長島充-工房通信-THE STUDIO DIARY OF Mitsuru NAGASHIMA

画家・版画家、長島充のブログです。日々の創作活動や工房周辺でのできごとなどを中心に更新していきます。

105.秋の新作個展の絵画作品制作もラストスパート。

2013-09-26 20:41:11 | 絵画・素描

来月19日から始まる絵画新作個展に向けての制作もラストスパートに入った。マラソンで言えば最終トラックに入ったと言うとところだろうか。

今年は3つの個展と3つのグループ展が秋から冬にかけて集中している。7月からはアトリエに引きこもり状態で絵画と版画を制作している。初夏に予定していた高原の野鳥観察と盛夏に予定していた干潟の水鳥観察も中止し、レジャーはがまんの年になった。もっとも絵描きや文章書きは引きこもらないと作品を貯めることができない。『元祖引きこもり』を自称している。10月の新作絵画作品による個展は『伝説の翼』というテーマで、東西世界に分布する神話や伝説に登場する鳥や有翼の聖獣をモチーフに描いている。このシリーズの制作、最初は神話や伝説の辞典などの資料をアトリエに集めて熟読することからスタートした。世界中の『伝説の翼』を集めてみるとけっこうあるものだ。その中から作品になるものを選択しては描いているのだが、内容が偏らないように意識的に分布地域を散らしている。つまりギリシャ神話の次はインド神話に飛んだりしているのだが、家に居ながらにして世界中を旅行しているような気分になっている。

僕にとって絵画の作品というのは版画作品に比べて手離れが悪い。銅版画でも木版画でも版画では版が彫れて摺ったところで区切りが着くところがあるのだが、絵の場合は納得が行くまでいくらでも手を入れたくなってしまう。まぁ、それぞれに長短があるということだろう。自分で言うのもなんだが、梅雨期から盛夏にかけて引きこもり、まったく外出せずよく集中して描き続けてきた。作品が出揃ってくると会場に並んだ状態がどんなふうに見えるのか自分でも楽しみになってくる。個展会期が近づいてきた頃、また詳細なお知らせをブログにアップしますのでご覧ください。画像はトップ、下とも制作中の撮影した絵画作品と筆を持つ僕の左手。

 

  

 


104.月に想う・その二 十五夜の月

2013-09-21 22:34:53 | 日記・日常

19日。十五夜で満月の日である。しかも好天に恵まれた。ここまで条件が重なることはない。これはじっくり観察し、撮影しようと日が暮れるのを待った。

ベランダに三脚を取り付けた野鳥観察用の高倍率望遠鏡をセットした。雲一つない星空。空気ももう秋の気配がして心地がよい。住宅地の屋根の上に月がくっきりと輝いている。望遠鏡にデジタルカメラをセットし、倍率や露出を変えて夢中で撮影した。例年、十五夜の日の夜というのは、なかなか晴天に恵まれない。それから十五夜の日にちょうど満月があたるのは今後は9年後になるのだという。東京オリンピックも終了しているなぁ。まぁ、写った画像はただ、まん丸な月なんだけど…いや、この日に観察できたことに意義がある。光学機器も進歩したので表面のクレーターの質感までよく撮影することができた。

ここで『月の歌人』と呼ばれた鎌倉時代の名僧、明恵上人・みょうえしょうにん(1173年~1232年)の歌を二首ご紹介しよう。

山のはにわれもいりなむ月もいれ よなよなごとにまた友とせむ

くまもなくすめるこころのかかやけば わがひかりとや月をもふらむ

京都、高山寺の山中でひたすら座禅を組み修行を続けた明恵上人が山川草木や月と一体となった境地に詠んだ名句である。2022年の十五夜の満月の日。憶えていたら必ず夜空を見上げることにしよう。9年後も、どうかこの日のように好天に恵まれますように。トップ画像は地上用望遠鏡で撮影した十五夜の満月。


103.そろそろ猛暑も緩む季節。

2013-09-12 11:57:47 | 日記・日常

今年の梅雨明け以降の暑さは昨年に続き半端じゃなかったねぇ。全国的に熱中症による被害状況が報告され、死者が続出した。

僕の子供の頃を想い出すと関東の首都圏で30℃を超えるということは稀だったけれど、最近では普通のことになってしまった。工房のあるここ千葉県北東部も、暑さのメッカである群馬県の熊谷市や館林市と並んでしまった。室内で毎日、二階の温度計をチェックしていたが、最高温度が38、5℃を記録した日もある。ウソのようなホントの話。こんな夏は部屋の中にいて冷房をしていても頭がボーッとしてくる。集中力のいる絵画や版画の制作には向かない。北半球の温暖化や海水の温度上昇などの問題が報告されている。この猛暑が毎年のように続くなら、来年の夏から、いっそ高原や山あいの標高の高い場所に小屋でも建てて避難しようかと真剣に考えてしまう。

当工房の同居人である動物たちも真夏の動物園状態で元気がない。昨年の猛暑で16歳という高齢だった柴犬のPOKO♂が暑さ真っ盛りの中、他界した。今、同居しているのはいずれも近所で拾ってきた連中である。雑種犬のSACHI♀は沼の近くのカヌー場に兄弟4匹といっしょに捨てられていた。 クロトラ猫のTAMAO♂は三女が近所の公園で昼寝をしていたのを連れてきた。8匹のクサガメは僕が近くの沼へ水鳥を観察に行くたびに道路で干からびかけているものを救助してきたものである(そのうち3匹は家で生まれた子ガメ)。この猛暑の中、撮影した画像を改めて見ると、どれもぐったりとして元気がない。

