今日も元気で頑張るニャン

家族になった保護猫たちの日常を綴りながら、ノラ猫たちとの共存を模索するブログです。

テツとの対話 その14・君が思い出になるときは

2018年03月07日 | (故)テツ 
やあテツ、相変わらずかい?
最近は向き合う機会も少なくなった
えっ? お前を忘れつつある証拠?
うーん、それがそうでもないんだな

確かにお前を亡くしたときは
お前が"思い出"になることに抵抗して
時の流れを恨む気持ちさえあった


わが家にも慣れてきた頃のテツ(8ヶ月)

ペットロスという言葉がある
ペット(愛玩動物)という言葉は好きじゃないけど
一番身近な存在を失えば悲しいのは当然だ
で、新しい相手を迎える
悲しみから立ち直るために?
いや、そうじゃない
失った相棒を、そして一緒に暮らした時間を忘れないためにだ

なあ、テツ
お前たちの寿命が短いことで
我々保護者はいろんなことを教わる
過去も未来も頭にない、限りなく今を大切にすること
時間の価値が人間とは違うからね
そして死ぬということ、その対照の生きるということ
命を持つことの意味
そんなことを思うようになったのも
お前たちが遺してくれた贈り物だったんだ


ハナとテツ(テツ1才半)

お前たちの生涯を見届けたことは何物にも変えがたい
そして一緒に暮らした頃は思いもしなかったことを
晩年のお前は教えてくれた
どんなニャンコにも、お前たちと同じ一生がある
人間を怖がるノラたちにも生涯がある
その生涯の重みは、みな同じだ

だったらやることは決まってる?
ああ、そうだよ
だから今は、思い出に浸っている余裕なんてないんだ
この世に生まれたのは苦しむためじゃないと
少しでも多くのノラたちに知ってもらうために


右からハナ、テツ、くも(テツ15才・再掲)

テツよ、お前が思い出になるときは
このオジンがいよいよ動けなくなって
お前に会いに行くときなんだろうな


激ヤセになった晩年のテツ(18才)
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テツとの対話 その13・神様からの贈り物

2017年12月03日 | (故)テツ 
やあテツ、久し振りだね
お前の一周忌追悼以来だな
えっ? あのときは恥ずかしかった?
ああ、正直自分でもこそばゆかったけど
何でも素直に言えちゃうんだよ、今のお前にはね

それにしても、このところの忙しさは尋常じゃない
ちび太やイエチビやイエミケ一家が次々と現れて
モドキも帰ってきた
ソトチビやダイフクも健在だし
外ニャンたちは時間に決まりがないから
振り回されてばっかりだ

何? 好きでやってるんだから本望だろって?
お前もオバンと同じこと言うんだね
まあ、彼らが幸せそうにしてくれれば何よりだな


晩年のテツは激ヤセだった

ところで、いまだに不思議に思ってることがある
お前のことさ、あれは何だったんだろう
『灯滅せんとして光を増す』って言うけど
今にして思えば、まさに線香花火の最後の輝きだった

あれはお前がそっちの世界に行く3ヶ月ほど前だったね
それまでは食べない、動かない、じっとしているだけで
さすがにいよいよかと覚悟せざるを得ない状態だったお前が
突如として活発になって外に出たいと騒ぎ出した

出しても出しても、直ぐにまた出たいと言う
そして忘れかけていた元気な頃のお前の癖や仕草も蘇って
再び何かと絡んでくるお前に手を焼きながら
戻ってきた明るい日常に心底安心したもんだった


「出たい出たい」のポーズをとるテツ

ある日、あまりにうるさいお前を夜中に散歩に連れ出した
すると、お前はワンコのようにリードを引っ張って歩き出す
場所を変えてはくんくんする猫族らしからぬ行動だ
お前はどんどん歩いた
それまで行ったこともない遠くまで
初めての土地でもおかまいなし
結局その時の散歩は2時間近くも続いて
ようやく帰ったのは夜中の1時を過ぎていた

