・原子炉の核廃棄物に中性子を当て、放射能の減衰期を現状の10万年単位から数百年規模に短縮するADS・科学技術にもっと光を当てよう・学者も積極的な発信をすべき
私が福島第一の事故以来問題となっていた核廃棄物処理に就いて、「タイトルの様なことを研究する人達はいないのか?」と何度も書きたいと思っていました。
然し事実はあれだけ核廃棄物処理の問題が言われながら、そして其れが将来の原発の在り方を左右する大問題でありながら、マスコミにもネットでもこの問題が出てこないこと、そして私の思いつきが全く荒唐無稽で話しににもならないかも知れないと思って、素人ながらも見栄も手伝ってこの問題を取り上げて来ませんでした。
ところが1月21日の読売新聞の「地球を読む」シリースズで劇作家の山崎正和さんが「科学ジャーナリズム」のタイトルでこの問題を取り上げていましたのでその概要を纏めてみました。
・原子核工学者の大井川宏之さんが「加速器駆動核変換システム」(ADS)に取り組んでいる。
・ADSとは原子炉の核廃棄物に中性子を当て、放射能の減衰期を現状の10万年単位から数百年規模に短縮する装置だ。
・原発問題の焦点の一つが使用済み核燃料の最終処理の方法だが、フィンランドのように核廃棄物を岩盤の底深く埋蔵するにしても10万年は余りにも長く、想定外の危険を及ぼす可能性があるなど、多くの大きな問題を含んでいるために前に進まなかった。
・その危険がADSにより数百年単位に圧縮すれば、廃棄物の最終処分場は必要なくなり、中間処理施設を補強するだけでよい。
・ADSは原発運営の是非にかかわらず、有益な存在であり、無数の原発を抱えた全世界へ大きな貢献となる。実用化にはまだ課題もあるがADSは日本の強力な輸出品となる。
・然し日本と同じ先進国のベルギーでは2016年の施設着工、日本では研究段階の実験装置があるばかりなので、若手研究者の多くをベルギーに送っている。
・大井川氏はベルギーの10倍の能力を持つ施設を構想しているが、政府の予算処置も企業による先行投資もない。
その後山崎さんは
・これは日本の科学ジャーナリズムの貧弱なせいだ。
・安倍さんの言う3本の矢の一つの長期的な経済活動を刺激する新技術の開発が先決だ。
・中国が世界の資源を求めて覇権主義に走り、シェールガスに潤う米国がそれに対抗しなければ、日本はどこに漂流するのか。
・日本が未来に夢を託するのは科学と科学技術だ。
・その点日本の科学ジャーナリズムの次世代の科学者育成、政治家を含む世論の担い手に研究を評価する能力与えるなどその責任は重い。
・政府の予算決定システムを正し、有効な研究支援を実現するためには、それを支える言論の厚みが不可欠だ。と書いています。
(参照:「高レベル廃棄物処分としての加速器駆動核変換技術の現状と展望」)
[私の意見]
・政府はADSに就いて専門家の意見を訊くべきです。
特に安倍政権は原発即時停止については慎重なこと、経済への積極姿勢、3本の矢の一つとして成長分野の一つとしてADS研究を支援をすべきです。
・私が当初に書いたように
あれだけ核廃棄物処理の問題が言われながら、そして其れが将来の原発の在り方を左右する大問題でありながらADSの話のかけらも出なかったのは何故でしょう。
米国の年次規制改革要望書に添った小泉さんの諸政策に伴う、米国流の「会社は株主の物、授業員と設備同格の取り扱い」など経営手法、成果主義の導入、ゴーンさんにの日産改革に代表されるように、技術より経営優先の手法の導入などなどで、日本か得意としてきた科学・技術がないがしろにされて来たような気がします。
その現れが、下請けのノウハウが詰まった金型の設計書を中国の下請けに流したり、優秀な技術者をリストラしてその技術を韓国のメーカーに吸収されたと言う多くの事例が言われてきました。
・書店でも私が現役の時にどの書店でもあった、私の専門で言えば機械や設備保全、工場管理などの本は消えてしまいました。
ADSの話を紹介した山崎さんは科学ジャーナリズム不振を嘆いていますが、現実を直視して考えるしかありません。
今の所で頼りになるのはマスコミ特に新聞と、科学関係者のネット上の発信しかありません。
ADSのような国に取って重用な情報は読売新聞の然も劇作家のコラムです。
読売は原発維持の急先鋒に立っていますが、核廃棄物の処理が原発維持の足を引っ張っているのなら、新聞社の情報網を活かした学者の間でどのような活動をしているか調べて報道すべきです。
また学者も政府に訴え、ネットなど使ってもっと発信すべきです。
もしそれが不得意なら懇意のジャーナリストに依頼して必要な資金を調達すべきだと思います。
・多くの経済の専門家や批評家と言われる人達は、一頃は今はサーピス業の時代だ、外需より内需拡大だと言って居ましたが、そのような人達は今後の経済をどうすれば良いかには沈黙、ひたすらにアベノミクス批判ばかり。
やはり山崎さんの言うように日本は基本的には科学技術で立って行くしかないような気がします。
繰り返しますが、あれだけ核廃棄物処理の問題が言われながら、そして其れが国の将来の原発の在り方を左右する大問題ですから、学者も研究室に閉じこもっているだけでは何も進まないのですから。
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