イーゴルト(Igort)のグラフィック・ノベル「ロシア・ノート(Quaderni Russi)」「ウクライナ・ノート(Quaderni ucraini)」を読みました
サルデーニャ出身の漫画家Igortのご友人でもある 写真家のGiovanni Piliarvu先生から勧められたIgortのグラフィック・ノベルを イタリア文化会館の図書室で借りてきて お正月に読みました
手書きのイタリア語のセリフをひとつひとつ 日本語と対訳で読み進めてゆきました
先生によると その本は"un po' pesante"とのこと😲
確かにそうでした おせち料理をたらふく食べていたお正月に読むんじゃなかった...😞
il numero crescente di morti dovuti alla carestia
飢饉による死者の数が急増していた
In questi tempi abbiamo notato una recrudescenza di casi di necrofagia e cannibalismo.
近頃はまた 食屍や 人肉食の事例が増えてきました
いずれも「ウクライナ・ノート」より抜粋 (栗原俊秀 訳)
ウクライナ飢饉「ホロドモール(Holodomór)」(飢餓による殺人)は こちら
いや... 知らなかった...
早速 うちにあるウクライナの本で調べてみました📖
『スターリンは 農民をむしろ社会主義に対する抵抗勢力と考えていた節があり 彼らをスターリンの考える社会主義体制に組み込むには手荒な手段を使うのもやむをえないと考えていた
ウクライナの大飢饉は1932~33年に起こった 自分の土地を耕して自活していたウクライナの農民を 国営農場・集団農場の一員とする「農業集団化」を進めた
「クラーク」と呼ばれた比較的豊かな農民は土地を没収され 収容所送りや処刑された
食物を隠している者は 社会主義財産の窃盗として死刑とする法律が制定された
穀倉のウクライナで飢饉が起きたことはまことに異常な事態である
農民はねずみ、木の皮、葉まで食べた
人肉食いの話も多く伝わっている
村全体が死に絶えたところもあった 餓死者は数百万人に及んだ
これは人為的に起きた飢饉であり これまで隠されていた
この時期にソ連は平然と穀物を輸出し続けていたのである』
* * *
「ロシア・ノート」の方は チェチェン紛争の想像を絶する非人道的な暴力がテーマで 「ここでは、人の命には 2コペイカの価値もない」の言葉の如く 2006年にモスクワのアパートで殺害されたジャーナリスト アンナ・ポリトコフスカヤ(Anna Stepanovna Politkovskaja) の事件についても描かれています
イーゴルト氏はご両親がロシア文化に造詣が深く 幼い頃からロシアの文化に触れていたそうで イタリア人の目を通して描かれた本なのですね
* * *
ウクライナ・ノート 対立の起源 (2022)
著者名:Igort 栗原 俊秀(訳)
著者名:Igort 栗原 俊秀(訳)
出 版 者:花伝社
Quaderni ucraini (2014)
著者名:Igort
出 版 者:Coconino press
著者名:Igort
出 版 者:Coconino press
ロシア・ノート : アンナ・ポリトコフスカヤを追って (2023)
著者名:イゴルト 作 栗原俊秀 訳
出 版 者:花伝社
Igortは 1990年代に雑誌「モーニング」で連載を持っていました
他の作品も読んでみようと思います