西洋絵画における写実的な野生生物の表現を追うシリーズ『リアリズムとしての野生生物画』の第5回の投稿である。第4回に引き続き15世紀イタリアで活躍した国際ゴシック様式を代表する画家の1人、ピサネロ(Pisanello 1395年頃-1455年頃 / 日本語訳ではピサネッロとも言う)の野性生物を描いた絵画作品に焦点を当てご紹介する。
前回は主に「狩り」を主題とした絵画作品の中に登場する哺乳類を描いた絵画、素描を中心にご紹介したが、今回は、やはり絵画作品の習作的なものとなるのだが、鳥類を描いた素描作品をご紹介する。前回にも触れたがピサネロだけではなくこの時代、ルネサンス期の画家というものは絵画作品を描く下準備としての素描をとても多く描く。それは建築に例えるとラフな設計図やマケット(模型)の段階に当たるだろうか?今回ご紹介した画像もその多くが「狩り」等を主題とた絵画作品のためのものだが、写真も博物的な資料も少なく乏しい時代に、実に細密に、正確に描き込まれているのである。
鳥類を長い年月観察して来た僕としては、「これはタゲリ、こちらはゴシキヒワ、ヤツガシラ、カワセミ、ミコアイサ…」と、その1つ1つの種類も言い当てられるほど正確な描写なのである。画材としては紙(羊皮紙?)にチョーク、ペンとインク、水彩絵の具等が多く用いられている。まぁ、科学的な視点が進んだ今日的な博物画や図鑑イラストレーションの立場から見れば稚拙な部分も見られるとは思うが、自然科学がまだそれほど発達していなかった約600年前の時代ということを踏まえると、画家の鋭い観察眼と大変な労力を持って描かれたものであることが理解できるのである。こうして野生生物画という切り口からだけ見てもドイツやイタリアのルネサンス時代というものが、その後、現代まで脈々と続くことになる写実絵画表現(リアリズム)の原点として位置付けられることが創造できるのである。その中でもドイツ・ルネサンスのアルブレヒト。デューラーとこのピサネロの野生生物を描いた作品が特別重要なものとなっている。
※ 画像はトップがアリスイとゴシキヒワの素描。下が向かって左から様々な種類の野生鳥類の素描とタカ狩りの素描。
前回は主に「狩り」を主題とした絵画作品の中に登場する哺乳類を描いた絵画、素描を中心にご紹介したが、今回は、やはり絵画作品の習作的なものとなるのだが、鳥類を描いた素描作品をご紹介する。前回にも触れたがピサネロだけではなくこの時代、ルネサンス期の画家というものは絵画作品を描く下準備としての素描をとても多く描く。それは建築に例えるとラフな設計図やマケット(模型)の段階に当たるだろうか?今回ご紹介した画像もその多くが「狩り」等を主題とた絵画作品のためのものだが、写真も博物的な資料も少なく乏しい時代に、実に細密に、正確に描き込まれているのである。
鳥類を長い年月観察して来た僕としては、「これはタゲリ、こちらはゴシキヒワ、ヤツガシラ、カワセミ、ミコアイサ…」と、その1つ1つの種類も言い当てられるほど正確な描写なのである。画材としては紙(羊皮紙?)にチョーク、ペンとインク、水彩絵の具等が多く用いられている。まぁ、科学的な視点が進んだ今日的な博物画や図鑑イラストレーションの立場から見れば稚拙な部分も見られるとは思うが、自然科学がまだそれほど発達していなかった約600年前の時代ということを踏まえると、画家の鋭い観察眼と大変な労力を持って描かれたものであることが理解できるのである。こうして野生生物画という切り口からだけ見てもドイツやイタリアのルネサンス時代というものが、その後、現代まで脈々と続くことになる写実絵画表現(リアリズム)の原点として位置付けられることが創造できるのである。その中でもドイツ・ルネサンスのアルブレヒト。デューラーとこのピサネロの野生生物を描いた作品が特別重要なものとなっている。
※ 画像はトップがアリスイとゴシキヒワの素描。下が向かって左から様々な種類の野生鳥類の素描とタカ狩りの素描。