・九電の値上げ申請審査
産経新聞は九電の値上げ申請審査に就いて次のように書いています。
東電より大きな人件費の削減幅 値上げ審査 九電に公平性欠く
九州電力の値上げ申請で電気料金審査専門委員会がまとめた査定方針案は、九電社員の平均年収を現在より28%削減する原価低減を盛り込んだ福島第1原発事故を起こし、実質国有化された東京電力の平均年収の下げ幅が23・68%だったことと比べると、著しく公平性を欠いたといえる。原発長期停止による業績悪化という本質に目を背けた感情的な九電バッシングが、九電社内の士気を下げている。。
九電は家庭向けの値上げ申請で、社員の平均年収を21%削減することを盛り込んだが、従業員千人以上の平均年収594万円を目安に、さらなる削減を九電に要求。28%減の598万円とする方針案をまとめた。
九電側は、社員の平均勤続年数が21・3年と全産業平均(14・3年)より長く、年収が上昇していることなどを主張したが、専門委は「電力会社は地域独占のもとで競争がない。一般企業の平均値を基本とする」として、九電側の主張を一切認めなかった。
急激な年収ダウンは、特に住宅・教育ローンを組んでいる社員にとって大きな負担となり、社員の士気低下は避けられない。
[私の意見]
・九州電力の経営側に立って見れば、役員報酬平均3200万円を事務次官級の平均1800万円に下げることは賛成だし、顧問料の8900円は九電の神経を疑うもので、原価に入れるのを認め無かったのは当然です。
・然し社員の平均勤続年数の違いを認めず、しかも破産した東電社員の下げ幅を下回る28%減としたのは余りにも酷すぎます。
専門委は今後の電力の安定的な供給や予想される原発の安全運転のために不可欠な社員のモラル維持に就いて配慮すべきした。
・産経はこの決定を原発長期停止による業績悪化という本質に目を背けた感情的な九電バッシングとし批判しています。
私は前に何度も書いたように、空気に流されやすい日本人の特性に従って、原発もそれを所有する電力会社も悪と言う潜入観念で、民主党政府から官僚、政府・国会・民間の事故調査委員会、各種の委員会から国民まで物事に対応して大小の過ちをしてきました。
今回の社員の報酬削減もその線に添ったものです。
・第一国民の生活に多くの影響を与える電力料金を決めるのに何故今このような決定をするのでしょう。
「電力会社は地域独占のもとで競争がない。一般企業の平均値を基本とする」と言うのなら、現在値上げ申請をしないの電力会社の電力料金の審査をすべきです。
・安念委員長の原発停止は違法発言
ところが、その審査専門委員会の安念潤司委員長が
原発停止は違法 と言う見解を発言したそうです。
「原発を再稼働させるのは完全に適法。国が再稼働してはいけないと言う方が違法だ」。安念潤司委員長は、関西電力と九州電力の料金値上げの査定方針を取りまとめた日の会合で「原発をすぐに立ち上げればコスト増にならず、われわれもこういうことをやらずに済んだ」と強調した。
安念委員長は「原子力規制委員会が審査して、再稼働を認めるなんてことは全く理解できない。そういう審査権は法令のどこにもない」と指摘。何となく原発を止めていなければいけないのは、法治主義の大原則に正面から反する」との持論を展開した。
[私の意見]
これに就いて環境ジャーナリストの石井孝明さんはツイッターで次のように評価しています。
当たり前の発言が、ようやく政府当局者から聞けた。しかし、このニュースを感動して受け止める私の気持ちが悲しい。早く民主党の呪縛を成仏させ、正常な法治国家に戻ってほしい。
私は石井さんの意見に全く賛成です。
民主党政権は福島第一の事故に舞い上がって同じ災害にあった東電の福島第二も東北電力の女川も無事停止したのに、超法規的に全ての原発を止めて仕舞いました。
前にも書いたように空気に流されやすい日本国民もマスコミも有識者もだれも異議は唱えませんでした。
東北の震災と原発事故が或る片づかないながらも、何カ月が経って今後の在り方が議論され始めたこと、読売、日経、産経などが原発漸減を主張し始めても、安念さんの言う正論は出てきませんでした。
私は最初から福島第一の事故の責任の95%は東電、それも東電の経営陣あると書いてきましたし、情報が明らかになった今は98%近くは東電の責任だと書いています。
然し原発事故発生時の菅さん以下の政府幹部の混乱、反原発派のキャンペーンのお蔭で日本政府も責任(当時は半分以上の責任)があると批判して来ました。
それが筋が通らない全原発停止という非合法的な処置がまかり通って来たような気がします。
現在福島第一の事故の責任の半分は政府だと言う意見は、左寄りの反原発派から出るだけです。
国会でも原発を推進してきた自民党政府、原発事故発生時の民主党政府の責任は国会でも殆ど取り上げられません。
テレ朝などで福島第一の地震による事故原因がはっきりしないので、それがはっきりしない限り安全基準もできないし、再稼働も遅れるだろうと言っています。
然し女川も福島第二も地震による事故発生は避けられています。
IAEAの調査団も女川を見て今後の原発の地震対策ははっきりしたと喜んで帰ったそうです。
少なくとも福島第一と隣接地域の3分の2の原発は無事停止したことが全国民に浸透すれば、今後の原発の再稼働の問題も自然と解決すると思うのですが。
私は政府・国会の原発事故調査委員会が福島第二、女川も調査すべきと書いたのですが、もし彼らがそうすれば今回のように原発再開の遅れ、電気料金の値上げ問題も無かったような気がするのですが。
そう言う点で、まだ原発は悪との空気の残る中でその点で原発停止の非合法性を指摘した安念さんは強引な九電の値上げ審査へのいくらかの呵責の念からの発言かも知れませんが、それは其れで評価すべきと思うのですが。
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