神楽坂の中国料理「天水」で、「朗読と秋の中華料理会食」にお招きいただき、朗読をさせていただきました。森鴎外の「高瀬舟」と、民話小話を二つほど。
「高瀬舟」は、森鴎外が大正5年に記した彼の代表作である。遠島の刑で「高瀬舟」に乗り護送されていく喜助の佇まいや話に、同心の庄兵衛の心が動かされていく。
人間の欲にはキリがない。だが、喜助は貧しく他人から見れば恵まれぬ人生を送ってきていながら、境遇を嘆きもせず、できるだけのことをやって、そして足る事を知っている。
もう一つ。罪を問われた弟殺し。今でいう安楽死の問題である。不治の病にかかり、兄を楽にしてやろうと自分で咽笛をかききった弟が、死にきれずに血を流しながら苦しんでいる。「早くかみそりを抜いてくれ」と苦悶し懇願する弟を見ていられなくなって、喜助はとっさにかみそりを抜いてやる。これが、果たして罪だろうかー、と、庄兵衛には自分で答えを見出せぬまま、高瀬舟はおぼろ月夜を滑っていくのである。
私自身も、中学時代に読んだきりだったのですが、今回、「天水」のマスター柴田さんにリクエストいただいて、改めてこの作品をじっくり読み返すことができ、ありがたく思いました。
満員御礼、終わった後の食事会も会場一体のとても温かい雰囲気で、地元神楽坂住まいの落語家三遊亭右京さんのお話も聴くことができて(笑いました)、おいしい中華料理とともに私もいい時間を過ごさせていただきました。本当にありがとうございました。
「高瀬舟」は、森鴎外が大正5年に記した彼の代表作である。遠島の刑で「高瀬舟」に乗り護送されていく喜助の佇まいや話に、同心の庄兵衛の心が動かされていく。
人間の欲にはキリがない。だが、喜助は貧しく他人から見れば恵まれぬ人生を送ってきていながら、境遇を嘆きもせず、できるだけのことをやって、そして足る事を知っている。
もう一つ。罪を問われた弟殺し。今でいう安楽死の問題である。不治の病にかかり、兄を楽にしてやろうと自分で咽笛をかききった弟が、死にきれずに血を流しながら苦しんでいる。「早くかみそりを抜いてくれ」と苦悶し懇願する弟を見ていられなくなって、喜助はとっさにかみそりを抜いてやる。これが、果たして罪だろうかー、と、庄兵衛には自分で答えを見出せぬまま、高瀬舟はおぼろ月夜を滑っていくのである。
私自身も、中学時代に読んだきりだったのですが、今回、「天水」のマスター柴田さんにリクエストいただいて、改めてこの作品をじっくり読み返すことができ、ありがたく思いました。
満員御礼、終わった後の食事会も会場一体のとても温かい雰囲気で、地元神楽坂住まいの落語家三遊亭右京さんのお話も聴くことができて(笑いました)、おいしい中華料理とともに私もいい時間を過ごさせていただきました。本当にありがとうございました。