この度の記録的豪雨で被害にあわれた方、地域へのお見舞いを申し上げます。
被害がこれ以上拡大しませんよう祈るのみです。
さて、昨日(7/7)浜田市世界こども美術館の企画展「はまだの風景画展」にて第2回目の「みるみるとみて話そう」が開催されました。
そのレポートにつきましては、順次お届けしていきますので、どうぞお楽しみに。
今回は、本企画展のメインビジュアルになっている「浜田漁港」など、河野通暢氏の作品を昨年の秋に鑑賞した際のレポートをお届けします。
みるみる例会レポート ナビゲーター 正田 裕子
実施日:平成29年10月14日(土) 浜田市世界こども美術館
作品:「小学校」 (P30号 シルクスクリーン)1985年 河野通暢
「浜田漁港」(P30号 シルクスクリーン)1965年 河野通暢
参加者:4人(内みるみる会員3人)
作品選定について
最近(29年秋頃)になって個人より預けられたという初公開の2作品で鑑賞会を行うことにした。地元の市民にとってはなじみのある風景でもあり、シルクスクリーンの細やかな手仕事がうかがえる作品であった。また「海と山の風景」で、作家にとって「新・旧の作品」であることから、対比させて鑑賞するのも話題が膨らむのでは、という期待から作品を選んだ。
ナビゲートの様子
最初に山間の風景の作品である「小学校」を選び、ナビゲートを始めた。中央にある小学校の様子について「グランドの様子や倉庫の辺りにほとんど何もなく廃校ではないか」「周囲の水田の様子や日差しのあたる様子から秋の夕暮れではないか」と話題があがった。カッティング技法のシルクスクリーンの色面が美しい作品であること、小学校の校庭に光りさす様子と山間の深い影の対比や、学校の敷地にある石垣の色合いの細やかさなど、明解な版表現でありながらも作者の丁寧な手仕事がうかがえる作品であるなど、表現の特徴についても話題があがった。
2作目は、同じ作家の漁港の風景が描かれた「浜田漁港」をとりあげた。同じくシルクスクリーンで表現された風景であるが、対話の多くは表現の色合いや色面の構成の巧拙になってしまった。ナビをした私にとっては、描かれている風景は身近な題材であるが、普段、海を見慣れぬ鑑賞者にとっては、1作品目と2作品目のどちらをゆっくり味わいたかったのか臨機応変に対応できればよかった。単純に、2作品見ようと思えば「どちらを見たいのか」鑑賞者に決めてもらえばよかったと思う。
振り返りより
鑑賞者である会員から、なぜこれらの作品を選んだのか質問があり、どちらの作品も「人の生活の営み」を感じる作品であることを理由にあげた。しかしながら、鑑賞者がそれを感じるナビゲートができなかったし、それができる作品だったかどうか吟味する必要があったと思う。シルクスクリーンとして美しい作品ではあるが、どちらも版画表現でしかもカッティング技法であることから、絵画表現と比べれば表現に制約が生まれる。見えたことを根拠に話をつないでいくこの鑑賞だからこそ、作品の主題を人々の営みとするならば、どういう順番で作品を見た方が効果的だったのか、また、2作品を比べながら鑑賞するという手立てを講じることもできたことを指摘いただいた。
今後、2作品を組んで鑑賞する時には、組み合わせや順番についても十分検討し、ナビゲーターが2作品見たいと思っても、鑑賞者主体に鑑賞作品を決めていくなど鑑賞者に寄り添えるナビゲートを目指していきたい。
終わりに
浜田市世界こども美術館では、6月2日(土)より7月8日(日)まで「はまだの風景画展」が開催される。この会期中に、「浜田漁港」をはじめとする河野通暢氏の愛したはまだの風景画作品が展示される。この機会に、空と海と山の自然が豊かなはまだの風景をたくさんの方に楽しんでいただきたい。
<お知らせ>
「正解なき時代に備えるために注目されている『美術頭』。
NY発『対話型鑑賞』を日本に紹介し、自らの大学で教鞭をとりながら後進の育成に努めてきた福のり子が熱く語る。
教育界・美術界のみならず、経済界からも注目されているアートを介したコミュニケーション教育とは?
