日本にもタックスヘイブン制度がある。所得税が最大7割も軽減される。しかもその恩恵に与かるためにはその土地に住むこともその土地で働くことも不必要で、特定の自治体に納税すれば良いという革命的な税制だ。その制度は「ふるさと納税」と呼ばれている。
当初の「ふるさと納税」は納税した人に対する返礼としてその地域の特産品を贈るという制度だった。これは宣伝効果を狙ったものであり、余り知られていない特産品を贈ることによってその良さを知ってもらい、あわよくばその商品のファンになってもらおうという狙いだった。通販の試供品と同様、リピーターの増加による町興しを目論んでいた。
ところが徐々に違った意図が働き始める。本来、他の地域に収めるべき税金が自分の自治体に収められるなら坊主丸儲けになる。たとえ納税額の9割を返礼しようともそれは本来であれば無かった筈のアブク銭だ。ゼロつまり無が有に化けた棚ボタ収入だ。
自治体にとっては確実に増収に繋がるのだから競争が起こることは必定だ。他地域よりも有利な条件を提示するだけで増収できるのだから無能な役人でも手柄を立てるチャンスになる。こうして地域間での返礼品競争が激化した。
納税する側にとっても美味しい制度だ。本来であれば全く還付などあり得ない納税がかなりの高率で還付される。還付率が高い、つまり高額な返礼品を提供する自治体が納税先に選ばれて合法的な節税策として浸透しつつある。
この制度では当事者の双方が得をするウィン・ウィンの関係になるから、平成25年は145億円、26年は389億円、27年は約1,300億円と倍々ゲームどころではなく3倍増を続けている。もしこのペースを維持すれば富裕層の所得税は総て「ふるさと納税」になってしまいかねない。しかし全自治体を見渡せば損失になる。公から民へという資産の移動があるだけだ。トータルの税収額が同じなのに、ふるさと納税、つまり還付金付き納税を受け入れた自治体が返礼品相当額を負担するのだから、全体として考えれば、裕福な納税者が受け取る返礼品を公費で賄っているだけだ。こんな馬鹿げた制度は他に無い。
これはタックスヘイブンと全く同じ構造だ。極端に低い法人税率を設定すれば世界中から企業が集まりその地域の税収は増えるが、企業が流出した国の税収はゼロになる。他国を犠牲にする税のダンピングだから国際問題になっている。「ふるさと納税」は自治体間での無駄な競争を煽ることによって他の自治体に収めるべき所得税を収奪させようとすると共に、庶民から集めた税金を富裕層の節税策のために浪費するというとんでもない制度だ。一刻も早く廃止すべき金持ち優遇策だ。
当初の「ふるさと納税」は納税した人に対する返礼としてその地域の特産品を贈るという制度だった。これは宣伝効果を狙ったものであり、余り知られていない特産品を贈ることによってその良さを知ってもらい、あわよくばその商品のファンになってもらおうという狙いだった。通販の試供品と同様、リピーターの増加による町興しを目論んでいた。
ところが徐々に違った意図が働き始める。本来、他の地域に収めるべき税金が自分の自治体に収められるなら坊主丸儲けになる。たとえ納税額の9割を返礼しようともそれは本来であれば無かった筈のアブク銭だ。ゼロつまり無が有に化けた棚ボタ収入だ。
自治体にとっては確実に増収に繋がるのだから競争が起こることは必定だ。他地域よりも有利な条件を提示するだけで増収できるのだから無能な役人でも手柄を立てるチャンスになる。こうして地域間での返礼品競争が激化した。
納税する側にとっても美味しい制度だ。本来であれば全く還付などあり得ない納税がかなりの高率で還付される。還付率が高い、つまり高額な返礼品を提供する自治体が納税先に選ばれて合法的な節税策として浸透しつつある。
この制度では当事者の双方が得をするウィン・ウィンの関係になるから、平成25年は145億円、26年は389億円、27年は約1,300億円と倍々ゲームどころではなく3倍増を続けている。もしこのペースを維持すれば富裕層の所得税は総て「ふるさと納税」になってしまいかねない。しかし全自治体を見渡せば損失になる。公から民へという資産の移動があるだけだ。トータルの税収額が同じなのに、ふるさと納税、つまり還付金付き納税を受け入れた自治体が返礼品相当額を負担するのだから、全体として考えれば、裕福な納税者が受け取る返礼品を公費で賄っているだけだ。こんな馬鹿げた制度は他に無い。
これはタックスヘイブンと全く同じ構造だ。極端に低い法人税率を設定すれば世界中から企業が集まりその地域の税収は増えるが、企業が流出した国の税収はゼロになる。他国を犠牲にする税のダンピングだから国際問題になっている。「ふるさと納税」は自治体間での無駄な競争を煽ることによって他の自治体に収めるべき所得税を収奪させようとすると共に、庶民から集めた税金を富裕層の節税策のために浪費するというとんでもない制度だ。一刻も早く廃止すべき金持ち優遇策だ。