天燈茶房 TENDANCAFE

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もうすぐ帰る、君よ… ~HAYABUSA The Voyage Home~

2010-05-31 | 宇宙
明日から6月です。
今年は少し気象が変な感じですが、暦どおりならこの国は麗しい湿りと雨の季節を迎えます。

そして…
梅雨空の向こうから、宙(そら)から。彼が帰ってくる…
画像提供:JAXA

2010年6月13日23 時頃(日本時間)。
国際標識番号2003-019A 第20号科学衛星(工学実験探査機)
小惑星探査機「はやぶさ(MUSES-C)」
…地球帰還。


先週、彼と彼を支える家族「はやぶさチーム」は、5日間に渡って3回目の軌道補正マヌーバ(TCM-2)を実施。
本来ならば瞬発力のある化学スラスタを用いて行うべき軌道補正を、彼の身体に残された唯一の動力源であるイオンエンジンの長時間運用で実施せざるを得ないと言う極めて困難な軌道制御を見事に成功させ、確実に地球へ、最終到達目標地点オーストラリア・ウーメラへとその歩みを進めています。

また彼を迎える地球でも、既に、
“こんなこともあろうかと”の名言と共にはやぶさ最後の危機(→イオンエンジン中和器劣化による自動停止)を救った男、宇宙研はやぶさ運用チーム・イオンエンジン担当の國中先生に率いられた「カプセル回収班先発隊」は帰還地点のオーストラリア・ウーメラに向けて出発、現地で見事な虹に出迎えられた様子がはやぶさライブBlogで伝えられていました。

虹の歓迎(はやぶさライブBlog:2010/05/31 00:16 JST)

そう、もう6月なのです。
もう…あと2週間しかないのです!

…彼が帰ってくるのは本当に嬉しい。待ち望んだ、夢にまで見た、奇跡の地球帰還です。
でも…

それは同時に、彼との、はやぶさとの別れを意味しているのです。

6月13日深夜(日本及びオーストラリア時間)、オーストラリアのウーメラ砂漠の上空には、ふたすじの美しい流れ星が煌めくことでしょう。
先を往くのは、小さな、でもしっかりとした光を放つ流れ星。
そして、それを追う、大きく明るく輝く流れ星。

やがて、小さな流れ星は消えぬまま遂には地表に到達。
それを見届けた大きな流れ星は南十字星の星空に砕け、解けて、消えてゆくのでしょう…

冬の砂漠に流れる、それは僕たちのふたすじの涙。

でも僕は知っています。
砕けた流れ星は、決して消えたのではない。それは南半球の大気にとけて、いつしか地表に降り注ぐ。そして循環し、遂にはこの星の一部となるということを。

彼は、はやぶさは、本当に地球に帰ってくるのです…

それでも…
やっぱり、僕は悲しくて仕方がないのです!
わかっていても、やっぱり寂しいよ、悲しいよ…!
…はやぶさよ!君との旅が終わるなんて、いやだよ…

6月13日。
僕は、彼の旅を共に見守り続けた仲間たちと一緒に、彼の旅立った地にいます。皆で彼を出迎えます。
でも…
まだ、心の整理は全く出来ていないのです。