私の所属する英字新聞輪読会の資料に新疆・ウイグルの紛争と中国の影響力の拡大についての資料がありましたの概略報告します。
タイトルは「Riots rattle Beijing」で北京発ロイターの解説です。(Web版は見つかりませんでした。)
・北京は今回の紛争は敵が中国を引き裂こうとしていると非難した。
・18ヶ月前のチベットの暴動のときは条件反射のように厳しい弾圧を加え厳重な警備を敷いた。
・然し新疆で不満が拡がったとき、少数民族に対する政策が誤ったとする議論が中国共産党内で起こった。
・最近では優位を占めている保守派はチベットの暴動に宗教や言語を強くコントロールし、厳しく対処するようになっている。
・然し僅か2年の間に起こった2つの暴発は、1949年に政権を取って以来殆ど異議を許して来なかった政権への厄介な問題だ。
・中国共産党は何十年にも亙って反対意見を潰し民族としての存在を認めない鷹派と、少数民族が2つの顔を持つように感じさせるような施策を取るべきだとする鳩派の間で揺れ動いていた。
・然し中国は新疆とチベットに軍隊と共に金を注ぎ込んだ。そして漢族の人達は中国は多額の開発資金で、学校、病院を建設したり、マイノリティー優遇政策で既にやることはやったと思っている。
・然しウイグル人は漢族が開発の中心を支配し彼らは経済的に取り残されたと言う。彼らは自分たちが望むように宗教の儀式を行えないことに不満を感じ、中国各地から移民者が入ってくることを怒っている。
・中国は騒動は分離主義者の所為だとして国内政策の議論を逸らしてきた。然し専門家達は中国の増大する政治的、経済的力が、独立を支持する流れを阻止するに役立っていると言う。
・ウイグルの多くの知識人達は今独立より中国の一部として本物の自治区となる方が良いと信じている。もし北京が彼らに正当な自治権を与え、漢族の流入を止め、中国の憲法に示されているように人々に言語や宗教の権利を与えるなら、ウイグル人は新疆が中国の一部となっても満足をするだろうと英国の大学教授は言う。
・然し北京としてはその前例を作ることは、国の他の地域の人達も中央のコントロール の範囲外に置くことになるとして認めない。
・その上少数民族地域の内政問題を引き起こすことは、紛争のため中国が世界の舞台に発たせることになるが、外交政策の頭痛の種にはなりそうにもない。
・今日まで、中国の外交家にとっと石油資源に富んだ新疆は、チベットの場合より心配することはない。何故なら外国ではウイグル人種は余り目立たない存在だからだ。
・例えばイスラムを信じる他の人達から見ると、ウイグル人は遥かに離れ切り離された所にいる。そしてインドネシヤ人のように族長が他の国を訪れることはない。
・海外の支持者はその殆どが亡命したウイグル人(個人の集まり)だ。一方チベット人は何年にも亙って彼らの主張を支持する自分たちの彼らのコミョニティーを作り上げている。
・ウイグル人の外国の支持をえる動きには困難が伴う。何故なら米国の9/11の時、中国はウイグル人の分離主義者を米国のテロリスト・グループの中に入れさせることに成功したからだ。
・中国の世界的影響力とその内国問題へのコメント拒否の姿勢で、中国の投資を期待するイスラム国家のリーダーを沈黙させるかも知れない。
・然し中国の不干渉政策に個々の国は沈黙を保っているが、57カ国からなるイスラム・リーグは、ウイグル人に対する過度の武力の使用を非難し、中国に内紛の状況を調査することを要請している。
この文章を読んだ後、ウイグルに旅行したことのある2人の会員が、同地域の印象として、ウイグル人は(他のイスラム国家の人達と違って)とても静かで温和な人、漢民族は活気があるがザワザワした感じ、後者の食堂は不潔で入る気がしなかったが、ウイグルの食堂は日本のように清潔など、ウイグルの人達の顔だちや性格から昔の日本人を見ている思いをしたことなど話していました。
[私の意見]
その後米国を訪問した中国の大代表団を熱烈歓迎する米国政府のテレビ放送がありました。
これについて毎日新聞は米中対話:戦略・経済で話し合い 事実上の「G2」が始動 と報じています。
これに対して日本のマスコミはまた「日本パッシング」が起こるのではないかとか、いやそんな筈がないと議論されています。
普通のおっさんの私としては、こんな議論を聞くと、如何に日本も(少なくとも精神的に)落ちぶれたものだと思わずには居られません。
そして米国の声明の中で、新疆ウイグルの紛争もチベット問題にも全く触れられていなかったそうです。
その一方で中国はイラン・南アザデガン油田、中国が権益70%獲得 したそうです。
これは、日本の企業は側は04年に、同油田の権益の75%を獲得。政府の意向も受け、自主開発油田としての期待を背負っていた。その後、米国とイランの関係が悪化したことなどに配慮し、開発に着手しないまま権益を10%に縮小した(毎日新聞より)ものを、今回中国がその権益を獲得したものです。
日本がイランの権益を放棄したと報じられた時、私は(多分多くの国民も)日本はそこまでして米国に配慮しなくてはならないのか、同じ米国に配慮するにしても親日的なイラントと米国と間に立って何かやれることはないのかと思っていました。
そして、結局、日本は大切な石油資源と親日的なイランと疎遠になると言う大切なものを失う結果に成りました。 (私は以前イランにいたことがありますが、その時の感触からもイランの人達は今でも親日的だと思っていますが。)
日本は正義の味方を自認する米国の大義(とやら)にくっついて行きましたが、その米国は大きく舵を切ろうとしています。
それでも何時も言うことですが、どの国でも自国の有利になる方向で動くのは止めようがありません。
要は日本も日本の利益のためにどうすれば良いかを考えるべきだと思います。
一方、中国は日の出の勢いです。
然も中国の成長には必ず膨大な人口を持つ漢民族の新疆・チベットを含む国内外への活動範囲の拡大を伴い、漢民族と(アフリカ諸国を含む)現地人との間の軋轢など世界的に問題に成りかねないことが報じられています。
このような中国と漢族の世界的膨張には、大きな問題を含んでいるし、そのような中国とまともに付き合う訳には行きませんが、今の経済情勢では全く無視も出来ません。
日本は米国とは接触事故を起こさない範囲で、中国とは衝突事故を起こさない範囲で車間距離を取って行くしかないような気がします。
今度仮に民主党が政権を取っても、今までのように米国べったりが中国べったりの外交にならぬように願いたいものです。 (でも何だかその方向に行きそうな気がしてならないのですが。)
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