10月4日、韓国の盧武鉉大統領と北朝鮮の金正日総書記は第2回南北首脳会談の合意事項として、「南北関係発展と平和繁栄のための宣言」に署名、発表した。
これはこれで、まあ良いとしなければならぬが、問題が殆ど残ったままだ。
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南北共同宣言の問題点
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この内容と、それを今までのやり方から考えて北朝鮮の側から読むと、
・2000年の第1回南北首脳会談の共同宣言の順守→無視または自国に都合の良いことは利用
・南北の相互尊重、信頼関係構築→北朝鮮の立場だけ尊重して貰う一方相手の信頼を裏切るなど何とも思っていない
・南北間の軍事的緊張緩和のための緊密な協力→米国から攻撃自衛目的の自国の軍備の強化→韓国に対する圧力が増す
・朝鮮戦争終結と恒久的平和体制構築のための終戦宣言の推進→自国の独裁政権の恒久的体制(平和は無視)の強化
・「民族経済」の均衡的発展→韓国から経済援助の強化、北朝鮮からの韓国への支援などする気も無いし、第一するものがない
・歴史、文化、スポーツなどでの南北間協力推進→自国の都合の良い時に利用
・南北間人道協力の推進→韓国人拉致問題の無視
・国際社会での南北協力強化→自国の有利になるように利用、韓国への応援はする気もないし、韓国はその必要は何もない、強いて言えば反日運動への協力くらいか
以上を見ると、明らかに韓国ばかりに荷が偏った片務宣言だ。
その共同宣言をするために、北朝鮮に出向いた韓国の盧武鉉大統領に対する北朝鮮の扱い方は明らかに金正日総書記の下位においた様な扱いだ、それと言うのに盧武鉉さんの金正日さんへのお世辞たらたらの態度。
彼は韓国の反日運動の中心人物だが、日本人の私がみても首を捻ることばかりだ。
韓国の人達はそんなテレビ報道を見てどう思っているのだろう。
そのような扱いを受けてまでノ・ムヒョンさんは何故北朝鮮まで行って、韓国に取っては実質的に殆ど得るものがない共同宣言をして来たのだろう。
然しこれらの事は余所様のことでこれ以上コメントしても時間の無駄なので省略するが、朝鮮半島統一の話しだけは聞いて頂きたい。
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夢のような朝鮮半島統一
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朝鮮半島の人達は建国以来、長い間の中国の事実上の支配下、日本による併合が終わってやっと独立の機会が来たのに連合国による分断され今の状態が続いている。
韓国はその経済力と工業力ですでに世界から無視できない存在になっている。
(無視出来ないと言えば、北朝鮮も核開発のほか報道によると偽札の製造や麻薬の密輸で無視できない存在だ。)
彼等が半島の統一を切望するのは良く判る。
然し、多年の夢の朝鮮半島の統一には、とても超えられそうにもない大きすぎる壁がある。
・民主主義国家の設立
これについては、北朝鮮はその正式国名の朝鮮民主主義人民共和国が示すように、表向きは反対出来ない。
然し、韓国の現在の人口は約4,900万人、北朝鮮は約2,300万人と言われている。
これでは支持する人の数が圧倒的に物言う民主主義体制では、明らかに韓国の方が絶対的に有利だ。
これは現在の北朝鮮の独裁政権の崩壊を意味する。
そして、同政権を握っているトップの人達の特権の放棄だ。
だから答えはあきらかに彼らの本心は「ノー」だ。
・経済のバランス化
両国の間で経済力が格段に違う現在では、かってのドイツと東ドイツの例に見る様に、韓国への大量の人員の移動に伴う、混乱が始まる。
その程度は旧東ドイツと現在の北朝鮮の経済レベルが格段違うので、韓国は旧ドイツとかけ離れた酷い状況になるのは間違いない。
それを避けるためには、多分ノ・ムヒョンさんが考えていることだと思うが、韓国側からの経済援助により、北朝鮮の経済レベルをなるべく韓国に近づけること。
そして経済援助活動により徐々に北朝鮮国民の意識を変えることだ。
然し北朝鮮の独裁政権は、援助に得た利益の殆どを体制維持のために軍事力の強化に使うに違いない。
その為に、利益が国民に廻されるのは途方もなく長い時間がかかる。
そして、いざ合併に際して経済力は弱くても、圧倒的な軍事力を持つ北朝鮮との合併に際して、軍事力を背景に主導権を握ろうとする北朝鮮に対して警戒感を抱かない韓国民は居ないと思う。
経済援助活動による北朝鮮国民の意識の変化を待つことだが、政権の鎖国政策から考えて、韓国民との間に厚いバリアを張るのは間違いない。
何故なら北朝鮮の人が韓国のことを知ることは、同政権に対する批判→弱体化→崩壊に繋がるからだ。
・独裁政権の崩壊待つ
これが一番実現性があると思うが、国の経済の崩壊とか、軍部上層部の不満とかの大きな原動力が必要とする。
然し、ノ・ムヒョンさんの援助政策は全て、独裁政権の強化に資するものばかりだ。
そして韓国の元首である彼がキム・ジョンイルさんに北朝鮮のため長生きしてくれなど、独裁政権の存在を認めるような、歯の浮く様なお世辞をいっているのは理解に苦しむ。
・独裁政権の指導者の意識の変化を待つ
これが一番平和的な手段で、このような指導者がいれば、ノ・ムヒョンさんの施策は全て活きてくる思うが。
然し、人の意識の変化を待つのは神に祈るしかない。
これらを考えると朝鮮半島統一は長くて、険しい道のりのようだ。
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これからの日本の対応
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今までは北朝鮮問題では同国に大きな影響力を持つ中国、民主主義の旗頭を自認する米国、そして肝心の日本の関連について言及を避けた。
・上記合意の中で、両国の間で恒久的平和体制構築のために中国、米国参加の問題が触れられているが、日本が置き去りにされるのではないかと言うことを懸念している。
これは、6ケ国協議からの問題で要は日本自身が情勢に変化について、どう対応するか、れとそれに必要な外交力をどの様に強化するかの問題だ。
・日本にとって直接関係あるのは、日本からノ・ムヒョンさんに拉致問題解決について触れて貰う様依頼していたことだ。
彼は報道によると米国と日本の関係改善に努めるようキム・ジョンイルさんに言ったそうだが、彼は黙って聞いているだけで、返事をしなかったそうだ。
ノ・ムヒョンさんの帰国会見でも拉致問題についての言及は無かったそうだ。
第一反日運動を指導している彼に自国民の拉致問題を無視しているかれに日本人の拉致の話をして貰うのはもともと最初から無理な話だ。
これも結局は上と同じで、外交能力の強化と、自立心を持って自ら解決に当たる意欲を持ち、努力するしか道かないような気がする。
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詳細なる宣言文への論評、参考になります。
日本の外務省は何が仕事かわかっていないように思います。ご指摘の通り、「日運動を指導している彼に自国民の拉致問題を無視しているかれに日本人の拉致の話をして貰うのはもともと最初から無理な話」です。
これは普通に考えれば分かることですが、それが外務省の人間たちには分からない。
「ノムヒョンが拉致問題に言及したのは我々の仕事の成果」という発想だと思われます。一事が万事で、日ごろの外交も大したことは全くできていないでしょう。
おっしゃる通りですね。しかし憲法で手足を雁字搦めに縛られた日本はカードを複数持てない。なんとも情けない国なんだろう。歯がゆくて仕方ないです。