ART COMMUNICATION IN SHIMANE みるみるの会の活動報告

島根の美術教育関係者が集まって立ち上げた対話型鑑賞の普及に努める「みるみるの会」の活動情報をお知らせするブログです。

隠岐研修の感想レポートが届きました!

2016-08-16 22:31:27 | 対話型鑑賞
みるみるの会夏季研修会感想レポート

益田市立高津中学校 松田淳

 「みるみるの会夏季研修会 みて 考えて 話そーや IN 隠岐」に参加してきました。
私は島根で生まれ育ったのですが、このたび初めて隠岐に行きました。研修の前後に隠岐の観光も楽しむことができ、これまで見たことのないような自然の美しさにたくさん出会いました。自然の造形に感動し、おいしい海産物に感動した3泊4日の隠岐滞在となりました。



 
 研修1日目の西郷小学校では、京都造形大学の北野諒先生によるワークショップに参加しました。前半のお話で、われわれが普段美術館を訪れたときにどれだけ作品をよく見ていないかを考えさせられ、じっくりみる対話型鑑賞の有効性を実感することができました。
マルセル・デュシャンの『自転車の車輪』が2億円もの価値があることに、参加者みんな驚きました。たまたま先日、東京都美術館の「ポンピドゥーセンター傑作選」展にて、本物(この言い方も不自然なのかもしれませんが…)を見てきたところでしたので、“すごい作品”として見て帰ってきた自分を思い出しながら、「作品の価値」と「自分の見方」の関係について深く考えさせられました。参加者のひとりからの、なぜこの作品が2億円なのか教えてくださいという投げかけに、北野先生は「では、あなたにとってこの作品はどうですか?」と返されました。自分自身は美術史を学ぶ中で、“価値ある作品”としてデュシャンの作品と出会いました。何も知識がないところでこの作品と出会ったとき(中学生に見せる場合はほとんどそうなると思われます)、何をみて、何を考えるのか…おもしろそうだなあと思いました。


 後半のブラインドトークは、以前に北野先生のワークショップに参加したときと同じ作品でした。2回目なので、うまく伝えられるだろうと思っていましたが、そううまくはいきませんでした…。しっかりみること、みたものを言葉にすることの難しさ、難しいからこそのおもしろさをまた感じることができました。


 2日目の海士町では、三重県総合博物館の大野照文先生のワークショップに参加しました。大野先生のワークショップはおもしろい!と以前から何度も聞いていましたので、初めて参加することができうれしかったです。二枚貝の内側の模様をじっくりみることから、生物の生態や成長について考えました。全く初めての経験で、最初から最後までわくわくしながらの活動でした。貝柱の数の予想は見事に外れたのですが、大野先生が私のスケッチを見て「松田さんは、見えて描いているのに、見えていないことになっている」と指摘されました。言われるまで本当に気づいておらず、目からうろこでした…。美術でも、美術以外でも同じようにして、目に入っていても、その気がないから見えていないものがたくさんあって、気づいていない世界があるのだろうなあと、なんだか反省しました。隠岐のみなさんとあれこれ話しながら普段考えもしないようなことを考え、とても充実した時間でした。


 研修後の懇親会で、海士町教育委員会の方が「初めて図工・美術教員のみなさんとじっくり話しましたが、熱いですね~」とおっしゃいました。鑑賞教育、美術教育、島根の美術などなど、みるみるの会メンバーや講師の先生方、隠岐の参加者のみなさんといろいろな話ができました。普段は学校に一人の美術教員ですので、熱く美術や美術教育の話をする機会もなかなか無いのが現実です。そういう面でも今回の研修に参加してよかったなあと思っています。また自分たちの美術に対する思いをもっともっと発信していかなければと思う研修でもありました。ありがとうございました。
コメント
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