あの時のお前は少し歩くたびにこっちを見上げて
一緒にいることを確認しながら歩いていたね
まるで二人だけの時間を楽しむように
その日から、夜の散歩が毎日の日課になった

それだけじゃない、家ではオジンストーカーも復活して
しばらくするとお前はものすごい爆食家に変貌した
それまでなかった"おねだり"までするようになって
嬉しかったなあ
毎日の生活に張りが戻って、充実感に満ちていた


テツ、真夜中の散歩中
どこでもかまわず突き進んだ


そうか、お前は覚えてないか
毎晩散歩に付き合うのは大変だったけど
ずっとこのまま続いてくれと願ったもんだ

でも、ひと月も続かないうちに
夜中の散歩はぴたりと止まって
お前は散歩どころか外に出るのも嫌がるようになった
それから爆食も治まって、強制給餌の生活に戻った


テツの「ちょうだい」ポーズ(少し太った?)
後追いしてまでせがんだのは、後にも先にもこのときだけだった


テツよ、あれは本当に何だったんだろうな
確かにIBDという病気は体調が繰り返し変わるらしい
でもあれはあまりにも急で、短期間だった

そうか
毎日毎日憂鬱そうで強制給餌に耐えていた老猫と
懸命に献身的な介護を続ける保護者
きっと神様がそんな我々を見かねて
ちょっとした贈り物を思いついたのに違いない

そしてこの保護者に、ノラたちを見守る決意をさせたんだ



再掲写真
テツのやさしさが伝わってくるお気に入りの一枚です
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テツ一周忌追悼 「君のくれたやさしさを」

2017年09月25日 | (故)テツ 
2016年9月25日午前6時47分
大きく息をした後に呼吸が止まって、オジンとオバンに見守られながら君は逝った
テツ、あれからもう1年だよ
早いものだね

      
             ささやかな献花と供香しました

君は老夫婦を悲しませまいともう少し生きたかったようだけど
確実に進行するIBDという病気は非情だった
でも君は、本当によく頑張ってくれた
最後の1年は日々の強制給餌にも耐えてくれたし
痛かろうが苦しかろうが、いつも穏やかな表情で我々夫婦に接してくれた

何よりも、夫婦がハナとくもを入院先で亡くしたことをどんなに後悔したか
君はよく知っていたんだよな
だから君は亡くなる前日の朝に、自分が悟ったことをこのオジンに暗示した
おかげでこっちはその日どれだけ苦しい思いをしたことか
そして君が危篤状態に陥ったその日の夜
救急病院には行かずに君との時間を過ごした
走馬灯のようにいろんな思い出が浮かんでは消えて
君との別れとなった最後の一晩を、しっかりとまっとうできたんだ

            
              晩年になっても穏やかな生活
         でも病気の苦しさに耐える表情は厳しかった

テツ、君のいない生活なんて考えられなかったけど
自分は今もこうして生きている
君のために費やしていた自分の時間を
今では君の仲間たちのために使いたいと頑張っているよ
君にもらったたくさんのやさしさを、今度はこっちが配る番だとね

君はオバンの知り合いの家裏でノラの子として生まれた
5ヶ月になっても里親が決まらない君が
わが家に来たのは1998年の早春だ
そのときわが家にはハナがいて、実は自分は引き取りに反対だった
今はオバンの、その時の実力行使に感謝しなくちゃな
それと、君を優しく迎え入れ世話までしてくれたハナにも感謝

            
             ハナに舐められて少し緊張気味
                (テツ8ヶ月くらい)

君は小さいときから、人に興味を示す変な子だった
特にこのオジンのすることは、傍でジーッと見つめていたよな
寝るときはオバンの布団の中と決まっていたけど
男同士の絆ってやつかね

くもを迎えた頃から3人の子供たちが次々とひとり立ちして
オジンとオバンと、君たち3匹での生活が始まった
自分は出張で家を空けることが多かったし
オバンも働いていたから君たちは留守番ばかり
でも、家にいるときは3匹揃ってよく散歩に行ったっけ
好き勝手行くわリードがこんがらがるわで、いつもてんやわんや
ご近所の評判になったもんだ

