守り

　日本人が武器を持たずに暮らせるのは信頼できる警察力があるからだ。もし警察が機能しなければ各個人が武装する必要に迫られる。平穏な暮らしを支えているのは武力だ。
　ヒーローはなぜ卓越した武力を持っているのか。それは戦うことが目的ではない。誰かを守るためだ。守るためには戦わねばならない。祈っていても平和は訪れない。平和は勝ち取らねばならない。「攻撃は最大の防御」と言うが、攻撃力を欠けば守ることはできない。アメリカンフットボールと野球は攻守でメンバーが入れ代わる珍しいスポーツだが、他の種目での攻守は表裏一体だ。
　免疫力によって人は守られている。では免疫力の機能とは何か。異物を排除することだ。守るとは多くの場合、戦うことを意味する。
　平和を守るためには戦う姿勢を示さねばならない。これは決してアメリカや中国と戦争をしろという意味ではない。大国の横暴に対しては断固たる姿勢を示すべきだということだ。国際警察も国際司法も殆んど機能しない現状において頼りになるのは自力だけだ。
　社会の平和を守るためには悪政と闘わねばならない。戦いを放棄すれば強者に屈することになり現状を容認することになる。他者と敵対的になる必要は無いが協調を重視し過ぎれば馴れ合いになってしまう。必要な時にはNo!と主張する必要がある。
　私は平穏無事主義者を好まない。彼らは事勿れ主義者だ。より良い社会を作るためには権力者と戦わねばならない。
　戦うのは誰か・何かを守るためであって戦うことは手段に過ぎない。戦いを忌避することは守りの放棄でもある。「女は弱し、されど母は強し」と言う。多くの女性は庇護を求めるものだが、母は子を守るためであれば攻撃も厭わない。守るための攻撃権は必要不可欠な権利だ。戦いの否定は防御の否定を意味する。