芥川龍之介の作品を読んだ、「羅生門・鼻」(新潮文庫版)です。これも前回読んだ「地獄変・偸盗」と同様に芥川龍之介の「王朝物」といわれ平安時代に材料を得た歴史小説です。これは8編からなっていた。
羅生門:羅生門で死人から髪の毛を抜く老婆を目にした男が、その老婆から着物をはぎ取る奇談で当時の生き残る難しさを感じた。
鼻 :長い鼻をもった僧侶が何とか短くしようと悪戦苦闘するが最終的に鼻に満足してしまう喜劇淡。
芋粥 :芋粥を食べたい常に思っていた侍が、いざ食べる機会ができると食欲が失せていきそれまでの感情を見直す物語で「鼻」と主題がにている。
運 :清水寺に行く道の途中の陶器屋の主人が通りがかった侍にする、「清水寺の観音様に願をかけた女の話」です。最終的に女は殺人を冒して幸せになるのだが、そんな運は御免だという話。
袈裟と盛遠:袈裟という女と盛遠という男が不倫して袈裟の夫を殺そうとする物語で結末が書かれずぼかされている奇談。
邪宗門:平安時代に京都に布教に来たキリスト教の僧の不思議な力の物語。
好色 :平中という女好き男の「ある女」へのアプローチの物語でふられてしまい、その後の行動が面白かった。
俊寛 :謀反で島流しにされた「俊寛」をその召使が島を訪ねる物語で史実かどうかはわからないが結末は悲劇的ではないのがよかった。
「邪宗門」こそ長編だがそれ以外は短くて読みやすかった。「地獄変・偸盗」に比べて結末に悲壮感と面白さがるものが混在して収録されていて読み終えて不快感はなかった。暫くは異世界の芥川龍之介の世界にはまりそうです!
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