そして君の失踪と生還
それを機会に家族の絆は急速に強まった
君はハナを慕い、くもを遊び相手にして
人間と猫の橋渡し的な存在になった
その頃から以心伝心、このオジンと気心が通じるようになった

            
              駐車場で3匹揃って日光浴
          (左ハナ8才、中奥くも1才、テツ3才くらい) 

何より、君はいつも同じように接してきた
外資系特有のM&Aの連続で職場の変化に疲れ果てたときも
大きな投資に失敗して破産寸前に陥ったときも
変わらない君がいたから、頑張り通せたのかもしれないな

そう、君は決して変わらなかった
どんなときも変わらずに、まるで見守られているようだったよ
それは君にIBDの兆候が現れて激ヤセになっても
食べてもすぐに吐いてそのうち食べられなくなっても
ハナとくもが立て続けに亡くなってひとりになったときも
陰でこっそり黄昏ることはあっても
夫婦の前ではいつも変わらない君だった
そして人生の節々で、我々に大切なことを思い出させてくれたんだ

            
              当家に来たときのテツ(と次女)
              小さい頃はむしろ小柄だった

テツよ、この家に来てくれてありがとう
君がくれたたくさんのやさしさを、本当に本当にありがとう
そして長い間、ご苦労さん
これからはこのオジンの心の中で、いつまでも安らかに過しておくれ

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テツとの対話 その12・新説「あの世は心の中にある」

2017年08月08日 | (故)テツ 
やあテツ、巷は猛暑だけどそっちはどうだい
えっ? お前の忘れ形見かい?
ああ、みうはだいぶ落ち着いてきたけど、ニャーとはまだイマイチだ
そんなに心配はしてないけどね
そうそう、ソトチビも青年になって精悍さが増したな


生前、ソトチビを探すみうを見守るテツ(再掲)

それにしても気になるな、あの2匹
互いにまだ覚えているんだろうか
かつてはしばらく会わなくても、出会えばいつも寄り添ってた

猫族は前しか向かないから
思い出を抱き続けることができないと言われている
ある意味都合がよくて、しかし哀しくもあるな
何? 記憶としてじゃないけど心の中にはちゃんとある?
だからお前はそうしていられる??


ハナが脳溢血から復活後、ますます慕うようになったテツ

テツよ、ところでお前、ハナとくもには会えたのかい?
思うにそっちが虹の橋を渡った世界なら
生物の歴史始まって以来の御霊が暮らしていることになる
大変な混雑なんじゃないかと・・
誰かを探すなんてできるのかどうか

なるほど、ハナやくもはいつも一緒だけど
そっちの話はできないってか
でもわかるよ、テツ
口で言わなくてもわかるのが、我々の関係だったからね


ハナ葬儀の翌日、ただならぬ雰囲気のくもとテツ

お前は、そう、このオジンの中にいるんだよな
このオジンが出会った、心を持つ命のすべてが
虹の橋を渡るとお前のいる世界に行く
だから、ハナもくももそこにいるんだよな

そうか、お前たちはこのオジンの五感を通して
今の世の中を感じることができるのか

しかも、お前の世界はこのオジンの心の中だけじゃない
オバンや子供達や、みうやソトチビの心にも存在している
そこにはそれぞれ違う仲間がいるはずだ
オバンならオバンが
かつて出会いそして虹の橋を渡った心のすべてがね

それは異次元の世界
オバンの中のお前は、今話しているお前とは似てるけど違う
御霊はひとつなのに
角度が変われば違う反射をする光のようなもの
きっと話せるお前は、このオジンの中にしかいないんだろうな


ついに独りになって黄昏るテツ
(当時はこんな写真ばかり)


テツよ、お前からは本当にいろんなことを教えられた
仕事の困難に直面して心が折れそうになったときも
支えてくれたのはお前たちだった
いつかまた、そんなことを語る日が来ると思うよ

でもな、今はもっと気になることがある
このオジンが死んだら、お前は一体どうなるんだい?
えっ? もちろん消滅する?
そして我々の両方を知る、誰かの心の中で会えるって?


