野田さんのインドネシア・バリでの中韓とのFTAの早期交渉入りを目指すことで合意するなど、TPPと、中国やASEANの動きを「両方横目にみながら」取り組む意向を示した(読売の表現)ことに就いて読売と産経は支持の方向の社説を出しています。
以下は両社が指摘した野田さんの動きのメリットと問題点です。
この動きのメリット
・中国は日中韓のFTAにお及び腰だったが日本のTPPに参加表明で積極姿勢に転じた。
・TPPとアセアンプラス3または6の総てに関与しているのは日本だけだ。
・日本の動きによっては、TPP交渉での米国の強硬姿勢をけん制する効果も期待できる。
同問題点
・中国と、ベトナムやフィリピンなどの南シナ海での紛争は地域の懸念材料である。
一方、アジア・太平洋地域で経済連携を深めるためには、安定した安全保障環境が重要である。
そこで問われるのは日米の連携に軸足を置きつつ、いかに国益の最大化を果たすかということだ。首相はそのための周到な戦略を練り、したたかな交渉指導力を発揮しなければならない。
アジア・太平洋の自由貿易圏の枠組みづくりを巡る動きが加速化している。日本は積極的な外交を展開し、経済連携を主導すべきである。
[私の意見]
二元外交の日米関係への影響
・米国はTPP推進と共に、オストラリアに海兵隊の駐留を決めるなど、南シナ海への中国への進出を警戒しています。
尖閣諸島問題を抱える日本として野田さんはこの米国の動きを支持しています。
前にも書きましたが、日本としては安全保障も米国の武力に頼っている上、普天間問題では鳩山さんの大チョンボで米国に負い目を持っています。
それで日本としてもTPP、アセアン・プラスの問題も米国の感情を無視することは出来ないでしょう。
もっとも前にも書きましたが、米国議会が日本の加入に反対してくれれば、日本がやむを得ずアセアン・プラスに向かうことはできますが、議会が反対するでしょうか。
二元外交のメリット
・TPPは米国の一方的な考え方を、考え方の違う日本や東南アジアに押しつけられてもたまりませんし、それがTPP反対論者の主張の大きな理由になっています。
その点から言えばアセアン・プラスの方がまだ決まっていませんが、日本流の中道的な主張が通るかも知れません。
・また日本がTPP一辺倒でないことが、読売の言うようにTPPでも米国のごり押しを避ける一つになるかも知れません。
何しろ日本がTPPからぬければ、日本加入で前向きになっていると言われるカナダやメキシコもぬけるかしれないし、米国が考えているTPP推進のメリットが激減するからです。
日本の交渉能力
・問題は日本の交渉能力です。
前回のエントリーでも榊原さんは、米国相手の交渉も難しいが、中国はその何倍も難しいと言っていました。
日本の外交は小泉さんではありませんが、何も可も米国一辺倒でした。
日本の外交は米国が右へ向けと言えば右を向いてきました。
その良い例が明らかにイスラエルに非があるときでも米国が同国の批難決議に反対したときに日本は棄権を続けてきました。
外務省も何でも米国ですから、その情報も米国に頼りきりで、その情報収集能力は物凄く小さいと言われています。
アセアン・プラスへの交渉には良い意味での米国の援助は期待出来ませんので、日本独自の力でやらねば成りませんし、国家資本主義の独裁国の中国に完全に主導権を奪われないようにしなければ成りません。
そこで問題なのは、民主党政権の政治基盤の危うさです。
政府が何をしようとしても必ず半分近くの人が党内野党として政府の足をヒッバリます。
逆に対中交渉には、国会会期中に大派遣団を送った小沢さんが大きな勢力を保持しています。それは良いとしても外交上の慣例から言えば中国からも同じ程度の派遣団を要請するのが当然なのにそれをしなかった小沢さん。
ただでさえ心細い交渉団にその小沢さんの影響力が及んだら日本はどうなるのでしょう?
TPP、アセアン・フラス3また6のいずれに加入するか否かのいずれにしても、日本政府は日本の利益のために頑張ってもらうしかありません。
今まででも「日本の不幸は大変な時に民主党が政権を取ったことだ」といわれないために、野田さん以下の政府関係者も頑張って貰うしかありません。
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