長島充-工房通信-THE STUDIO DIARY OF Mitsuru NAGASHIMA

画家・版画家、長島充のブログです。日々の創作活動や工房周辺でのできごとなどを中心に更新していきます。

184. 待ちに待ったプロ野球公式戦が開幕した。

2015-03-27 21:21:04 | 野球・スポーツ

地元千葉ではソメイヨシノの開花を待つ、晴天だが肌寒い天気が続いている。そんな中、待ちに待ったプロ野球セ・パ両リーグの公式戦が始まった。今年も12球団が熱いゲームを展開する。長かった冬の間は『野球盤ゲーム』で待ちきれない気持ちを我慢し続けていた。

サポーターとして応援している千葉ロッテマリーンズはオープン戦では2位でチーム打率はトップを走り、ここまで厳しいキャンプでの成果は上々で来ている。まぁ、あくまでもオープン戦の成績なのでまだまだ解らないが、調子が良いということはうれしいことである。昨年、引退したベテラン里崎捕手の置き土産に「2015年、千葉ロッテマリーンズは5年に一度のゴールデン・イヤーを迎える」という名言があった。2005年のパリーグ優勝~圧倒的な勢いで日本シリーズ日本一!!、2010年のリーグ3位~クライマックス・シリーズ~日本シリーズ優勝の日本一!!劇的な下剋上。このチームは5年周期で幸運な年が来るというのだ。そして迎えた今年が3回目の周期。こじつけかもしれないがファンとしては期待してしまう一言なのである。

今年のチーム・スローガンは『翔破・熱く!勇ましく!!泥臭く!!!』である。この最後の泥臭くというのが、恰好ではなく泥まみれになっても勝っていこうという強い気持ちが表れていて実にいい響きだ。そしてロッテらしいとも言えるだろう。今年のチームの一番の特長は全体に選手が若返ったということだろう。新人がキラキラと輝いて見える。そしてオフに大型補強はなかったものの助っ人外国人選手たちが粒ぞろいである。投手では韓国のイ・デウン、台湾のチェン・グァンユウ。野手では昨年後半加入して長打をガンガン打ちまくってくれたキューバの大砲アルフレド・デスパイネ選手。キューバ・リーグが春までかかるため少し遅れての登場だが、今年もきっと打ちまくってくれると期待している。

千葉ロッテマリーンズ、今年も球場で熱いプレーを見せてください。そして優勝に向けて泥臭く勝ち続けてください。1サポーターとして影ながら応援しています。画像はトップが応援ユニフォームを着た僕。下が同じ姿を後ろから撮影したもの、昨日の新聞に掲載されたセ・パ12球団各チームの監督コメント(部分)。

※このブログを制作中、開幕のソフトバンク戦に3-1と快勝した!! エース涌井投手の粘りの好投に好調打線が答えた勝利だった。開幕戦勝利はひさしぶりである。

 

   


183. 水彩画『クロウタドリ』を描く。

2015-03-20 20:59:40 | 絵画・素描

今月は水彩画で『クロウタドリ』を描いた。英語名を『Blackbird ・ブラックバード』というこの野鳥はツグミやアカハラなどと同じヒタキ科に属し、全身真っ黒い羽衣をしている。嘴とアイリングが鮮やかなオレンジ色をしているので一見するとムクドリや九官鳥のようにも見える。分布域はヨーロッパからインド、中国東南部までで、汎世界的に広く生息する鳥の1種としても知られている。スウェーデンでは国鳥とされている。日本には極々稀な迷鳥(めいちょう)としての観察記録があるのみだ。