ガリガリに痩せたテツ(亡くなる一週間前)

なるほどね
でもそのときは、お互い別の顔になってるんだよな
何だか寂しい話だね

それに、御霊と言えども永遠じゃないなんて
自分を知る最後の心が虹の橋を渡ると、いよいよ本当の消滅だ
なあ、テツよ




テツ?


えっ?


人間の識者の換算表だと?


お前の享年は人間で言うと92才?


ああ、そう言えば前にそんな話をしたっけ



ん?




テツ?


















「ぐだぐだ言うのは、そこまで生きてからにしろや!」


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テツとの対話 その11・郷愁 ~心の原風景を偲ぶ~

2017年07月09日 | (故)テツ 
やあテツ、今年は異変だ
毎年春からこの時期には聞こえていた蛙の大合唱が
今年はさっぱり聞こえない
どうやらこの辺でも、農家さんが農薬を使い始めたらしい

子供たちと周辺の田んぼでザリガニ採ったり
近くのクヌギ林にカブトムシを採りに行ったり
お前たち三匹がわが家に来た頃は、そんな時代だった
今となっては、みな懐かしい思い出だ

そうだな、確かにトシをとると思い出ばかり
家の周りの原風景もそうだけど
なぜかお前たちのこともよく思い出す
あの頃の平和な時間が、そういった風景と重なるのかもしれないな


左テツ(15)、奥ハナ(20)、右くも(13)
ハナが脳溢血から回復し始めた頃


お前たちがいた、のどかでやさしい時代
仕事に追われて、出張ばかりで大変だったはずなのに
何か大切なものが、そこにはあったように思うんだ

そして最近、それが少しながらわかってきたような気がする
それはお前たちが本来的に持っているもの
限りなく深いやさしさ
無償の愛
見返りを期待しない信頼
なんて、俗っぽい表現だと興醒めしちゃうか


ハナとテツ
二匹のラブラブ写真は山ほど残っている


人間にだってあるさ
育児に励むおかあさんは、何の見返りも期待しない
でもAIだの機械化だのが進んで
人はより論理的になって、損得にこだわり始めた

テツよ、肉食獣のお前たちが
どうしてそんなにやさしくいられるのか
紛争地域の人たちや心が屈折しちゃった人たちに
教えることができればいいのにな


テツとくも
くもはテツの仲良し遊び相手だった


保護者と暮す家猫は、当然ながら保護者を心底信頼している
保護者に世話されていれば自然なこと
一方孤高のノラとなれば、そこまで深い関係を求めないだろう
でもな、たまにいるんだよ
理由もなく人に興味を示して、必要以上に近づいて来るニャンコが

なあテツ、お前がそうだった
お前はこのオジンにしかわからない、何か特別な感情を抱いていたよな
だからお前を通して、ニャンコの本質が垣間見えたような気がした


激ヤセのテツとくも
生まれて初めて、自分のご飯を取りに来たくもに譲るテツ
(くもが倒れる3日前、その後くもは病院で帰らぬニャンコとなった)


しかし残念ながら、その何かを表現する言葉が見つからない
思いやりとかいたわりとか
ちょっと厚かましい感じのするそんな言葉とは違う
息をするように、心臓の鼓動のように、もっともっと根源的で自然なもの

それはこの世に生まれた、生きとし生けるものなら誰もが持っている
でも我々人間は、どこかに置き忘れつつあるのかもしれないもの

テツよ、正直言っていくら考えてもわからない
でもニャンコと暮らしていれば
また感じる機会があるかもしれないな
暖かくて、やさしくて、ひたすらに懐かしいあの感覚を

お前が、このオジンに教えてくれたように


テツ11才、この頃は体調もよく・・
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