このコンペティションは今回で2年目、本来は3月に開催される予定だったのだが、年頭からのコロナ禍の影響により延期となり、二転三転した結果、ようやく9月開催に漕ぎ着けたのだった。スタッフ、審査員一同「果たして応募作品が集まるのだろうか?」とずっと心配していたのだが、さすがに応募数は昨年より減少したものの審査当日、会場には多くの力作の木彫の野鳥たちが勢ぞろいしていた。このコンペは、初心者に参加してもらうためのステージである、1.「ステップアップ部門」より高度な技術力と芸術性が求められる、2.「コンペティション部門」木目を生かした彩色のない表現で自由な発想で制作された、3.「ウッドスカルプチュア部門」の3つの部門に大きく分かれ、さらに1と2にはそれぞれ実物大のライフサイズと縮小版のミニチュアサイズにそれぞれ分かれている。
僕は昨年の第1回では『コンペティション部門』を担当したのだが今年は梅川女史、叶内氏と3人で入門編の『ステップアップ部門』を審査担当することになった。そして昨年同様、3番目の『ウッドスカルプチュア部門』に関しては6人全員で審査することに決定した。審査の基準としては事前の打ち合わせで、正確さ(野鳥としてのその種らしさや科学的な正しさ)、木彫作品としての技術力、アート性(芸術作品としての表現力や完成度)等を共通のポイントとして3人で会場を回って見ていくのだが、それぞれが得意な分野は特に任されていくということになる。まぁ、僕の場合はやはりアート性が中心となるのだが。
午前中、10時頃より審査に入り喧々諤々、意見を出し合いながら賞候補となる作品が絞られていく。そして各部門の賞が次々と決定していき、全てが終了したのは予定時間の12:00をかなりオーバーしてしまっていた。この時にはジンワリと汗をかいているのだった。審査後、会場に並ぶたくさんの木彫の野鳥たちをボ~っと眺めていて、惜しくも受賞には漏れたのだが写実的で精密、イキイキとして今にも飛び立ちそうな木の鳥の姿にしばらくの間、見入ってしまった。木という材質のせいなのだろうか、かなり精巧に、シビアに形を彫られていても何か人肌にも似た温もりが漂ってくるのを感じるのだった。
コロナ禍の厳しい状況の中、力作を制作しご応募いただいた作者のみなさんと、このコンペティションの準備に関わっていただいた全ての関係者、スタッフの方々にこの場をお借りしてお礼申し上げます。来年もこの素敵なコンペティションが継続して開催され、また多くの素晴らしい力作が観られることを願いつつ会場を後にしたのだった。
※画像はトップが審査会場風景。下が向かって左から審査員6名、審査会場風景、出品作品の数々、コンペティションポスター。