現在は寒冷で乾燥している火星も、かつては温暖で湿潤だったようですが、
どうやら、穏やかな気候は一時的な期間に発生したもので、長続きはしなかったようです。
生命の貴重な要素である水、これをめぐり火星で一体何が起きたのか?
この謎は科学者たちを長きにわたり悩ませてきました。
これまでに無人探査車からは、
削られた跡がある渓谷、盆地、堆積三角州など、興味深い画像が地球に届いていて、
水和物を含む岩も見つかっています。
これらはすべて、火星にかつて数百キロ規模の河川や湖が存在したことを示すものなんですねー
でも、今の火星はひじょうに寒冷で、
主に二酸化炭素で構成された大気の大気圧もひじょうに低いので、液体の水が存在できない環境になっています。
火星の表面で水をまいたとしても、水は凍ると同時に蒸発してしまうそうです。
では、火星に液体の水が存在したのは、いつ頃なんでしょうか? そして、その水はどうなったのか?
この謎を解くためには、まず火星の過去の大気圧に関する情報を得る必要があり、
情報を得るのに、小惑星の衝突でできた火星のクレーターの大きさを測定することが必要になります。
これは、大気との接触で生じる摩擦により、小惑星が燃え尽きてしまうことを考慮すると、
大気の層が厚ければ厚いほど、小惑星の大きさはより大きくなければならないと考えることができるからです。
逆に言うと、大気が薄ければ、小さな岩でも燃え尽きることなく、地面に激突することがあり得るということになります。
このことを示す材料を得るために、
過去に水流が存在した証拠を示す、約36億年前に形成されたエオリス・ドルサ地域のクレーター319個が詳細に調べられました。
そして、これらのクレーターが、火星の大気圧が最大900ヘクトパスカルだった時期に形成された、と推算されることになります。
この大気圧は現在よりも150倍高く、興味深いことに、水が豊富な地球の海面における大気圧に近いんですねー
でも、ここで問題になるのが、
火星が地球より太陽から遠くにあること、
当時は太陽の輝度が現在よりも低かった、
ことです。
これらを考慮すると、火星の地表が水の凝固点を上回る気温を保つには、5000ヘクトパスカル以上の大気圧が必要になります。
でも、河川が存在した時期に、長期間持続する必要のある厚い大気は、火星には存在しなかったと考えられているんですねー
なので、火星に河が流れていた当時、安定した大気が存在しなかったとすると、
温暖で湿潤なCO2と水の温室の存在は除外され、長期の平均気温は氷点下だった可能性が非常に高くなります。
ただ、火星の水に関しては別の解釈もあるんですねー
1つは、水の酸性度と塩分含有量が高いので凝固点が下がり、大気圧が低い状況下でも水が液体のままで存在できたというもの。
もう1つは、火山噴火による温室効果ガスで、水流を可能にする高密度の大気が火星上にしばらく存在できたというものです。
さらにもう1つの可能性は、火星の傾きによって高密度の大気が「一時的な間隔」で発生するというものです。
軸が中心から少しずれている火星は、自転軸の周りをゆっくり傾転運動しています。
火星の歳差運動の周期は12万年ですが、この間に火星の極地方に届く太陽光の量には大きな変化が生じます。
極地方の水は、この変化に応じて凍結して氷床を形成するか、
もしくは暖められて大気を「再膨張」させ、穏やかな気候の時期に流れる河川を形成したのかも知れませんね。
どうやら、穏やかな気候は一時的な期間に発生したもので、長続きはしなかったようです。
火星探査車“キュリオシティ”が撮影した、 ゲールクレーターのグレネルグ周辺 |
生命の貴重な要素である水、これをめぐり火星で一体何が起きたのか?
この謎は科学者たちを長きにわたり悩ませてきました。
これまでに無人探査車からは、
削られた跡がある渓谷、盆地、堆積三角州など、興味深い画像が地球に届いていて、
水和物を含む岩も見つかっています。
これらはすべて、火星にかつて数百キロ規模の河川や湖が存在したことを示すものなんですねー
でも、今の火星はひじょうに寒冷で、
主に二酸化炭素で構成された大気の大気圧もひじょうに低いので、液体の水が存在できない環境になっています。
火星の表面で水をまいたとしても、水は凍ると同時に蒸発してしまうそうです。
では、火星に液体の水が存在したのは、いつ頃なんでしょうか? そして、その水はどうなったのか?
この謎を解くためには、まず火星の過去の大気圧に関する情報を得る必要があり、
情報を得るのに、小惑星の衝突でできた火星のクレーターの大きさを測定することが必要になります。
これは、大気との接触で生じる摩擦により、小惑星が燃え尽きてしまうことを考慮すると、
大気の層が厚ければ厚いほど、小惑星の大きさはより大きくなければならないと考えることができるからです。
逆に言うと、大気が薄ければ、小さな岩でも燃え尽きることなく、地面に激突することがあり得るということになります。
このことを示す材料を得るために、
過去に水流が存在した証拠を示す、約36億年前に形成されたエオリス・ドルサ地域のクレーター319個が詳細に調べられました。
そして、これらのクレーターが、火星の大気圧が最大900ヘクトパスカルだった時期に形成された、と推算されることになります。
この大気圧は現在よりも150倍高く、興味深いことに、水が豊富な地球の海面における大気圧に近いんですねー
でも、ここで問題になるのが、
火星が地球より太陽から遠くにあること、
当時は太陽の輝度が現在よりも低かった、
ことです。
これらを考慮すると、火星の地表が水の凝固点を上回る気温を保つには、5000ヘクトパスカル以上の大気圧が必要になります。
でも、河川が存在した時期に、長期間持続する必要のある厚い大気は、火星には存在しなかったと考えられているんですねー
なので、火星に河が流れていた当時、安定した大気が存在しなかったとすると、
温暖で湿潤なCO2と水の温室の存在は除外され、長期の平均気温は氷点下だった可能性が非常に高くなります。
ただ、火星の水に関しては別の解釈もあるんですねー
1つは、水の酸性度と塩分含有量が高いので凝固点が下がり、大気圧が低い状況下でも水が液体のままで存在できたというもの。
もう1つは、火山噴火による温室効果ガスで、水流を可能にする高密度の大気が火星上にしばらく存在できたというものです。
さらにもう1つの可能性は、火星の傾きによって高密度の大気が「一時的な間隔」で発生するというものです。
軸が中心から少しずれている火星は、自転軸の周りをゆっくり傾転運動しています。
火星の歳差運動の周期は12万年ですが、この間に火星の極地方に届く太陽光の量には大きな変化が生じます。
極地方の水は、この変化に応じて凍結して氷床を形成するか、
もしくは暖められて大気を「再膨張」させ、穏やかな気候の時期に流れる河川を形成したのかも知れませんね。