13日。新潟市の中心街の個展会場に立ち寄り、新潟市美術館で偶然開催中だった『ルドン展』を見終わると午後遅くなっていた。あわててタクシーを拾い新潟駅から次の個展会場である豊栄(とよさか)駅へと向かった。駅からさらにタクシーで約20分、閉館間際の公共施設『水の駅・ビュー福島潟』に到着。周囲は真っ暗である。事務所に寄って担当者のN氏とT館長に手短に挨拶を済ませ、この日は近くの宿へチェックインした。
翌14日。6時に起床。雪の降る中、橋を渡って福島潟の周回路を散策する。数多くの渡り鳥と出会えた(詳しい探鳥記は後日、別のブログに更新します)。一旦、宿に戻って朝食を済ませてからN氏、T館長との約束の時間に『水の駅・ビュー福島潟』へと向かう。昨晩は周囲が真っ暗だったので施設の全体像がおぼろげだったのだが、今日はその特異な姿が良く見える。カップ麺の容器のような頭でっかちのシルエット、スチール製のフレームに全面強化ガラス張りというものである。まるでアニメにでも登場しそうなイメージである。ポストモダン風建築というのだろうか、1997年に完成したこの建物は周囲の広大な湿地と干拓地の中でランドマークとして一際目立つ存在となっている。
事務所に入って、2人とお茶を飲みながら、施設のこと、この地域の自然や歴史のことなど多くの情報をお聞きする。T館長はさまざまなジャンルに知識がとても豊富で飽きることがない。しばらくしてから館内を上から案内してくれると言うので後にしたがった。まずは屋上からの絶景を見ようと最上階のドアを開けた。外は寒風が吹きチラホラと雪も降っている。2人共、ポケットに手を突っ込んで「寒い!」を連発していた。地元の人が寒いというのだからかなわない。こちらは関東地方とは質の違う身に染みる寒さに震えあがってしまった。「ベルビューッ!!」それにしてもここからの眺めは素晴らしい。『福島潟』のウェットランド(低湿地)が全貌を表し、東西には広大な米所、越後平野の干拓地が広がる。その平野を囲む遠景の雪化粧をした山並み。寒さも忘れてしばし見入ってしまった。
エレベーターで移動しながら順番に移動していく。明日の版画のワークショップの会場を下見してから(ワークショップの模様は次回のブログに更新します)福嶋潟の自然や生物の詳しい展示物を見ていく。館長の説明つきなのでとても解り易い。各フロアー内は徒歩で移動するのだが、この建築ちょうど巨大な巻貝の内部のような構造になっているので、周囲をグルグルと回っているような感じである。「お年寄りなどは目が回るようだという方もいらっしゃるんですよ」と、館長。ようやく個展会場『日本の野鳥-The Birds of JAPAN』に到着。50点の野鳥版画作品が整然と展示されていた。地元ギャラリストM氏の提案もあって中央のマガンの飛翔を主題とした大判木版画を中心に四季を追っての種類となるように並べられてる。これはグッド・アイディアだ。野鳥を知る人も知らない人も楽しめる展示内容となった。自然関係の公共施設での個展は今回が初めてではないが、なかなかしようと思ってもできるものではない環境で開催できたことにとても感謝している。担当のN氏、T館長、ギャラリストのM氏その他多くのスタッフの方々、ありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。
展覧会は今月23日(月・祝)まで、1階ミュージアムショップでは今回出品の版画作品の中から数点を選び特別販売もしています。まだいらしてない新潟周辺のみなさん、この機会にぜひご高覧ください。詳細は『水の駅・ビュー福島潟』ホームページにてご確認ください。http://www.pavc.ne.jp/~hishikui/
画像はトップが『ビュー・福島潟』全景。下が屋上から見た福島潟、個展会場風景。