日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

「マルコの世界」展&高畑勲氏トークショーの思い出(2016.12.17)@イタリア文化会館

2017年12月26日 | イタリア映画・映画
「マルコの世界」展&高畑勲氏トークショーの思い出(2016.12.17)@イタリア文化会館


もう一年たってしまいましたが 昔大好きだった「母をたずねて三千里」のトークショーの思い出を 記録に残しておきますね:

この日は年末三連チャン!! 夕方2つめのイベントを終えてそのままダッシュでイタリア文化会館へ...((+_+))

30分くらい遅れて着くと満席 でも最初に第2話の上映のため トークを大幅に聞き逃すことなく助かりました 第2話はLPにも収録されていて 若い頃に何十回となく聞いていたのです(^_^)v


      *       *       *

(途中からですが) 「アルプスの少女ハイジ」のためにスタジオをズイヨーに移り 同じメンバーで作った 「フランダースの犬」の企画はラストに主人公が死ぬと聞きビックリした その次は「母をたずねて三千里」と名作路線の予想はついた 

クオレ」を読んでいて 少年の非行の話などけっこう暗い話があった 
貧しさの中にあった当時(19世紀末)のイタリア人のアイデンティティを イタリアのネオリアリスムをベースに描こうじゃないか となったのです

母を探すというのは口実のようなもので(会場笑) 一話一話さまざまなトラブルを解決してゆき成長してゆく話で 一宿一飯の恩義を感じた主人公が ヒューマニズムのために動く話ですね

原作では父親のピエトロはただの貧しい人だったが 脚色で 貧者のための病院を作る運動をしている人という設定にした 日本でもそういう病院はあった 

会場からのQ&A:

Q: ロケハンに行き 強い現実感はロケハンあってこそのものと感じたが...
 
宮崎駿氏の才能を刺激した 彼の空間のつかまえ方の能力を見せつけられた
 下町の縦の街の描き方とか...急斜面にはりつく街に憧れていた フランス映画「赤い風船など

太陽の王子ホルスの大冒険」では意識的にカメラを動かしていった でもテレビシリーズでは描くのが大変だから カメラはできるだけ動かさない フィックスのショットで描いた

日常的な描写 学校に行く 下町の人々 お釣りの渡し方 火をつけたり水汲み等 料理を手伝うシーンなどは テレビシリーズだから描き込めた 映画だったらそんなの描く余裕はない 
イタリアの建物は外は昔のままですが 中は改造して住みやすくしてある いろいろな手を使って日常のシーンを見せてもらえるよう努力しました 文献や研究者の話を聞いたり...

それらを描いてゆけるような話を作ろうとしたのです 

また ペッピーノ一座やフィオリーナを出したり バイアブランカに行く話を盛り込んだりと シリーズを膨らませてゆきました 

フランダースの犬のネロ少年は可愛げがあるが マルコ少年は誇り高く自立心が旺盛で 言ってみれば可愛げのない 同情されにくい少年ですね 

つらい話をつらい顔して描くのは実に大変なことで 第一話は僕も前回の小田部氏同様の感想ですが 第二話は比較的明るい話で お母さんがアルゼンチンに行ってから一年たった日常を生き生きと描く話でしたからね

また 第一話ラストで 港でだまって立ちすくむマルコ少年の硬い表情がずっと続きますが ヘタに動きを入れるよりいい それにしても失神したり 見ていてつらいシーンを...


その他 イタリア語やフランス語はできません キャラクターの名づけは監督の役得 (フィオリーナは"お花ちゃん"と言う感じの名づけ) あまり本を買って調べることはせず 創造で補う (おつりを籠に入れて窓からひもで降ろす、狭い階段ですれ違うシーンなど)
帆船の構造を自然に頭に入れてしまうような宮崎駿がいなければできなかった作品 

また 働くシーンが多いのは 描きがいがあるからです 意識して入れたのです 働きながら話す方がやりやすい ただ喋るだけよりも描きやすい 

実写を撮りたいとは思っていません ドン底に落ち込んだ時などは 「この制限の中で精一杯やった」ことで乗り切ってきた 団結が崩れると全体がこわれますから 自分だけずるしようというのはダメですね 

ロケハンでは アルゼンチンは食べ物もよくなくて平原ばかり続き イタリアに行ったら料理はおいしくて景色も凹凸があって美しくて 嬉しかったですね 等...

以上 実は 私は初めて高畑勲監督を直接見たのですが 若い頃に監督のご親戚の方とご一緒したことがあります なので初めてという気はしなかったです♡ 

お知らせは こちら

小田部洋一トークショー」リポートは こちら


素晴らしいイベントを開催してくださいましたイタリア文化会館様に心よりお礼申し上げます
記事が遅くなってしまい申し訳ありません(/_;)



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