ART COMMUNICATION IN SHIMANE みるみるの会の活動報告

島根の美術教育関係者が集まって立ち上げた対話型鑑賞の普及に努める「みるみるの会」の活動情報をお知らせするブログです。

出雲市中学校美術部合同日本画講習会を開催しました

2015-08-09 19:47:44 | 日記





中学校美術部合同日本画講習会を終えて

講習会を終えて、参加生徒16名にアンケートを取りました。その結果をお知らせします。

アンケート結果(④の評価が上位)
 A)日本画の講習は楽しかった  ④14人 ③2人 ②0人 ①0人
 B)日本画の描き方が分かった  ④8人 ③7人 ②1人 ①0人
 C)満足のいく作品ができた   ④11人 ③5人 ②0人 ①0人
 D)今回の講習会は自分から進んで参加した はい12人 いいえ4人
 E)このような講習会があれば、また参加したい はい14人 いいえ2人

講習会後の感想(自由記述)
○今日は、初めて「日本画」を描きました。日本画の絵の具は小さい石のようなものを自分の指で練って作るので、色の調整が、難しかったです。水を使って、ぼかしたりするのが大変だったけれど、良い色になるよう一所懸命にがんばることができて良かったです。

○ふつうの絵の具の描き方とは違って水を多くつかうことを知りました。何回も重ね塗りすることで、きれいな絵ができあがっていくことも知りました。また機会があったら参加したいと思いました。

○あまりできない体験だったので、とても勉強になりました。自分で考えて色を調合するのが楽しかったです。最初は難しそうだなと思っていたけど、やってみると水彩画に似ているなと思いました。先生たちが優しく教えてくれたので、満足のいく作品になりました。

○日本画は今回初めて描いたけど、とても楽しかったし、描き方もわかってよかったです。また機会があれば参加したいし、いい機会になりました。

○最初は日本画がどのようなものかまったくわからなかったけれど、今日一日で知れてよかったです。また、とても上手に作品を作れたのでよかったです!美術館などで日本画の展示があれば見に行きたいと思います。ありがとうございました。

○いつもとちがった描き方や絵の具で少しとまどったけど、ていねいに教えてもらい、満足のいく作品をつくることができました。

○最初は日本画がどのようなものか知らなかったし、どういう描き方をすればいいかも分かりませんでした。でも先生方がていねいに教えてくださって、日本画の意味や描き方が分かりました。今日はとても楽しかったし、満足のいく作品ができて良かったです。

○今日は、初めてで、分からないこともあったけど、最終的にうまくできたし、楽しく描くことができたので良かったです。いつもは水彩絵の具だけど、ちがう絵の具を使ってとても良い経験ができたと思いました。

○色をぬるのがとても難しいなと思いました。でも、最後の方は楽しみながらできたのでよかったなと思いました。また、今度そういう機会があったらやってみたいなと思いました。

○最初は難しかったけど、やっていると楽しくて、最後は自分の満足のいく作品ができたので良かったです。初めて日本画を描いてみて、集中すれば必ずいい作品ができるという事がよく分かりました。

○直してもらうこともありましたが、自分にとってとてもよい作品ができて良かったです。眠くなる時もありましたが、とっても楽しかったです。

○初めて参加したけど、意外とうまく描けて良かったです。始めはよわからなかったけど、先生に少しずつ教えてもらってうまくできてよかったです。またこのような機会があればすすんで参加したいと思いました。貴重な体験ができて楽しかったです。

○この講習会に参加して、先生たちに教えてもらいながら、いい作品ができたのでよかったです。日本画はたいへんだけど楽しんだなあと思いました。また、講習会があれば、また参加したいと思います。今日はいい作品ができたので良かったです。

○何度も塗り重ねることで野菜の質感を表現することができたのでよかったと思います。

○今回初めて講習会をしました。「昔の絵っていうのは、こんなものなんだな。」とちょっと心でつぶやきながら絵を描いたら楽しく絵を描けました。楽しい体験ができたので良かったです。

○自分は「りんご」を描きました。色も赤というシンプルな絵になると思っていたけれど、よく見ると黄色い部分がちらほらあったり、うっすらと模様もあって、けっこう大変なことが分かりました。実物を持ってきていて良かったです。

 暑い中、講師の先生8名をお招きして初めての中学校美術部合同日本画講習会を開催しました。市内の中学校4校、16名の美術部員が参加しました。講師の皆様が周到に準備をしてくださり、部員たちは時間も忘れ、休憩時間も惜しんで制作に取り組み、力作が完成しました。
 これを機に、この企画が継続して開催されることになるといいと思います。

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6月の実践レポートが届きました!!

