「川柳くろがね」2018年9月号より
前月号鑑賞 石神 紅雀 選・評
「電話では喧嘩になるしメールする」 堤野 久男
この判断のひと呼吸がいい。でも、メールも面倒くさくなって、「もういいや」になるのは私だけかな。
「息絶えた蝶に命があこがれる」 黒川 弧遊
辛くて辛くて死んでしまいたいような時に、美しい蝶の死骸をみつける。きっと、黒に水色の黒揚羽。
「父の背を大きく見せる母がいた」 矢野 隆
母さんが小さかったのは勿論だけでど、父さんを立てて、蔭で支えていた。大きく見せた内助の功。
「雨あがる水たまりから靴のあと」 杉 ちづ子
土砂降りの水たまりに誰かが靴を踏み入れたらしい。大丈夫だったかな。深読みすれば、人生の水たまり。
「針穴を通った糸が生きかえる」 吉富 廣
老眼で糸通しに苦労する。そのうち糸はよれよれになる。やっと通ったら、まるで命をらったよう。
「夏が来る男を一人準備する」 吉丸 玲子
おおっ!何のための男だろう。夏と言えばお祭りだ。きっと神輿担ぎだ。姐さんも忙しくなる。
「自分から割れてしまえるシャボン玉」水谷そう美
今月の一等賞。失敗つづきでにっちもさっちもいかない時に、シャボン玉ならパチンと
消えてしまえる。
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