高反発と低反発とでは、どちらが良いのでしょうか? 良く受けるご質問です。
低反発=柔らかい。高反発=硬い 多くの方がそのように思って見えます。でも、高反発でも「柔らかい」ウレタンもあります。硬い・柔らかいを表現する値が「ニュートン値」です。
定義・・・ニュートン値とは、マットレス中身のフォームを平らに置き、直径200mmの円形加圧板を乗せ、フォーム元厚の75%の距離まで押し込んだ後、元に戻して、再び元の厚さの25%の距離まで押し込み、20秒間静止させた時の荷重値をN(ニュートン)で表わし、マットレスの硬さとします。
25%圧縮と言うのは、10cm厚のウレタンを7.5cmまで圧縮した時の硬さです。
業界の定義はそうなってます。この数字からは、硬い・柔らかいの基準は分かりますが、硬さと寝心地・快眠との関係は「判らない」というより、むしろ「関係ない」というのがのが正解でしょう。さらに、ご注意戴きたいのが、20秒後の硬さという事です。
朝起きたら、敷きふとん(マット)に、ご自分の人型が残っていると言われる方も時々あります。つまり、20秒経過したから、沈み込みが止まるという意味ではありません。沈み込みが止まらなければ、もっと沈んでいたという事です。
体重80Kg・身長175㎝の人の寝姿勢
柔らかい寝具で寝ると臀部が沈み寝姿勢が崩れるという説明で、上図のような模式図を広告等で見かけます。考えてみると極めて現実離れした図ですね。こんなに沈んだら、寝返りは打てません。
体重80Kg・身長175㎝の人が、上図のような状態の寝姿勢であったとすれば、マットの硬さ(ニュートン値)は 30N以下となるでしょう。かつ、マット厚は50㎝ほどの厚さが要求されるでしょう。販売されているウレタンマットは粗悪品といえども30N程度の硬さはたぶん無いでしょう。朝起きる時上図のような寝姿勢であったならば、ニュートン値の問題ではなく、沈み込みが止まる止まらないの問題ではないでしょうか。あるいは、ヘタリが有るか無いかの問題でしょう。
ウレタンマットの品質表示に書いてあるニュートン値は、25%圧縮時の硬さです。市販の安価なウレタン素材(密度18kg/m3)で、25%圧縮で90N±20N、40%圧縮で100N±20N程度とか、高品質素材によっては200N程度まで硬さはいろいろあります。密度40kg/m3のハイクラスウレタンで、25%圧縮で150N±25N、40%圧縮で170N±25Nだそうです。一例であって、メーカーや密度によっても大きく異なります。
圧縮が大きくなればなるほど硬くなるのも事実です。しかし、25%圧縮と40%圧縮とでは、思うほどの差が無いようです。概ね、10~15%程度の反発力増です。
爺の思うに、理想の敷きとは、背筋(背骨)はS字の曲がりを残しつつ、全体では真っ直ぐになるためには、固い敷きが良いと思います。だが、人の体は凸凹が有りますから、床との隙間ができます。この隙間を埋めてやるために、表面(表層)は柔らかいものが要ることになります。そして、その寝姿勢を朝までキープできることが大切です。
芯(下層)は硬く、表面(上層)は柔らかく。
均一の硬さのウレタンで気持ちよく寝るには、90N~150N程度(身長・体重によって変わる)が良いと思いますが、下からの支え(支持性)や、復元力が劣るウレタンでは、最悪数年でヘタってしまうことになります。つまり、比重のある、密度の高いウレタンが要求されると思います。
ヘタッた敷き(ベッド)は体(寝姿勢)に悪いのは当たり前です。
寝心地は、単純にニュートン値の実験的硬さで説明できるものではありません。また、納得できるわけではありません。ウレタンマットの寝心地は、固さ・柔らかさだけでなく、通気性や復元力などいろんな要素が関わってきます。
硬さ・柔らかさだけで、寝心地は判断できません。
商品寿命の尽きた敷き寝具に、何を載せてもダメなものはダメなのです。
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【2018.10.21加筆】ニュートン値の定義が変わりました。… 参考までに
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