・日本の専門家たちが結託して原発の事故を起こしたのか・原発の現場の人が参加しない原発論議・原発現場の人達の意見が幹部に伝わっていたのか・国も事故調査委員管も原発現場の人達の意見を訊け プログ村政治ブログへ
・日本の専門家たちが結託して原発の事故を起こしたのか
6日の日本経済新聞の報道です。
橋下市長、原子力新組織「過半は外国人に」
大阪市の橋下徹市長は6日、原子力安全行政を一元化する新組織の専門家メンバーについて「過半数は国際標準に精通した外国人部隊を入れるべきだ」と述べた。近く、大阪府市エネルギー戦略会議で出す声明文に盛り込む方針という。
橋下市長は「日本の専門家と言われる人たちが結託して原子力発電所の事故を起こした。外国人に頼るのは情けないが、体質改革しなくてはならない」と語った。 この中で外国人部隊を導入の件に就いては多くのブログの批判が出ているようなので省略します。
私が取り上げたいのは橋下さんの「日本の専門家と言われる人たちが結託して原子力発電所の事故を起こした。」と言う言葉です。
・原発の現場の人が参加しない原発論議
この発言に就いてだけではありませんが、今までの原発論議で原発の現場に働く人達の意見が全く出て居ません。
多分その反応の大きさと所属する会社への遠慮からであることも容易に推察できます。
その代わりに大型の石油化学工場で働き、出向した会社の仕事で原発内にも入ったことのある私が勝手に現場の人達に代って書きます。
もしこの原発の現場の関係者がこのブログを見られたら、どうぞご意見を頂きたいと思います。
私の関係した石油化学工場では圧力は約2000気圧、温度は液化ガス600℃近くの高温高圧。流体は酸、アルカリなどの危険物、何時爆発してもおかしくないガスばかり。それで産業経済省や厚生労働省の管理下に置かれています。
私の属する会社は大型の石油化学コンビナート建設のために、基幹プラントのライセンスと技術をそのまま海外から受け入れて建設、運転を始めました。
結果はバルブ設置不足のため一カ所のプラントの故障で、全く問題のない他のプラントでみすみす止めねばならぬなど、運転上の不具合があちこち発生、配管、特に蒸気配管の洩れの続出など多くの問題が起こりました。(福島第一の場合は主要配管はSUS304→SUS316への変更など開発途上の原発、日本には技術がないので米国から教えて貰いながらの導入、で数多くの問題が起こって当然です。)
私どもは原発と違って化学工場の運転・保全のノウハウがありましたので、建設・保全が共同で建設基準の総見直しを行いました。
勿論このような具体的なことは専門家と言われる学者たちに相談無しです。
何故なら専門家・学者と言う人達は技術の発達で、狭い分野の専門家になっており、バルブの増設や溶接の仕方、ポンプの取り扱いなど、広範囲のことは現場の人達のほうが遥かに詳しいからです。
その基準に準じた建設された2期工場は、プラント共倒れ状態の防止に伴う生産性向上、不具合の機器の改善、流体洩れの激減で安定した運転を取り戻しました。
橋下さんの言う専門家の意見を訊くのはややこしい回転機械の振動解析、ステンレス鋼などの異常腐食などごく限られて範囲しかありません。
・福島第一の人達の意見が幹部に伝わっていたのか
今回の福島第一の事故で言えば、各種タンクの流出、外部電源損傷、緊急電源装置の浸水、計装や電機機器の浸水、ベント弁の故障など、高等工業専門学校卒業程度の技術で処理出来るものばかりで、大学の教授などのお偉方の出番はありません。
Wikipediaに依りますと、福島第一でもTPM活動(全員参加型の生産保全)という自主管理、改善活動が導入されたそうです。
ある程度の基礎知識のある私どもの化学工場と違って、有名なむ蓮池さんの話しによると、設立当時は英文のマニュアルの翻訳で精一杯の原発の現場の人達も経験を積むに従ってTPM導入当時の原発の人達は原発の運転・保全に精通している筈です。
TPM活動の間必ず改善提案がでます。
当然に福島第二に緊急電源装置を水密性の高い原子炉建屋に移したとき、長時間の全電源喪失の対策見直しの動きがあった時、業界から申し入れを受けて原子力安全委員会が中止した時(橋下さんはこの事実も含めて言っているかも知れませんが)一番に反応するのは毎日放射能の危険に曝されている原発の現場の人達で、学者や専門家、安全委員会が何を言おうと、東電の本店がどう反応しようと、これに対する何らかの意見が現場から出ている筈です。
前にも一度書きましたが、私どもの例で言えば建設側の課長が大物で、次期工場の安全、円滑な運転のため保全の意見を総て受け入れました。
それで2期以降の工場群はごく一部を除いては成功に終わりました。
問題は保全の意見を皆聞いていては建設費が上がるだけと、本社側から強い批判がでましたが、彼は頑として受け付けませんでしか。
結果は彼のような大物の管理者がその大きな業績やに相応しくない不遇の位置で終わりました。
東電の場合は現場の意見を本店がどの程度受け入れたのでしょう。
経費がかかり過ぎていると言って本店が現場の意見を無視したのではないでしょうか。
橋下さんの言うように現場の人達が専門家の言うことで振り回されたのでなく、現場の人達が自分の身と会社を守るためにどのように動き、それを幹部がどのように受け入れたか否かが、福島第一の事故発生の大きな要因なのだと思います。
来日して調査して報告を纏めたIAEAの報告書は「原発の設計者とオペレーターはあらゆる自然災害の危険性について適切に評価しそれを防ぐべきだ、そしてそれらの評価と評価方法は定期的に最新のものにすべきだ」と言っています。
この報告など無関係に、橋下さんも政府・国会の事故調査委員会も政府や所謂原子村の学者の批判ばかりしています。
もし専門家たちが何を言おうと、東電の幹部と現場のコミュニケーションが良ければ、福島第一の事故も第二、女川と同様に何とか抑えられたかも知れないと思うのですが。
勿論、私の意見は私の狭い範囲の経験からの推測です。
最初に書いたように各社の原発の運転・保全の担当者が見られましたら、是非アドバイスをお願いします。
・国も事故調査委員管も原発現場の人達の意見を訊け
そして国としても、政府・国会の事故調査委員会も、政府や東電のお偉方ばかり調査せずに、現場の運転・保全の当たる人達、福島第一の人達が忙しければ、他社の原発の人達の意見でも聞けば実のある意見が聞けると思うのですが。
日常身を危険に曝されている、彼らは福島第一の事故を他人事でなく我が事として真剣に考えている筈ですから。
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兆円を越す資産をゴミにする決断が必要だった。”原発は安全”と国民を洗脳した人たちは自らも洗脳されていたのだろう。シビア・アクシデントのときは、兆を越す資産をゴミにするなど考慮していなかったのだ。東電も政府も、そんな決断ができるようにシステムができていなかった。
これは敗戦の時と同じ。”皇国不敗”などと国民を洗脳したから、洗脳する側も洗脳されたのだ。だから、敗戦を想定していなかった。
8月14日のポツダム宣言受諾のとき、ただちにソ連と降伏交渉をする必要があったのだ。ぐずぐずするから、9月2日の正式の敗戦時までのグレーの期間に北方諸島を奪われたのだ。
洗脳する側が洗脳されるようでは、バカザル列島だ。
一度あることは二度ある。原爆も二発のように。