宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

大質量星が星団の力学的進化に与える影響

2014年04月02日 | 宇宙 space
星団の中心密度が急激に上昇するコアコラプスまでの時間は、星団中でもっとも重い星の質量に反比例することが、数値シミュレーションによる研究で明らかになりました。

星団の力学的進化のシミュレーション
星団中の重い星から順に、
赤、オレンジ、黄色、緑、青で示される。
星の集まりである星団では、
中心密度が急激に上昇する、コアコラプスという現象が見られます。

コアコラプスまでの時間は、星の質量がすべて同じと仮定したモデルの星団よりも、
現実に存在する天体のように、質量がばらけた星団の方が短いことが知られていて、
星団中でもっとも重い星の質量が大きいほど、短いことは分かっていました。

今回の研究では、星団中の星同士が引き合う重力をすべて計算しています。
そして、星の運動を調べる重力多体シミュレーションと解析的な計算により、
異なる質量の星を含む星団が、時間の経過にともなってどのように変化するか、
特にそのコアコラプスまでの時間がどうなるかについて調べれられています。

結果、シミュレーションからは、コアコラプス時間が、もっとも重い星の質量に反比例して短くなることが分かります。

これは、質量関数(星の質量のばらつき)を持つ星団のコアコラプスが、もっとも重い星の力学的摩擦のタイムスケールに合わせて進むためで、
今回、重力多体シミュレーションで初めて確認されたんですねー

星団のコア質量と、もっとも重い星の質量が同程度の場合は、
ほとんどコアコラプスは起こらず、星団の中心でできた大質量星の連星によって、周囲の星が弾き出され密度は下がっていくことに…
大質量星を含む散開星団は、このような力学的進化を起こしているようです。