もうずいぶん昔の話だが、パリの美術館巡りの旅行に行ったときのこと。同行者が絵画や彫刻を熱心に鑑賞している時に一人、都市の中のバードウォッチングを楽しんでいた。ピカソ美術館の庭を歩くモリバトのペア、モンマルトルの丘で老人の給餌に慣れきったイエスズメの大きな群れ、セーヌ川の上を飛翔するカササギやヨーロッパチュウヒなどなど…。その気になると結構日本では見られないいろんな鳥が見つかるのでうれしかった。旅行も終盤になって自由時間の時に美術館巡りに飽きてブラブラとリュクサンブール公園を散歩していると頭上から日本のクロツグミに似た”キョロリ、キョロロ…”というのどかな囀りが聞こえてきた。声のする上方に眼をやると街路樹のてっぺんに黒っぽい小鳥が止まっていた。首から下げた双眼鏡で丁寧に観察すると『クロウタドリ♂』だった。これが初めての出会いである。西洋で『春告げ鳥』の異名を持つその声はなんとも例えようがなく美しく、ユトリロや佐伯祐三が絵画に描いたパリの街の風景とともに今も網膜に焼き付いている。

水彩画作品はこの長閑なイメージを持つ鳥を表現しようとフランドル地方の田舎の風景を選んだ。そして、クロウタドリの♂が春の求愛の歌を歌う木の下にはペーテル・ブリューゲルの銅版画から飛び出してきたような3人の楽師たちを描いた。クロウタドリの能天気な歌声に合わせて古楽の曲を奏でているように見えれば成功なのだが。機会があれば作品の全体像を個展に観に来てください。画像はトップが制作中の水彩画作品と絵筆を持つ僕の左手。下左からが古い博物図に描かれたクロウタドリ、水彩画のアップ、制作に使用している画材。

 

      


182.モーツァルトはモーツァルト。

2015-03-13 21:09:16 | 音楽・BGM

と、タイトルをつけたのは、たとえば「ビートルズはビートルズ」「マイルスはマイルス」などと言うようにジャンルを超えた存在という意味である。

朝起きて一番初めにCDプレーヤーにかける音楽はモーツァルトと決めている。何事も決め事を作るのが好きな性格なのだ。何故かと問われれば、一つは、やはり朝からブルックナーやマーラーの交響曲を聴くのはちょっとつらいのである。朝は食事だって食パンにハムエッグ程度にしたい。ビフテキやら中華ではつらいのである。まだ頭の中がはっきりしないような状態で「弦楽四重奏」や「ヴァイオリン・ソナタ」などを聴き始めるととても心地が良くなって脳のセンサーが順調に作動しだすような気がしてくる。

二つ目の理由は健康のためである。以前より血圧が高めで内科医にかかっているのだが、最近は原因不明の耳鳴りもし始めた。大学病院の耳鼻科で診てもらったのだが」原因は解らなかった。いろいろと家庭の医学的な本を探しては読んでいたのだが、ある本に医師がモーツァルトの音楽と血圧の関係を書いていた。その本によるとモーツッァルトの長調の曲が血圧を下げる効果があるというのだ。さらに耳鳴りにも効果があるという。そういえば昔からモーツァルトの音楽は植物を成長させるにも良く、実際に野菜や果物、そして観賞用の花などの栽培に使用されていることが知られているし、最近では脳科学者たちがまじめに研究をしたりしている。と、いうわけで僕も自分の健康のために以前より熱心に聞き始めた。聴き続けているせいか最近では血圧も安定し、耳鳴りもほとんど気にならなくなってきている。アマデウス様様なのである。

不思議な音楽家だなぁ。まるで中世の魔術師か錬金術師のようでもある。先日、モーツアルトの生涯を追ったテレビ番組の中で某著名ピアニスト女史が「一言で言うと、切なさと明るさの同居した音楽である」と語っていたが、まさに言い得ていてその場でメモをとった。長調の曲と短調の曲では光と影のように表情を変容させる。そして長調の曲の中でも翳りのようなものを感じるパートもある。本当に不思議な音楽である。

