俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

刑罰

2016-05-05 09:53:18 | Weblog
 現行の刑罰は果たして有効なのだろうか。死刑による抑止力云々だけではなく、懲役刑や禁固刑の有効性にも疑問を感じる。一般人であれば刑罰を恐れる。刑罰が社会的制裁となり社会から抹殺されることもしばしば起こるからだ。たとえ罰金刑であっても職を失い転落への道を歩むことがあり得る。しかしその一方で、一旦転落した人にとっては怖くない。中には冬の寒さを凌ぐためにワザと捕まる累犯者さえいると言う。こうなってしまえば刑罰は抑止力など持ち得ない。累犯者には違った刑罰が必要なのではないだろうか。
 刑務所の維持費は一人年間500万円ほど掛かっているらしい。このことによって市民の安全性が高まるとは言え、費用対効果で考えるなら投資効率の悪い事業と思える。懲役という刑罰が累犯者のための最後のセーフティーネットとして使われているという状況さえあるようだ。所謂「臭い飯」も随分改善されたらしく刑務所生活はかなり快適になっているようだが、刑罰はもっと懲罰的であるべきではないかと思う。
 初犯者はともかく、累犯者にはもっと刑罰を恐れさせる必要がある。シベリア抑留並みの過酷な労働を強いるべきだとまでは主張しないが、累犯者がもっと回避したがる類いの刑罰を科すると同時に社会にとってもメリットがある制度を考えるべきだと思う。
 刑罰はいかにあるべきか?が問われるべきだ。全くの私見だが①治安維持効果が高いこと②善良な市民に利益をもたらすこと③犯罪者がその刑罰を回避したいと考えること④刑の執行コストが低いこと。こんな基準に基づいて刑罰を見直してはどうだろうか。
 その候補の1つとして人体実験刑を提案する。人体実験という大層な名称を使うがこれは決してかつての731部隊のように重篤な病気に罹らせるという意図ではない。例えば風邪だ。大半の風邪は致命的ではない。ウィルスの種類さえ適切に選べば、不快な思いをするだけで後遺症も残さずに完治する。他の条件をできるだけ同等にして様々な治療法を比較できればどれが最も有効であるか科学的に証明できる。重篤化しないと分かっている病気であれば風邪以外の病気を試すこともできる。
 勿論これは人権を侵害する刑罰だ。しかし懲役刑と比べて特に過酷とは思えない。社会的立場を失わせかねない初犯者に対する懲役刑と比べればずっと軽い刑罰ではないかとさえ思える。初犯の人であれば風邪を患わされることのほうが懲役よりもずっと受け入れ易いのではないだろうか。
 人体実験刑はあくまで一例に過ぎない。刑罰は社会にとってどれほど有益であるかを基準にして様々な種類があり、どんな犯罪者にとっても不快であるべきだろう。不快でない刑罰は抑止力を持たない。ムスリム(イスラム教徒)にとって豚肉を食べさせられることは拷問に当たるがクリスチャンにとっては苦痛でないように人の事情は様々だ。犯罪者には回避動機を与えしかも社会には有益であるような刑罰が考案されるべきだろう。