方もあるかもしれません。私も、頭ではわかっていたつもりでした。しかし、実際に自分が体験することで、腑に落ちました。皆さんも、腑に落ちる体験をしてみませんか?

さて、「みて 考えて 話そーや IN 隠岐」のほかの講座では、何が起こっていたのでしょうか?みるみるメンバーからのレポートをお楽しみに!
コメント
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