普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

日本の貧困化と格差の拡大

2008-01-13 06:59:27 | 政策、社会情勢

 昨年暮れのNHKの視点・論点で武蔵大学教授の橋本健二さんが「2007年社会・新しい階級社会」と言うタイトルで概要次の様に言っていたので紹介する。
・1980年頃までは日本は格差の小さい平等な国だとよく言われたが、その後はほぼ一直線に格差が拡大し、イツやフランスなど多くの先進国より大きくなっている。
・こうした格差の拡大は、日本の社会に深刻な問題を引き起こしている。
[1.貧困の増大]
まず第1は、貧困の増大だ。日本の貧困率は15.3%で、主要先進国ではアメリカに次いで2番目に大きくなっている。ドイツやフランスは日本の約半分、北欧諸国は3分の1程度にすぎない。
・貧困の増大には、2つの原因があ。
(1)貧しい年寄りが増えた。年寄りには、安定した所得がないため、貧困に陥りやすいのだ。
(2)ワーキングプアと呼ばれる人々が増えた。彼らは10年間で75万人増え、534万人に達している。
・資本家家階級、専門職や管理職などを新中間階級を除く、単純な事務作業や販売・サービス、マニュアル職などの労働者階級では、貧困層が342万人と非常に多く、ここ10年間に、70万人も増加している。
・労働者階級の貧困層の約3分の2、224万人が非正規労働者で、正規労働者ではむしろ、貧困層が減少している。
[2.挽回できない格差の拡大]
・貧困の増大と並ぶ2番目の大きな問題は、挽回できない格差の拡大だ。
 格差のなかには、本人の努力や能力の違いによって生み出される部分もあるが、いったん形成された格差は、固定化する傾向がある。
・親が貧しいと、子どもは十分な教育を受けることができない。だから貧しい親の下に生まれた子どもは、自分も貧しい生活を送らざるを得なくなる可能性が高くなる。つまり、格差が固定化してしまうのだ。
 大学進学率は、親が資本家階級や新中間階級だと6割程度に上るが、親が労働者階級だと約2割にすぎない。階級の固定化だ。
フリーターには、貧しい家庭に育ったために進学することができず、就職難の中で仕方なくフリーターになったという若者が多い。 (私の意見、若者もいる) しかも企業は、新卒の若者を優先して採用する傾向があるため、いったんフリーターになると、なかなかそこから抜け出すことができない。こうした若者たちは、失業者などを含めるとすでに550万人に達している。
・彼らは、収入が少ないため、結婚することも、また子どもを産み育てることも難しいこれらの若者たちは、独身のまま、いずれは中高年の貧困層となっていく可能性がある。
・格差はどんな社会にもある。多少格差があっても、大多数の人々がそれなりに豊かな、「安定した普通の暮らし」を送ることができ、また子どもたちが、その希望に応じて進学し、希望する進路を選択することができるなら、それほど問題はないということもできる。
・普通に家族を持つこともできない、貧しい若者たちが増えているというのは、深刻な問題だ。金持ちでもエリートでもない普通の国民の間に、階級の固定化が進んでいる。親の世代の格差拡大が、子どもたちの未来を制約している。
・この意味で日本は、深刻な問題をはらんだ、新しい階級社会になりつつある。
このままだと近い将来、国民の間に深刻な利害の対立、そして相互不信や敵対が起こる。日本の社会は、いま、大きな岐路に立っている。
このような不幸な未来を避けるため、格差を縮小し、すべての人々に「安定した普通の暮らし」を保障するための政策が、いますぐ検討されるべきだ。

<<私の意見>>
[貧困化の問題]
 この問題は渡しが9月19日の小泉改革とは何だったか 
で書いてから下記の参考資料に示すように何回も取り上げてきた。
 詰まり膨大な人口と極端に安い給料と言う潜在的な競争力を持つ中国の台頭→日本の競争力の低下→企業経費の削減による競争力の強化→契約、パート労働者の採用→ワーキング・プアの発生だ。

