長島充-工房通信-THE STUDIO DIARY OF Mitsuru NAGASHIMA

画家・版画家、長島充のブログです。日々の創作活動や工房周辺でのできごとなどを中心に更新していきます。

451. 2022年・美術学校のリモート授業が始まった。   

2022-05-31 20:01:43 | カルチャー・学校
今年も4/20より東京の美術専門学校、A美術学院で担当しているリモート授業が始まっている。実は今年こそ対面によるリアルでの授業が再開できると思っていたのだが…長引くコロナ禍の影響下での3年目のリモート授業と言うことになってしまった。

担当する実技実習は例年通り前半期は1年生の描写表現を重視した『変容・Metamorphosis』というテーマの実習である。「変容」とは西洋の15世紀マニエリスムの頃から美術の中で延々と繰り返されてきた表現である。
その現代的な応用はアニメやゲームの世界にも多くを見出すことが出来る。今日のアーティストやデザイナーを目指す若い学生たちにも違和感なくダイレクトに理解することができるテーマだと思っている。

テキストとしては、例年通り、15世紀マニエリスムの画家で今日では「変容」表現の代名詞ともなっている、ジョゼッペ・アルチンボルド(Giuseppe Arcimboldo 1527-1593)の絵画作品の画集からの画像を用い変容表現の参考としている。
実際の内容としては人間と動物、人間と植物、動物や鳥類、魚類、昆虫類、植物等自然物を資料を基にいくつか選択し、置き換えたり、組み合わせたりしながら「変容された新たな生物」を創造し、描写していくのである。

リモート授業は最初の年は混乱し、不安になったものだが、さすがに3年目に入ったことで学校側、指導する僕ら講師側の方は大分慣れて来た。 ただ、毎年新入生をノーパソの画面上で見て来て「こんな時期に学生生活が始まって、本当にたいへんだなぁ…」と思うのである。
毎年、この状況下の授業で学生たちに伝える言葉がある。 それは「このコロナ禍をネガティヴに捉えない、自分たちだけが苦境にいるわけではなく世界中がこの状況下にある。そしてこの特別な体験の中でしかできないことをポジティヴに考えて行こう」ということである。

パソコンの画面上だが明るく元気な若いアーティスト志望、デザイナー志望の学生たちの笑顔にはこちらが救われ、元気づけられている。これから7月迄、どんな変容表現による力作の絵画作品が生み出されて行くのか、今からワクワクと楽しみにしている。