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“SPHEREx”ミッションの目標は宇宙誕生に関する疑問と地球に到達した水の経路の解明! 宇宙望遠鏡は2025年4月に打ち上げ

2023年11月23日 | 宇宙 space
NASAの公式サイトに宇宙望遠鏡ミッション“SPHEREx(Spectro-Photometer for the History of the Universe, Epoch of Reionization, and Ices Explorer)”の情報がアップされました。
近赤外線宇宙望遠鏡“SPHEREx”のイメージ図。主鏡の周りについているコーンは、望遠鏡を赤外線から遮断するために取り付けられている。(Credit: NASA/JPL-Caltech)
近赤外線宇宙望遠鏡“SPHEREx”のイメージ図。主鏡の周りについているコーンは、望遠鏡を赤外線から遮断するために取り付けられている。(Credit: NASA/JPL-Caltech)
“SPHEREx”のミッションは、赤外線の波長で全天をマッピングし、1年に2枚の地図を作成すること。
小さな望遠鏡ですが、視野が非常に広いので、膨大な量の光を集めることができるんですねー
“天の川銀河の1億個の恒星”や“4億5000万の銀河”の画像を、そのスペクトルデータとともに記録していきます。

これにより、宇宙の大規模構造を追跡することを可能にし、138億年前の宇宙の誕生に関する疑問の解明を目指します。
さらに、恒星や惑星系が形成される領域における水や氷の存在量を調査し、水がどのようにして地球に到達したのかという謎を解く手掛かりを探すことになります。

“SPHEREx”による観測データは、近赤外線宇宙望遠鏡“ユークリッド”(※1)とナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡(※2)による分光観測を補完することが可能です。

※1.“ユークリッド”は、2023年7月に打ち上げられたヨーロッパ宇宙機関(ESA)主導の近赤外線宇宙望遠鏡。100億光年先までの銀河の形状や位置、距離を測定し、これまでで最大で最も正確な宇宙の3次元マップを作成。この地図を手掛かりに、宇宙の構造に大きく影響してきたダークマター(暗黒物質)やダークエネルギー(暗黒エネルギー)の謎を解明する。

※2.ナンシー・グレース・ローマンは、NASAが2026年10月から2027年5月までの間に打ち上げを予定している宇宙望遠鏡。この望遠鏡は、宇宙から重力マイクロレンズ探査を行い、数万個のマイクロレンズ現象を発見し、1000個以上の主星を公転する惑星を発見すると期待されています。

“SPHEREx”が提供する前景銀河の高精度赤方偏移情報(※3)は、“ユークリッド”とナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡による背景銀河の弱い重力レンズ測定に対応していて、前景銀河を取り囲むダークマター(暗黒物質)の分布を直接測定することができます。
さらに、“SPHEREx”の低赤方偏移調査ではインプレーションパラメータの測定を、ほぼ独立して行うことが可能なので、新しい一連の証拠が提供されるはずです。

※3.膨張する宇宙の中では、遠方の天体ほど高速で遠ざかっていくので、天体からの光が引き伸ばされてスペクトル全体が低周波側(色で言えば赤い方)にズレてしまう。この現象を赤方偏移といい、この量が大きいほど遠方の天体ということになる。110億光年より遠方にあるとされる銀河は、赤方偏移の度合いを用いて算出されている。

現在、“SPHEREx”はカリフォルニア工科大学のケイヒル天文学・天体物理学センターの地下室で、一連の厳しいテストを受けている最中です。

“SPHEREx”は、2025年の4月にスペースX社のファルコン9ロケットに搭載されヴァンデンバーグ宇宙軍基地から打ち上げられ、地球周回軌道に投入されることになります。


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