宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

銀河中心ブラックホールに、ただいまガス雲が接近通過中

2013年08月04日 | 宇宙 space
天の川銀河の中心にあるブラックホール
ここに今、ガス雲が接近通過しているんですねー

この現象は現在進行中で、南米チリ・パラナル天文台の超大型望遠鏡“VLT”で初めてとらえられました。
以前から予測されていた現象で、世界中の天文学者がその成り行きを見守っています。




ブラックホールに近づく
ガス雲の動き
2006年(青)、2010年(緑)、
2013年(赤)



ガス雲“G2”は、地球数個分の質量を持っていて、
太陽の400万倍もの巨大質量ブラックホールからもっとも近いところで、
およそ250億キロまで接近通過しています。
これはブラックホールに、のみこまれるかどうかの瀬戸際の距離だそうです。

ブラックホールの強い重力により、ガス雲は1600億キロもの長さにまで引き伸ばされていて、
先頭部分はすでに最接近点を通過して、時速1000万キロ以上のスピードで遠ざかり、
一方、後方部はまだブラックホールに向かって接近中だとか…
すべて通過し終えるまで1年以上つづく長期間の現象なんですねー






ブラックホールの重力で
引き伸ばされながら
接近通過するガス雲の
シミュレーション図




このガス雲が、どうやって出来たのか? まだ明確なことは分かっていません。
観測結果からガス雲の中には恒星が含まれていないので、ブラックホール周囲の恒星がガス雲の起源だと考えられます。

まぁー 今回のようなブラックホールへの接近通過を観測することで、
ガス雲そのものや、今まで詳しく分かっていなかったブラックホールの周辺環境、
そして強い重力による効果などについて、新たな発見があるかもしれませんね。