「暑さ寒さも彼岸まで」昔の日本人はいい言葉を残したものだ。彼岸を目前にここ数日ようやく暑さも緩んできた。同居人たちの活動も盛んになってくるだろう。こちらも秋冬の個展に向け、制作にパワー全開しよう。画像はトップが扇風機の近くでグッタリと横になるクロトラのTAMAO♂。下が小屋でばてる犬のSACHI♀、水槽の石の上で動かないでじっとしているクサガメの子ガメ。

 

   

 


102.パシフィックリーグのレジェンド・シリーズに参戦する。

2013-09-10 12:48:18 | 野球・スポーツ

先月末、プロ野球パシフィックリーグの公式戦である『レジェンド・シリーズ』の千葉ロッテ対北海道日本ハムの試合に参戦して来た。プロ野球も8月の末ともなるとセ・パ両リーグ共に後半の追い込みの時期である。セは早くも巨人の独走が続き、優勝に向かいマジックが点滅し始めた。パは毎年のことだが、『混パ』と呼ばれ、混戦状態。どこが優勝するのかまだまだ解らない。その中で東北楽天がスーパー投手、田中マー君の日本記録となる連勝も重なり頭一つ抜けてきた状況である。そして千葉ロッテマリーンズは現在リーグ2位で健闘中である。

そんな中、パ・リーグがおもしろい企画を打ち出した。その名も『レジェンド・シリーズ2013 野球はつながる -あの頃も、そして今も-』。期間限定でパ・リーグ6球団の監督、コーチ、選手が自球団の歴史や伝統に関係するユニフォームを着用してプレーするイベントである。我が千葉ロッテマリーンズは1973年~1991年まで使用された、前身の川崎ロッテオリオンズ時代のユニフォームが選択された。70年代初頭のプロ野球と言えば川上巨人のV9時代の頃でありテレビ中継も巨人戦に関する試合かオールスター、日本シリーズぐらいしか見ることができなかった。パ・リーグもあまり人気がなく、当時、川崎球場をホームグランドにしていたロッテオリオンズも、万年Bグループのチームであった。入場者もとても少なく外野席ではソーメン流しや花火をやっていたと言う…球団側も「テレビでは見られないロッテオリオンズ」を宣伝文句にPRをするが、一向に来場数が増えることもなく「暗黒の時代」と伝えられている。その川崎ロッテが名将、金田正一監督の下、1974年に日本一を奪還した。その時の伝説のビジターユニフォームである。日本一になったことから「チャンピオンユニフォーム」としても親しまれている。スカイブルーのベースカラーは当時では珍しかったということだ。BSやCS放送を通してシーズン中のセ・パ12球団の全試合が見られる現在のファンには想像もできないだろう。まさに「リジェンド=伝説」である。試合当日は当然だがファンも同じデザインのレプリカユニフォームを着用し、観戦することになっている。

幕張のQVCマリンスタジアムに到着すると一塁側とライトスタンドはスカイブルーに染まっていた。対する三塁側とレフトスタンドには白地に縦縞のシンプルな東京時代の旧ユニフォームを着用した日ハムファンで溢れている。球場中から熱気がムンムン伝わってくる。この日の試合は今季初先発のロッテ松永が好投し、ゲームを作った。そしてマリンガン打線も好調、うまくつながり8-2と千葉ロッテが快勝した。後日、ブログにのっていたのだが、このゲームをテレビで観戦した川崎球場時代からのロッテファンは涙が出るほど喜んだという…なんせ「テレビでは見られないロッテオリオンズ」だったんだからねぇ。川崎のロッテファンのみなさん、今年の千葉ロッテマリーンズは何かが違います。後半戦、首位奪還に向かい、まだまだ熱いゲームを続けまっせ!! どうか、シーズン終了までお見逃しなく。画像はトップが旧ロッテオリオンズのレプリカユニを着用した僕。下はこの日の球場全景、ロッテ先発の松永昴大投手、勝利してベンチにもどるロッテナイン。

 

     


101.『版画芸術』誌に記事が掲載されました。

2013-09-05 15:01:58 | 書籍・出版

前々回のブログでご案内しましたが、国内唯一の版画専門の美術雑誌『版画芸術』通巻161号(秋号)に僕の作品と記事が紹介されました。

『版画アートコレクション』の作家という特集記事で10ページにわたり紹介されています。作品の図版も近新作の中から19点ほどが載っています。記事はベテラン編集者のM氏による作家取材記事で、20代半ばから今日までの版画制作のテーマとその変遷についてまとめられています。それから現在、神話伝説に登場する幻獣と、自然界に生息する現実の野鳥を同時に版画作品として制作している理由に関しても詳しく取材されています。そして、今回の企画であるオリジナル版画シリーズ『日本のフクロウ』4点に関しての解説と特別価格販売のご案内が載っています。

今回、巻頭特集は創作版画運動期の巨匠『川上澄生』です。大手書店か阿部出版ホームページのオンラインショップから購入することができますので、ブロガーの中で美術ファン、版画ファンであるみなさま、ぜひこの機会にご購入ください。よろしくお願いします。画像はトップが161号の表紙。下2カットが記事の一部。