AI時代を生きのびるために私たちにできることは何か?」(フライヤーより)
島根県造形教育研究会主催の講演会に、みるみるの会は協力しています。
入場無料・事前申し込みも不要です。
興味のある方はぜひ、足をお運びください。
○今後のみるみるの会鑑賞会について
・8月は、お休みです。
・9月8日(土)14:00~15:00 浜田市世界こども美術館にて
・10月は、お休みです。
・11月17日(土)14:00~15:00 浜田市世界こども美術館にて
・12月~2月にかけてグラントワ内島根県立石見美術館とのコラボイベント「みるみると見てみる?」を開催予定。
詳細につきましては、決まり次第、こちらのブログや石見美術館HPなどでお知らせいたします。
被害がこれ以上拡大しませんよう祈るのみです。
さて、昨日(7/7)浜田市世界こども美術館の企画展「はまだの風景画展」にて第2回目の「みるみるとみて話そう」が開催されました。
そのレポートにつきましては、順次お届けしていきますので、どうぞお楽しみに。
今回は、本企画展のメインビジュアルになっている「浜田漁港」など、河野通暢氏の作品を昨年の秋に鑑賞した際のレポートをお届けします。
みるみる例会レポート ナビゲーター 正田 裕子
実施日:平成29年10月14日(土) 浜田市世界こども美術館
作品:「小学校」 (P30号 シルクスクリーン)1985年 河野通暢
「浜田漁港」(P30号 シルクスクリーン)1965年 河野通暢
参加者:4人(内みるみる会員3人)
作品選定について
最近(29年秋頃)になって個人より預けられたという初公開の2作品で鑑賞会を行うことにした。地元の市民にとってはなじみのある風景でもあり、シルクスクリーンの細やかな手仕事がうかがえる作品であった。また「海と山の風景」で、作家にとって「新・旧の作品」であることから、対比させて鑑賞するのも話題が膨らむのでは、という期待から作品を選んだ。
ナビゲートの様子
最初に山間の風景の作品である「小学校」を選び、ナビゲートを始めた。中央にある小学校の様子について「グランドの様子や倉庫の辺りにほとんど何もなく廃校ではないか」「周囲の水田の様子や日差しのあたる様子から秋の夕暮れではないか」と話題があがった。カッティング技法のシルクスクリーンの色面が美しい作品であること、小学校の校庭に光りさす様子と山間の深い影の対比や、学校の敷地にある石垣の色合いの細やかさなど、明解な版表現でありながらも作者の丁寧な手仕事がうかがえる作品であるなど、表現の特徴についても話題があがった。
2作目は、同じ作家の漁港の風景が描かれた「浜田漁港」をとりあげた。同じくシルクスクリーンで表現された風景であるが、対話の多くは表現の色合いや色面の構成の巧拙になってしまった。ナビをした私にとっては、描かれている風景は身近な題材であるが、普段、海を見慣れぬ鑑賞者にとっては、1作品目と2作品目のどちらをゆっくり味わいたかったのか臨機応変に対応できればよかった。単純に、2作品見ようと思えば「どちらを見たいのか」鑑賞者に決めてもらえばよかったと思う。
振り返りより
鑑賞者である会員から、なぜこれらの作品を選んだのか質問があり、どちらの作品も「人の生活の営み」を感じる作品であることを理由にあげた。しかしながら、鑑賞者がそれを感じるナビゲートができなかったし、それができる作品だったかどうか吟味する必要があったと思う。シルクスクリーンとして美しい作品ではあるが、どちらも版画表現でしかもカッティング技法であることから、絵画表現と比べれば表現に制約が生まれる。見えたことを根拠に話をつないでいくこの鑑賞だからこそ、作品の主題を人々の営みとするならば、どういう順番で作品を見た方が効果的だったのか、また、2作品を比べながら鑑賞するという手立てを講じることもできたことを指摘いただいた。
今後、2作品を組んで鑑賞する時には、組み合わせや順番についても十分検討し、ナビゲーターが2作品見たいと思っても、鑑賞者主体に鑑賞作品を決めていくなど鑑賞者に寄り添えるナビゲートを目指していきたい。
終わりに
浜田市世界こども美術館では、6月2日(土)より7月8日(日)まで「はまだの風景画展」が開催される。この会期中に、「浜田漁港」をはじめとする河野通暢氏の愛したはまだの風景画作品が展示される。この機会に、空と海と山の自然が豊かなはまだの風景をたくさんの方に楽しんでいただきたい。
<お知らせ>
「正解なき時代に備えるために注目されている『美術頭』。
NY発『対話型鑑賞』を日本に紹介し、自らの大学で教鞭をとりながら後進の育成に努めてきた福のり子が熱く語る。
教育界・美術界のみならず、経済界からも注目されているアートを介したコミュニケーション教育とは?
AI時代を生きのびるために私たちにできることは何か?」(フライヤーより)
島根県造形教育研究会主催の講演会に、みるみるの会は協力しています。
入場無料・事前申し込みも不要です。
興味のある方はぜひ、足をお運びください。
○今後のみるみるの会鑑賞会について
・8月は、お休みです。
・9月8日(土)14:00~15:00 浜田市世界こども美術館にて
・10月は、お休みです。
・11月17日(土)14:00~15:00 浜田市世界こども美術館にて
・12月~2月にかけてグラントワ内島根県立石見美術館とのコラボイベント「みるみると見てみる?」を開催予定。
詳細につきましては、決まり次第、こちらのブログや石見美術館HPなどでお知らせいたします。
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