「松浪先生のお言葉」お久しぶりの更新です。松浪先生の出番は第48回を限りに終わります。(この後は回想シーンなど)お別れが寂しくて伸ばし伸ばし、更新が遅くなるばかりでしたが、いい加減にこの辺で しばしのお別れをすることにします。
まだ子供だと思っていた おりんちゃんの、松浪先生への思わぬ積極的で真摯な尊敬と愛情と、それに対する松浪先生の何かを秘めた強い眼差しが交錯して、思わずドキドキする展開になりました。
二人の心の内を物語るような、背景に流れる哀切な音楽が いっそう切なく響いて、二人の姿を見守る私達も心の動揺が止まらない。病に倒れた傷心の松浪先生の綺麗な寝顔が、この物語の行方を いっそう不安にさせる美しさでした。
前回、おりんは、病に倒れた松浪先生を心配し、先生宅で看病しようとするが、母には「人には節度というものが有る」と言われ、先生には「ここにいてはいけない。帰りなさい」と強く諭される。
松浪先生の家の前で、帰ろうとしない おりんを気遣う母の八重。
(り)母ちゃんが私に言いました。人には節度ってものがあるんだって。母ちゃんがここに来たら、きっと私を𠮟ると思います。ぶたれるかもしれません。ほんでも私はいいます。ぶたれても来ます!
(松)帰りなさい。
(り)先生!
親に背いてはいけない、お母さんのおっしゃることを大事にしなさい。
(り)先生!
わたし、今、親の言う事よりも先生の方が大事です。
先生、目をつぶって下さい。
そしたら私の事見えないでしょ。私、黙ってます。私何も言いません。見えなくて声も聴こえなければ、いないのと同じでしょ。
(先生の側から、離れて座るおりん。)
私はここにこうして黙っています。私はいません。先生、目をつむっていて下さい。ここには誰もいません。
(布団から起き上がる松浪先生。)
(り)先生起きてはダメです。ダメ!
あ、先生 ダメです。
(おりんの腕を掴む先生、切ないメロディーが流れる。驚くおりんを、じっと見つめる先生。)
(見つめたあと、我に返ったように)
(松)いない人間が手を出しちゃダメじゃないか。
再び、横になり目を閉じる。
(り)先生・・
(流れる切ないメロディーが、おりんの心の内を語るかのよう。)
そっと立ち去る、母の八重。
(八重)自分独りでおっきくなったような顔をして、エラそうに。
涙をこらえる母。
続く