「総務課長戦場を行く!」は1992年の放送予定を楽しみにしていたのに、放送が延期になってガッカリ・・2年も待たされ1994年にや~っと放送になった。
何故かというと『1992年に製作されたものの、自衛隊のPKO参加という社会情勢のなかで放送が延期された。』あの当時PKOとえらい話題になりました。放送された時は歌番組に出ないジュリーだったので、とにかく見られる事がとても嬉しかった。詳しくはこちら→愛と平和の特別企画 総務課長戦場を行く!
ジュリーは演じた時は44歳。なんでジュリーにこの役を??と思いながら見たけれど、飄々とした三谷幸喜のシナリオは随所に笑いを散りばめながら、あらゆるところに伏線を張り巡らして、テンポよく進んでゆく。
スパルタな教官、個性豊かな部隊の面々たち。民間人が戦場に行くという ありえないお話なのに、エピソードの数々におかしみと、現実感もあって、いつの間にか引き込まれてしまうのだ。
ジュリーは歌っている時の緊張感に満ちた、研ぎ澄ました姿とは全く正反対、ボヨンとぼやけた普通のおじさんでしかない💦 それでもこの人の持って生まれた甘さと愛嬌が、普通のおじさんを愛すべき人物にしてしまう。この物語の課長さんジュリーは、私の大好きなキャラクターの1人になった。
アベちゃんも、キリっとして若い
TVで見ることがなくなって、ジュリーへのテンションが下がりがちだった90年代の私の気持ちを引き止め、引き上げた記念すべき作品の一つです。 おわり
というのが、今までの私の感想でした。
今回「総務課長戦場を行く!」を何年ぶりだったか?数年ぶりに見て愕然とした。何度見ても三谷作品のシナリオのヒネリと皮肉の効いた素晴らしさ、それにジュリーの脱力したかのような 意外やハマりきった演技、脇役陣のアンサンブルも素晴らしい、見飽きない、これは不朽の名作だ!と断言しちゃう。
ジュリーの動きの一つ一つに注目して、なにげない仕種に愛しさを感じる気持ちは全く変わっていないんだけど。今の私は番組を観ながらTVに向かって何度も、それは有り得ない。笑い事じゃない、それはいけない!と何度もTVに向かって独り言を言ってしまった。作り話と笑って見ていいのか、これはもしかして、有り得る世界になりはしないかと自問してしまった。危機感でいっぱいになった。
国際平和援助隊の海外派遣が国会で満場一致で決定。
課長さんのジュリーは召集令状を受け取る、白い召集令状。
戦場に向かう夫のトランクに、使い捨てカメラ「写るんです」をいっぱい詰め込む妻は、旅行気分で全く危機感が無い。昔はよく使った「写るんです」。これが最後に思わぬ事態を引き起こしてしまう。トランクを動かしにくそうに押して歩いたり、今は引っ張って歩くよと、30年近くもたったら流行も変わると、TVの中の当時の風俗に注目したりして 私の番組を観る視点も昔とは変わった。
「 国際平和援助隊の海外派遣が国会で満場一致で決定した。」平和貢献といえば聞こえはいいのだけど、民間人が召集令状を受け取って 紛争地や戦場へ行く日本になって欲しくはない、自衛隊の方も。5月3日でなく、5月5日に放送されたのはなんで。
今、この作品をリメイクして欲しいなんて声もネット上であったけど、「太陽を盗んだ男」もそうだけど、リメイクは忖度だらけの世の中では難しい事だろうと思う。
お話は隊員たちの絆が深まった時に「写るんです」のフラッシュによって、唐突に終わる。人影のなくなったジープ、浜辺に落ちている焼け焦げた「写るんです」の映像が、昔見た時よりもずーっと心に暗く刺さった。歳をとり私の意識は昔より変わったと、今回でちょっと自覚した。