「彫刻家ミケランジェロ(Michelangelo sscultore)」のセミナーに参加してきました(2023.3.19)@高円寺ピアッツァイタリア
ローマ歴史講座のシリーズ以来 高円寺ピアッツァイタリアでのひさびさの美術セミナーに参加してきました😊
今日は彫刻家としてのミケランジェロがテーマです💕
1475年にトスカーナ アレッツォ州のカプレーゼ(Caprese)で生まれたミケランジェロ(1475~1564)は 幼くして両親を失い ドメニコ・ギルランダイオ(Ghirlandaio)の工房に入ります
乳母(balia)の両親は石切工(scalpellini)で そのためか 乳母のお乳に大理石の粉が混じっていたから自分は彫刻家になったのだ と後年話していたそうです😲
工房での3年の契約を2年で切り上げ メディチ家のロレンツォ・イル・マニーフィコ(Lorenzo il Magnifico)のもとに出向きます 牧神の頭(Testa di fauno)が完璧すぎると指摘され ハンマーでその歯を折って 老人に見えるだろうといったという逸話があるそうです😲
また Basilica di Santo Spiritoの修道院(convento)で 人体解剖学(anatomia)を学んで作品制作に生かしたのですね
最初の彼の公式の彫刻作品は 「Crocifisso ligneo」(1493/フィレンツェ)です 磔刑にされたキリストの苦悩を表すため痩せた身体にしました これは人体解剖の修行のお礼の贈り物とのこと
ロレンツォの死後 息子のPietroとはそりが合わず ヴェネツィアに移ります
1495年頃に従妹のLorenzo di Pierfrancescoのためにフィレンツェに戻ります
枢機卿(cardinale)のRiarioに招かれ1496年にローマに行き 1497年にバッカスBaccoの像を掘ります 数少ない完成作品ですね
これはバッカスの後ろにサテュロス(satiro)が隠れていて バッカスの持っている葡萄を食べています そのため枢機卿は受け取りを拒否し ミケランジェロの友人の銀行家が買いました
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1498年にローマにもどり 若干23才で「ピエタ像(Pietà)」を掘りますが とにかく美しいですね...💕
Pietà vaticana (Basilica di San Pietro/Roma)
カッラ―ラ(Carrara)の採石場に出向いて自ら大理石(marmo)のブロックを選びました 後年ずっとここの大理石を使いました
聖母マリアはキリストよりも2メートルと大きく それでも二人の顔は同じ大きさのためその差は目立たないことや マリアは人間ではなく 年齢のない超自然的な または聖女のpurezza(清浄)のシンボルなので泣いていないこと 横たわるキリストも苦悩の表情はないことなどが特徴ですね
また 大理石の指を折られたり 鼻や腕が折れたりの大変な災難にも何度かあったそうです😲
聖母マリアの服の肩章(fascia)に彼のサインがありますが 彼の唯一のサインであり 完成させた証とのこと 未完成の作品の多い彫刻家でした
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そしてダヴィデ像(David) 2人の別の彫刻家が途中で投げ出したその6メートルもの長方形の大理石のブロック(あまり質がよくなかった)を前に ゴリアテ(Golia)の首を持つ像ではなく 戦いに挑む直前の立像を掘ったとのことで ポーズや表情の詳細な説明を伺いました 重さを支えきれないため 右足のうしろに木の幹を添えたとのこと
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そしてモーセ(Mosé) ユリウス2世(Giulio Ⅱ della Rovere) が彼の墓を作らせますが 6回も変更をして 教皇が亡くなったあと 最初よりも小さな形で完成したそうです
モーセの角は光の角(corna)です 緊張と怒りのあまり立ち上がろうとする瞬間のポーズで 金の子牛(vitello d'Oro)を崇拝した古代エジプト人への怒りのため モーセの十戒(Tabole dei Comandamenti)が右腕から滑り落ちそうになっています
これに関してはフロイトが心理学的説明をしており興味深いとのこと
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後年は 注文を受けずに自ら彫刻に向かいます
I Prigioni (1525-1530/Firenze) これは瀕死の囚人たちの像ですが ミケランジェロは 大理石の塊を前にして これから掘られるべき像が見えたそうです そして その像を大理石から外に取り出すために掘ったのだそうです まさに 大理石から人間が出ようとしているかのようですね
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ロンダニーニのピエタ(Pieta Rondanini/1554 Milano) これは彼の最後の作品で部分的に未完成(non-finiti)ですが 魅力的ですね💕
マリアが 亡くなったキリストを抱き抱えるポーズは背が傾いており 表情は未完成のままで これが後年ミラノで発見された時の逸話も興味深いですね
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2018年に 上野の国立西洋美術で行われた「ミケランジェロと理想の身体」展のことも思い出しました 若き頃の「若き洗礼者ヨハネ」と 壮年期の未完の傑作「ダヴィデ=アポロ」とが再び出会う...不思議な感動を覚えました
90分にわたりノンストップのイタリア語の説明を聞いて 最初はどうなることかと思いましたが(笑) ミケランジェロは大好きなので 写真つきのテキストもありよくわかりました😊
ピアッツァイタリアの美術セミナーはほぼすべて参加しています😊
セミナー「彫刻家ミケランジェロ(Michelangelo sscultore)」のお知らせは こちら