数多くの名盤アルバムの中で最近の僕のお気に入りはオランダのチェンバロ奏者でもあるトン・コープマン指揮とアムステルダム・バロック管弦楽団による一連の古楽器演奏によるもの。古楽器でモーツァルトを演奏するものは少なくないがコープマンのものは柔軟なリズム、切れ味の鋭さ、大胆なアドリブなどで新しい解釈のモーツァルトとなっていて何度聴いても新鮮だ。それから室内楽では1970年代録音のチェコのスメタナ四重奏団による透明感のある奥深い演奏。そしてヴァイオリン・ソナタではアルテュール・グリュミオーとクララ・ハスキルの大御所コンビの名盤をあげておこう。

最後にだいのモーツァルト好きとして知られたアインシュタインの有名な言葉を紹介する。「死とはモーツァルトの音楽が聴けなくなるということである」欧米人にとってこの音楽家の世界は特別なものなのだろう。画像はトップがモーツァルトの肖像画(部分)。下が左からトン・コープマン指揮の「交響曲第39番、40番」 スメタナ四重奏団による「弦楽四重奏曲第14番、第16番」 グリュミオーとハスキルによる「ヴァイオリン・ソナタ集」のCDジャケット。 

 

      


181. 第4回ユーカリ版の会展

2015-03-05 20:09:34 | カルチャー・学校

地元のNHKカルチャーセンターで指導している木版画教室の年に一回のグループ展、『ユーカリ版の会展』が今月2日より地元イベント会場で始まった。今年で4回目。初心者から継続のベテラン組まで力作が44点展示されている。

講座自体は2005年開講なので、今春で10周年を迎える。これを記念して今回はそれぞれの初期作品と最新作を並べて展示している。つまりビフォー&アフターということだ。会場がどう見えるかというのは企画した僕自身、並べてみなければわからない。展示された作品を1点1点観ていくと、最新作が完成度が高かったり、あまり違いが感じられなかったり、旧作の方が魅力的だったり十人十色でなんとも言えない。共通して言えるのは初期作品というのは版画がどういうものなのか右も左も解らない状態で五里霧中で制作していて力強い。今からもう一度このテンションで作ろうと思っても同じようにはできないだろうということだ。そのことがいったいどういうことなのだろうと考えてみると、やはりそこには彫ること、摺ることに新鮮な「感動」があったのだろうと思う。初めてモノを作る「喜び」と言ってもいいかもしれない。最新作は技術的にもうまくなっていて、それぞれの個性がはっきり出てきているのだが、比較するとまとまり過ぎて見える気もする。

当然だが、言いだしっぺの僕も初期作品と最新作の木版画を合わせて出品した。みなさん現在の具象的な作風は個展などに観に来ていただいて知っているのだが、この初期作品は初めて観るということもあって、とてもおどろいていた。今とは全く異なるテーマで画風も抽象的である。東京という都市をゴースト・タウンに見立てた連作のうちの1点である。なんせ、33年も前、20代前半の作品なのだ。出品者の中で僕が一番年齢が若いのだが、初期作品と最新作の間の時間はダントツで長い。この間にもいろいろなテーマ、作風へと変化している。「作品というのは作り続けている以上、変化していかなければならないし、作家自身、変容していくものなのである…」というようなことを会場で人生の先輩でもある生徒さんたちに話した。

それから開講10周年を記念したA4サイズの共同画集(ポートフォリオ)『THE SQUAERS・2015』を僕も参加して限定出版した。今回で2冊目となる。これもポートフォリオを開いて一枚一枚手に取って見ていくと楽しい。10年は一昔、10年続けばなんとかとも言う。どこまでできるか今から想像はできないが15周年、20周年と講座とグループ展が続いて行くように、みんなで精進して行こう。

展覧会は京成電鉄ユーカリが丘駅徒歩1分、ユーカリプラザ3階イベントホールで16日(月)まで開催しています。近隣にお住いの木版画に興味のある方、ぜひこの機会にご高覧ください。画像はトップが会場風景。下が向って左からビルの入り口にセットされたポスター、額装して展示された木版画の一部、今回制作した共同画集を開いたところ。