普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

光市母子殺害事件から学ぶもの

2008-04-23 10:48:05 | 政策、社会情勢

 4月22日に全国的に注目を集めた広島高裁での光市母子殺害事件の判決が出た。
 やりたい放題の弁護士
の安田さんに率いられた21人の弁護団のやりかたに首を捻っていた私も彼らの敗訴の判決に本来なら喜ぶべき所だろうが、一人の被告の死刑がほぼ確実になって今、とてもそんな気にはなれない。
 ただ虚しいだけだ。

 然しこの裁判は多くのことかを私たちに教えてくれた。

[弁護士は被告のために何をしても良いのか]
ルールを護ること

 多くの弁護士は被告のためなら何でもして良いと言うが本当にそれで良いのだろうか。。
・検察の上告を受けての最高裁の公判の当初の予定日に主任弁護人の安田好弘弁護士・足立修一弁護士が取るに足らない理由で欠席して弁論が翌月に遅延したことについて、最高裁からも不誠実な対応であると非難されたし、また世の批判を浴びた。
 いくら弁護士でもルールは護るべきだ。

真実を明らかにすること
・被告の差し戻審での一転した荒唐無稽の供述をそのまま採用して、世間からは被告が弁護団から智恵を付けられたと疑われた。
 昨日のフジテレビの「スーパーニュース」に出演した同弁護団の一人で、団員と度々衝突した後、被告から解任された今枝仁弁護士は、被告の荒唐無稽な証言と現場の状況と考え合わせて、裁判所に納得して貰えるような証言をするよう被告にアドバイスしていたら、ことによると無期で抑えられたかも知れないと言っていた。
 私は弁護人は被告を護るのは勿論だが、被告の立場から見た事件の真実を明らかにする責任もあると思うのだが。

[特定信条を持つ裁判関係者]
 日本は民主主義国だから、法曹関係者でも左翼でも、右翼でも、今回のように死刑廃止論など特定の信条を持つ事は当然許されるべきだと思うが次のような問題もある。
弁護人の選定
・今回の弁護団は21名と言う空前の大弁護団だったこと、そしてその中に死刑廃止論者が多かったことから、被告のとんでもない供述と相まって今回の弁護活動は「死刑廃止運動のために事件を利用しているだけ」と批判をされた。
 それが今回の裁判の敗訴に影響したとは思はないが、もし被告がもっと頭がよければ、そのように裁判官に先入観を与え、自分に不利になるような弁護人を拒否するだろう。
 ベテランの安田さんもそんなこととうに知っている筈だ。
 それでしかも、死刑廃止論者を何故集めたのか。
 やっぱり世の勘繰りが当たっていたのかな。

裁判官の選定
・裁判官の場合も、上司または上級機関が、裁判の内容を見て担当裁判官を選任するのか否か、いやその前にそんな制度があるかどうか知らないが、政治的問題が絡む裁判で良く言われるように、裁判官の名前を見ただけで、裁判の前からもう判決の結果が判るなど言われないようなシステムは作るべきだと思う。
 近頃の裁判の判決がマスコミやネットで批判されることも多いが、裁判所はその信頼を得るためにも、裁判官の選定にあたってはもっと慎重にすべきだと思う。

[精神異常の被告のとり扱い]
精神鑑定の難しさ
 今回も被告の供述のように、犯行時の彼が精神異常状態にあったこと、彼の家庭事情から十代前半程度の幼稚性があることなどが情状酌量の余地を訴えられた。
 何年も前の犯行時の精神異常など判定は素人が考えても専門の医師や学者でも難しい事だと思う。
 だから少し頭の良い被告なら鑑定する医師をごまかそうとする。
 そして弁護人は当然のように自分達に有利な鑑定結果を利用する。
 そして医学の素人の裁判官がその鑑定結果の白か黒かを判定しなければならない。
 
精神異常者開放後の社会の安全の確保
 仮に本当の精神異常で犯行が行われたとして、無罪または短い刑期を過ごして、世の中に出たときの世の中の安全を如何に確保するのだろうか。
 性犯罪の常習者には刑期終了後も、ある程度の行動の制約があるそうだが、殺人犯や殺傷犯は放っていて良いのだろうか。
 世の中に精神異常による犯罪が増えて来ている事、それを理由に罪を逃れようとする人、それを助ける弁護人。

