西洋絵画における写実的な野生生物画の表現を追うシリーズ『リアリズムとしての野生生物画』の第7回目の画像投稿である。今回もドイツ・ルネサンスの画家、A・デューラーとイタリア・ルネサンスの画家、ピサネロと追って来た前回までの流れの一環としてルネサンス期の画家であるレオナルド・ダ・ヴィンチの動物の素描作品をご紹介する。
イタリア・ルネサンスの巨匠で人類史上、不二の天才と呼ばれたレオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci 1452 - 1519年)は絵画作品『モナリザ』、『受胎告知』、『最後の晩餐』等の絵画の代表作品によって世界中に知られているが、野生生物の哺乳類や植物の数多くのデッサンを制作したことでもよく知られている。イタリア・ルネサンスの画家、ジョットの「自然を正面からそれらしく忠実に探究する」という姿勢やドイツ・ルネサンスの画家、A・デューラーやイタリア・ルネサンスのゴシック様式の画家、ピサネロの「神の創造された自然や動物をあるがままに描くことこそが神の意にかなう」という考え方、精神が15世紀イタリアの画家レオナルド・ダ・ヴィンチへと受け継がれて来ると、一つの頂点を形成していく。彼は科学的な目を通して自然を描こうとした最初の芸術家である。
今更だが、ダ・ヴィンチは絵画作品の制作のみならず、建築、音楽、数学、人体解剖学、動物解剖学、博物学、植物学、鉱物学、天文学、地理学、物理学、化学、飛行力学、土木工学、軍事工学等々、様々な分野に顕著な業績と手稿を残したことで知られる「万能の天才」と呼ばれた人物として有名である。
特に動物学、動物解剖学に限ってみても徹底した観察と研究、そして今回ご紹介する夥しい数のデッサンを描き残している。その中でも馬を描いた解剖学的なデッサンはよく知られており、騎兵の戦闘シーンを画題とした絵画作品の大作を制作するために執拗に追求し、描き続けているのである。ダ・ヴィンチは人体も含めて芸術のための解剖学を熟知していたために、単なる素描というものではなく、骨格や筋肉、プロポーションなどが実に正確な設計図面のように、そして科学的に描かれているのである。
馬のデッサンで思い出したが、僕が中学生か高校生だったので、今から45年ほど前頃のことである。NHKのテレビ番組でイタリアだったか、イギリスだったか、ダ・ヴィンチを主人公としたテレビ・ドラマが連続で放送されたことがあった。そのドラマの中で、上記した馬の観察とデッサンをする場面が詳しく出て来たのである。ドラマの中で描かれた、ダ・ヴィンチ氏は、馬がいる草原に足繫く通い、長い時間、観察をして正確にデッサンをしていくのである。よくできたドラマであった。僕は何故かこの場面を今でも脳裏に思い浮かべることができるぐらい、よく印象に残り覚えているのである。
ダ・ヴィンチによって切り開かれたこの画家の科学的な自然観察の姿勢が、その後のバロック期のレンブラントやロマン派のドラクロアの作品まで影響を及ぼし、さらに19世紀の印象派の画家たちによって強化され、現代の野生生物を描く画家まで継承されてきているのである。この流れが西洋美術の中の『リアリズムとしての野生生物画』の重要な基礎となったことは、時代を追って作品を観て行けばよく理解できることである。
イタリア・ルネサンスの巨匠で人類史上、不二の天才と呼ばれたレオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci 1452 - 1519年)は絵画作品『モナリザ』、『受胎告知』、『最後の晩餐』等の絵画の代表作品によって世界中に知られているが、野生生物の哺乳類や植物の数多くのデッサンを制作したことでもよく知られている。イタリア・ルネサンスの画家、ジョットの「自然を正面からそれらしく忠実に探究する」という姿勢やドイツ・ルネサンスの画家、A・デューラーやイタリア・ルネサンスのゴシック様式の画家、ピサネロの「神の創造された自然や動物をあるがままに描くことこそが神の意にかなう」という考え方、精神が15世紀イタリアの画家レオナルド・ダ・ヴィンチへと受け継がれて来ると、一つの頂点を形成していく。彼は科学的な目を通して自然を描こうとした最初の芸術家である。
今更だが、ダ・ヴィンチは絵画作品の制作のみならず、建築、音楽、数学、人体解剖学、動物解剖学、博物学、植物学、鉱物学、天文学、地理学、物理学、化学、飛行力学、土木工学、軍事工学等々、様々な分野に顕著な業績と手稿を残したことで知られる「万能の天才」と呼ばれた人物として有名である。
特に動物学、動物解剖学に限ってみても徹底した観察と研究、そして今回ご紹介する夥しい数のデッサンを描き残している。その中でも馬を描いた解剖学的なデッサンはよく知られており、騎兵の戦闘シーンを画題とした絵画作品の大作を制作するために執拗に追求し、描き続けているのである。ダ・ヴィンチは人体も含めて芸術のための解剖学を熟知していたために、単なる素描というものではなく、骨格や筋肉、プロポーションなどが実に正確な設計図面のように、そして科学的に描かれているのである。
馬のデッサンで思い出したが、僕が中学生か高校生だったので、今から45年ほど前頃のことである。NHKのテレビ番組でイタリアだったか、イギリスだったか、ダ・ヴィンチを主人公としたテレビ・ドラマが連続で放送されたことがあった。そのドラマの中で、上記した馬の観察とデッサンをする場面が詳しく出て来たのである。ドラマの中で描かれた、ダ・ヴィンチ氏は、馬がいる草原に足繫く通い、長い時間、観察をして正確にデッサンをしていくのである。よくできたドラマであった。僕は何故かこの場面を今でも脳裏に思い浮かべることができるぐらい、よく印象に残り覚えているのである。
ダ・ヴィンチによって切り開かれたこの画家の科学的な自然観察の姿勢が、その後のバロック期のレンブラントやロマン派のドラクロアの作品まで影響を及ぼし、さらに19世紀の印象派の画家たちによって強化され、現代の野生生物を描く画家まで継承されてきているのである。この流れが西洋美術の中の『リアリズムとしての野生生物画』の重要な基礎となったことは、時代を追って作品を観て行けばよく理解できることである。