長島充-工房通信-THE STUDIO DIARY OF Mitsuru NAGASHIMA

画家・版画家、長島充のブログです。日々の創作活動や工房周辺でのできごとなどを中心に更新していきます。

335.ジョー・パスを聴く日々。

2018-06-23 19:02:48 | JAZZ・ジャズ
土曜日の午後はいつも音楽の話題。そして絵画や版画作品の制作中に聴くBGMの話題でもある。

以前の『ジャズ』カテゴリーのビル・エバンスの投稿の時のも書いたのだが、音楽の趣味は年齢によって本当に変化するのである。ジャズに関しては、これも前回書いたけれど、若い頃はジョン・コルトレーンやオーネット・コールマンなど激しい「音のカオス」のような音楽が好みだったのだが、50代に入った頃から御多分に漏れずシットリとしたスロー・テンポの曲へと移行してきたのである。

今回ご紹介するのもそうしたミュージシャンのうちの1人、ジョー・パス Joe Pass(1929年~1994年)というギタリストである。アメリカのジャズ・ギタリストで、我流だが、卓越した超絶技巧により彼よりも後進のギタリストに多大な影響を与えた一である。特に1970年代からはギター1本だけで演奏、録音されたアルバムが多く、モダン・ジャズ界におけるギターという楽器の可能性を最大限に追求したことが高く評価され、日本でも多くのファンに人気を得たことで知られている。
また、オスカー・ピーターソン(ピアノ)、エラ・フィッツジェラルド(ヴォーカル)、ズート・シムズ(サックス)など、いわゆるジャズの巨人たちと多く協演・録音したことも有名である。

梅雨の最中、制作の最中、雨の音に耳を傾けつつスタンダード・ナンバーが得意だったジョーのシンプルなフレーズの中にも優雅ないぶし銀の美しさが輝いているソロ・ギターを聴いていると、なんともしみじみとしてきてつい筆を運ぶ手を休めてしまう。その多くのアルバムの中でも特に1973年に録音され話題となった名盤『ヴァーチュオーゾ・VIRTUOSO』の深みのある音色と風格さえたたえたソロ・プレイにはシットリ、ウットリしてしまい時間が経つのを忘れてしまうほどである。

モーツアルトから一日が始まる僕のBGM。梅雨の中、一日の制作が一段落した夕方の時間帯にかけるCDはジョー・パスのギター・ソロである。今日も戸外の雨のシトシト音と調和する演奏を聴くことにしよう。


画像はトップがジョーの代表作で名盤の『ヴァーチュオーゾ』のCDジャケット。下が向かって左からサックスの巨人、ズート・シムスとのデュオアルバム『ブルース・フォー・トゥー』、僕のジョーのCDコレクション。


   

334. 『長島 充 版画展 / 1990年~2015年』 終了しました。

2018-06-09 18:30:08 | 個展・グループ展
3月16日にオープンした千葉県鴨川市の私設美術館・房総郷土美術館での回顧展、『 長島 充 版画展 / 1990年~2015年』が今月3日終了の予定を希望により8日まで延期し、無事終了いたしました。

房総半島の深い山里に建つ美術館という立地条件にも関わらず、会期中は県内のみならず東京や神奈川方面からも来場者があり、友人、知人の外、画家、版画家、美術愛好家、ギャラリスト、県内美術館関係者、プレス関係者などにお越しいただきたいへん充実した3カ月の展覧会でした。

またプレス関係の記事も朝日新聞を除いた5社に加え、地域のタウン情報誌4-5誌に掲載していただきました。中には展示作品にとても感動したということで詳細な記事を書いてくださった記者の方もいらして、とても感謝しております。

僕自身も合計3回、在廊したのですが、そのうち2回は近隣の宿に宿泊し翌日は周辺の豊かな自然を満喫するなど、都会の画廊や美術館での展覧会では味わうことができないような時間を持つことができたいへん満足しております。

展覧会の後半には東京のギャラリストの方がお見えになり「自然の中の美術館での自然に帰って行くようなテーマの版画作品の展示に画廊での展示の在り方を考えさせられる部分がありました」という感想をいただきました。また、この美術館に版画作品が収蔵されている僕の美術学校時代の版画の恩師が観に来てくださり、僕が会場にいない日にも関わらず、館主の方に「とても良い展覧会だった」「この美術館では今後、このような展覧会を開催していくべきだ」と感想を述べてくださったとお聞きしています。

遠路、展覧会会場まで足を運んでいただいた全ての来場者の方々、また各紙面に記事として取り上げていただいたプレス関係の担当者の方々、版画作品をご購入くださった愛好家の方々、そして今回、美術館に多くの版画作品をコレクションしていただき展覧会を開催していただいた館主のK氏に心からお礼申し上げます。ほんとうにありがとうございました。

画像はトップが、会期中に美術館のポストに巣を作り卵が産まれて雛となり、無事に巣立っていったシジュウカラの幼鳥たち(合計8羽)。下が向かって左から美術館のある鴨川市四方木の山村風景、美術館庭の池の上の枝に産み付けられた希少両生類、モリアオガエルの卵塊、展覧会場の風景、記事として掲載された新聞の紙面。