2015-08-02 17:14:15 | 対話型鑑賞


6月に浜田市世界こども美術館で行った実践のレポートが届きましたのでお届けします。
ナビは正田さんです。
作品は3Fギャラリーで開催中の彫刻作品で行いました。どんな作品なのかは画像をご覧ください。
 ご自身もレポートの中で書いていますが、ちょっと不思議な作品です。みている人がどんなことを考えてみているのか気になる作品です。会員以外の参加者が無く、気心の知れた者同士の鑑賞会となりました。

7月18日(土)14:00~
現代彫刻小品展 場所:浜田市世界こども美術館
作品 「雲を掴むような話より争わずして平安を勝ち取る方法の研究者あるいは、西に向かって歩く男(強力の行者)」
作者 日原 公大

鑑賞の対話の主な流れ
○ 豚の仮面を被っているようだ。目は仮面を被っている人の表情ではなく、本物ではな いと思う。
○ 頭部の様子から、異様に大きい耳と鼻の下の牙が目立ち豚に見える。豚というのは、愚かさの象徴だったり、蔑まれる対象であることが多い。
○ 手元の様子が仏の印のようでもあるが、座禅が解けた様子でいることから、中途半端 な感じを受ける。
○ 馬に乗っているものは、鞍に乗っている様子もなく手綱を引いている様子にも見られない。また、尻馬に乗っている姿で表されているので、仏道を求めているわけではないのではないか。
○ 馬の乗り方が宙に浮いているように乗っている。そこから、現実ではあり得ない様子 に見える。下の馬は真逆で、足の様子など見てもとても立派で存在感がある。
○ 上に乗っている人の頭部に被っているものが兜のようで、 姿の色も白いので神々し いように見える。どこか戦いにでも行きそうだ。
○ 頭部の耳が極端に大きかったり、牙も太くてしっかりとした様子もあり、鼻の短い象 にも思われる。白い象ならば、神聖な存在なのかもしれない。
○ 腕の部分が不自然な形で義手でもあるかのよう。
○ 異形のものであり、目の表情などから見ても実際に存在するものとは思えない。

会員から
・初見の作品にチャレンジした点はよかった。
・コンパクトに返せるようになれる訓練を。傾聴の姿勢を。
・「仮面」を「兜」と言われ、発表者の意見をすり替えられた気がした。
・返し方にもっと的を得て返せるように。疑問形でなく、しっかり相手の意図を捉えて。
・みんなが何を思っているのかシェアするといい。「○○さんは~とおっしゃっておられますが、皆さんはどう思われますか?」
・日本語は最後が大事。
・この場のトピックを「○○○」について語ってみましょう。と方向性を示していった方が良い。
・対話の場を俯瞰して「この場がどうなのか」読んでいくことが大事。

振り返り(自評)
 話の成り行きの予想が立たないような作品を鑑賞対象として選ぶことはほとんどなかったが、今回は選んだ作品を他の方がどのように見るのか聞きたくて、対話をする作品として選んでみた。しかしながら、自分の聞き癖・話し癖が出た結果となった。改めて、対話型鑑賞の三つの大事な質問を問い直す必要性を感じた。
「この作品の中でどんなことが起こっていますか?」
「どこから、そう思いますか?」「そこからどう思いますか?」
「他に意見はありませんか?」
 また、言い換え(パラフレイズ)が端的でなくまどろっこしいという指摘もあったとおり、自分でももう少し短くコンパクトに対話をつなげていきたいと感じた。
 鑑賞者の意見を振り返ってみると、特に散発的な意見が出る場面が多く、会話の深まりがあまり感じられないことが分かる。当日、鑑賞作品を選んではみたものの現実離れした「馬に乗る存在」に対する意見をしっかり吸い上げるだけの聴く力をつけたいと思った。また、会員からも指摘があったように、それぞれの意見を場に提供しながら、土台の「馬」との関連を図ったり、一つの解釈についてもっと他の人の意見を拾ったりして、解釈が深まるように実践を積んでいきたい。
 鑑賞者の意見にもあったが、絵画だけでなく仏像など普段からたくさんの作品を見る努力も怠ってはならないと思った。

 正田さん、ご苦労様でした。新しいことに挑戦するのは勇気がいりますが、その分だけ成長できると思います。世の中は予測のつかないことの連続なので、予測のつかない作品を扱うことで、そのような場面で対応できる自分の能力をあげていく一助にもなるのではないかと思います。そういった意味での挑戦でもあるという面からも得るものが多かったのではないかと思います。次回のナビも期待したいですね!!!
 
 さて、最近この鑑賞を繰り返し実践するにつれ感じることは「聴く」ことの重要性です。FBで「一生、仕事で悩まないためのブッダの教え」(アルボムッレ・スマナサーラ著:三笠書房)を目にして、その中に『コミュニケーションの極意は「どうしたら相手が喜ぶか」「何を聞きたがっているか」を考えて工夫する』というのがありました。その極意を実行するとしたなら、相手を尊重し、「聴く」ことから始めなければならないと思うのですが、みなさんどう思われますか???
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