 最近ではNHKもこの問題を取り上げ、視点・論点 「シリーズ格差・貧困
を報道している。

[貧乏な高齢者]
 昔は若い人達は独身で親たちの同居していたときは、給料はそっくり親に渡し、それらか小遣いを貰って生活していた。そして子供が独立するときはその貯えの一部を出して貰うがその残りは親の生活費に当てられた。そして子供が独立後も某かの金を仕送りするのが普通だった。当時、年金制度は無かったがそれで子供がしっかりしている限り親の貧乏暮らしなど考えられなかった
 時代は変わったが、それでも社会に出るまでは親に見て貰ったのだから、親が困っている時は子供が助けるのは当然の話で、年金問題などもこの考え方からも立っていることを政府はもっとPRすべきだ。

[結婚出来ないワーキング・プア]
 この問題に繋がる少子高齢化の問題は国民の意識の問題などが絡む難しい問題だが、年金制度の確立、福祉体制の充実、優秀な労働者の確保などのため絶対に解決しなければならない問題だ。
 その解決を妨げている要因の結婚出来ない若者の支援策も緊急の課題だ。

[挽回できない格差の拡大]
 格差の発生を防ぐ方策は誰でも進学できることで、日本ではそうなっているし、その為には奨学金制度なども機能している。
 それを妨げているのは学力の向上の一端私立の小中学校や塾に任せてしまっている公立の学校と教師だ。
 格差の拡大も公立の学校と教師が頑張れば出来る事だし、少子高齢化問題の解決より遥かに容易にできることだ。
 それを妨げるものが排除すべきだし、制度は改善して行く事だ。

[企業倫理の問題]
 橋本健二さんは触れていないが、彼の意見の全てに企業経営の問題が絡んでいるのは明らかだ。
 企業は中国の台頭、自由経済、詩情注進主義経済の負の部分の発生で厳しい環境にあることはよく分かる。
 然し、日本企業としてその運営が日本の将来に大きな悪影響を与える貧困化の問題については、真剣に考えて貰いたいものだ。
 それは日本の為になるだけでなく、貧困化の解消→国内消費の核だなど企業にとっても悪い話ではないのだから。

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参照:
企業倫理:
欠如した企業経営者の倫理観
貧困化:
年金問題と毎日放送とNHK 福田内閣の課題
          
リーダーシップと国民の意識 
          
小泉さんのやったこととこれから
          
日本のこれから


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3 コメント

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政治は所詮国民が選んだもの (自己責任)
2008-04-05 21:25:52
国民一人一人が自身のおかれた現実にきずき自己を改革しない限り現状は変わりません。選挙の投票率が
国民の無責任さをあらわしていると思います。
まだまだこれくらいの危機では目が覚めないと思います。国としての大底をあと何年で付けるのか多分
暫くかかると思います。なぜなら国民を覚醒させるような悲観的なニュースはまだまだ少ないからです。
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Unknown (無党派A)
2008-01-14 16:25:58
米流時評さん
こちらこそ勝手にTBさせて頂いております。
ご丁寧なコメントを頂きまして有り難うございます。何分非常に狭い視野からのブログなので、今後ともお気づきのことが有りましたら、ご助言とサポートをお願い致します。
返信する
隠れた日本の危機 (米流時評 ysbee)
2008-01-14 11:08:21
無党派さま、いつも勝手にTBを送らせていただいてます。
毎回深くて濃い内容で、日本を離れて20年近い当方にとって非常に参考になります。

今回の社会の貧困・格差・階級化問題、里帰りで帰る度に気になっていたテーマで、興味深く読ませていただきました。
社会の傾斜というのは、大事件のように突発するわけでなく漸進的に進行するので、メディアにもなかなか取り上げられる機会が少ないと思います。しかし長い目で見ると、日本の骨格を変えるような重大な問題に思えます。
今後も、こういった危機的問題に真剣に取り組まれる貴ブログに期待しております。
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