 やはり精神異常の被告のとり扱い何とかしなければいけないと思う。

[被害者にも弁護人]
本村さんの場合

 今回の事件では被害者の夫であり、父である本村洋さんは、9年間に亙り開かれた法廷の全て出席し、同様に妻を殺害された元日本弁護士連合会副会長岡村勲らと共に全国犯罪被害者の会を設立し、幹事に就任した。
 さらに彼の活動が犯罪被害者等基本法の成立に繋がった。。
 また、犯罪被害者の権利確立のために、執筆、講演を通じて活動してきた。
 そして、私たちも裁判の進行とともに大きく成長する彼の姿を見てきた。
 今朝のテレ朝の「スーパーモーニング」でも大沢弁護士が弁護団の被害者側の感情を無視した発言に比して本村さんのバランスの取れた発言を絶賛していた。
 先のフジテレビの「スーパーニュース」でアドバイザー的存在の木村太郎さんも今回の裁判は、裁判官、検事、弁護人とともに被害者家族が参加してきたと言っていた。

普通の人の場合
 然し、本村さんの場合は全くの例外だし、事件も大変異常な事件だからマスコミも逐一取り上げてくれた。。
 多くの被害者の家族は、検事のやり方が拙くても、弁護人が好き勝手なことをやって来ても、何も言えない。
 言いたくても、今回のような異常な犯罪、裁判で無い限りマスコミもとり上げてくれない。
 最近は本村さんのように被害者の家族も裁判も一部参加し、見学も出来るがその余裕もないのが普通だ。
 こんな時に官選の弁護士が彼らについていたら、どれだけ助けになるかも知れない。
 出来れば彼らの裁判への直接参加が一番良いが、出来なければ被害者の代弁者となり、被害保障などの援助などして貰えればどんなに嬉しいことだろう。
 今裁判員制度の導入が問題になっているが、私は被害者にも弁護士を付ける制度の方が先だと思うのだが。

参照:橋下弁護士訴えられる    
       
裁判員制度の導入 

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2 コメント

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Unknown (名無し)
2008-04-24 18:00:02
言うまでもなく
刑事訴訟法では被告人には弁護人を付けずにはできない。
弁護士法では弁護人は被告人の利益擁護のため、この事件の場合は死刑回避のために最大限努力しなければならない。

他のコメンテーターならともかく、大沢弁護士は弁護士である。
大沢弁護士が自分が被告人の弁護人であった場合、最高裁で無期判決を差し戻された訴訟で被告人の死刑回避のためにどのように行動したのか対案を示すべきではなかったか。
それを示さず、弁護団を批判するのは弁護士としては死刑判決を歓迎した大衆に迎合し、マスコミ受けするようなコメントであって、無責任ではないのか。

弁護士の仕事は自分と信条や価値観が反してる場合であったも、被告人の利益(言いかえれば被害者の利益には完全に反する利益)ために行動する義務があることを忘れてはならない。
そういう精神がなければオウム真理教事件やこの事件の被告の弁護なんかできないのである。
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今回の判決は非常に恐ろしいもの (市井の人)
2008-04-27 21:48:28
この判決は正直なところ、以下のような構図で下された判決だと言っても過言ではありません。

・本村氏
・「死刑!」とのみ声高に叫んで、平等な物の見方考え方をさせる機会を奪ったマスコミ
・そんなマスコミによって洗脳された大多数の人々
・理論武装で身につけた「正義感」で「死刑!」と叫んでいた若いネット世代
・そして、そんな人々を恐れた裁判所

VS

・被告と弁護団

私は基本的には生理的に弁護士は嫌いですし死刑賛成論者なんですけど、今回の一件のように、死刑の是非を広く深く考えさせる機会を与えないまま死刑一本槍で突き進む、というのは非常に恐ろしいことだと思います。確かに今までは被害者家族は恵まれなかったかも知れませんが、タレントにも似た行為でマスコミの同情を引くような被害者家族が、果たして「恵まれない被害者家族」と同列に扱っていいものかどうか。もし加害者がマスコミ関係者の人間(やその一族)だったら、マスコミはここまで「死刑!」と言っていたのかどうか(たぶん軽い扱いで済ますでしょう)。

そういうことを考えてみると、今回の裁判は本村氏サイドにはよかったのかも知れませんが、大局的に見れば、こんなに軽い死刑判決は裁判員制度の事を考えると非常に怖い。文化大革命の時に、反対者を次々と大量抹殺していった某国の恐ろしさにも似た感じがいたします。
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