日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

日本の漫画における古代ギリシャ・ローマ 西洋古典の表現とグローバルな時代への貢献」に行ってきました(2025.1.13)@イタリア文化会館

2025年01月14日 | アニメーション・漫画
日本の漫画における古代ギリシャ・ローマ 西洋古典の表現とグローバルな時代への貢献(il mondo greco-romano nei manga giapponesi:  rappresentazioni del mondo  clasico e impatto nell'epoca della glovalizzazione)」に行ってきました(2025.1.13)@イタリア文化会館


2025年初のイタリア文化会館のイベントは祝日開催とあって 普段来られない方や若い方たち(学生さん)もいらして またまた満席でした

私自身は登壇者のひとり 里中満智子先生の『あした輝く』を 中学生の頃毎週泣きながら読んでいたファンですが お会いするのは初めてです 勇気を出して花束💐を受付スタッフに預けました 同じ空間にいられるだけで感無量でした💕
ヤマザキマリ先生は こちらのイベント等で何回かお話を聞きました 


紹介文より:
日本のサブカルチャーの境界を超え、漫画は今や国際的な人気を誇るグローバルな文化現象として、若い世代に古典古代(古代ギリシャ・ローマ)のテーマを身近に感じさせる役割を果たしています。
このパネル討論では、漫画に描かれる古代ギリシャ・ローマの特徴について議論し、それらの文化が日本的視点を通じてどのように翻案・再解釈されているのかを考察します。

著名な漫画家のヤマザキマリ氏と里中満智子氏、東海大学教授の中村るい氏、関西大学准教授のカルディ・ルチャーナ氏が登壇し、漫画が描き出すギリシャ・ローマ古典への多様なアプローチについて議論します。
さらに、漫画の作風や表現形式が西洋古典の描写に与える影響についても考察します。また、日本人漫画家によって再解釈された西洋古典の要素が、漫画のグローバルな人気を通じて発祥地に「帰還」し、ヨーロッパの新しい世代の読者に古典への新たな関心を呼び起こす現象についても取り上げます。
(日本語のみ) 
  
      *      *      *
 
大使は挨拶の中で"ritorno culturale"(文化回帰)について話されました 
このパネルディスカッションでは 後半の「漫画のグローバルな人気を通じて発祥地に「帰還」し、ヨーロッパの新しい世代の読者に古典への新たな関心を呼び起こす現象」の部分にあたります

まず最初にルチャーナ氏により この研究活動の概要が説明されました 日本学術振興会の科学研究費助成を受けての研究活動とのことで
日本における西洋古典受容に関する国際共同研究:近世からグローバル化の時代へ」というものです 

前日・前々日には慶応義塾大学で 日本における古代ギリシア・ローマの受容(Receptions of Greek and Roman Antiquity in Japan)というテーマでシンポジウムも行われました

16世紀イエズス会の宣教師来日に始まり 西洋古典が日本でも紹介され 明治維新を経てギリシャ・ローマ古典の受容がなされ 大戦後は古代ギリシャ語・ラテン語からの直接翻訳がなされました 

また漫画は海外でも翻訳され 西洋古典の世界を独創的にアプローチすることで西洋読者を魅了しています 日本におけるギリシャ・ローマ古典の受容は 双方向の文化交流なのですね

       *      *      *

まずはパネリスト紹介から始まりました
 

里中満智子先生の『ラファエロ その愛』は 仏語翻訳はあるがイタリア語には翻訳されていないとのこと😲 

パネリストの紹介のあと 19:15からパネルディスカッションに移りました まずはそれぞれの古代ギリシャ・ローマとの出会いのきっかけから伺いました 
ヤマザキマリ先生のあの若き日の有名なエピソード💕 里中満智子先生は少女時代に 手塚治虫の『火の鳥』のギリシャ編 そしてギリシャ悲劇との出会いを語ってくださいました 


次に それらを漫画にする上での工夫について伺いました 

里中満智子先生は 漫画は国籍不明でも受け入れられるし いくらでも少女漫画化できる 違和感を持つよりも他の人の生き方に共感することが大事 『メドゥーサの悲劇』でのメドゥーサの描き方(可愛らしく描いた)についてお話くださいました
 
オリンピアの詩』を描かれた時も 資料を色々調べて 優勝者の記録がない年を選んで架空の人物を登場させたこと また漫画を描くよりも資料を調べている時の方が面白いそうです (旅行の計画を立てる時の方が旅行に行く時よりも面白いのと似ていますね)

ヤマザキマリ先生は 『テルマエロマエ』の生まれたきっかけについて 古代ローマには風呂があるのに なぜ今のイタリアには風呂が普及していないのか?! お風呂大好き日本人の先生は焦燥感に駆られて 日本の銭湯にローマ人たちが押しかけるあのシーンが生まれたとのエピソードをお話くださいました♨ 

次に 神々を描写することについて 不可視の存在を視覚化することについて伺いました
里中満智子先生は アポロンの双子の妹アルテミスをボーイッシュに描いた理由等をお話くださいました
 
ヤマザキマリ先生は なぜ日本人が西洋の神々を描けるのかと聞かれた時に 一神教の縛りのない多神教の日本人だからこそ分かるものがあると答えたこと そして『オリンピア・キュクロス』で描かれている ハドリアヌス帝の別荘ヴィッラ・アドリアーナ にある
カノプス(Canopo)の遺跡のワニの銅像を漫画でも再現した理由 さらには勘三郎が亡くなられる前にヘラクレスを演じたいと先生におっしゃったことから 『ヘラクレス歌舞伎』のこの絵が生まれた貴重なエピソードをお話くださいました😲


そして 古代の物語の視覚化について アダプテーションの例をお話くださいました 
里中満智子先生の『オデュッセイア』で 12本の頭に穴の開いた釟斧をどう描いたか 映画や文献を調べまくり 皆バラバラなので 自分も自分の考えたように描いたと スライド写真を見ながらお話くださいました 

また里中満智子先生の 漫画を描く過酷な仕事での色々なエピソードや 国際化とは英語が話せることではなく 外国の人がどう考えているかを知ることではないか 若い頃にはわかったつもりでいたが実はわかっていなかったと年を取った今わかる との含蓄ある言葉に感じ入りました 先生の声は初めて聞きました💕 

20:05に時間切れとなり終了しました スライドはまだ用意されていたようなので また別の機会にラスト部分の「ritorno culturale"(文化回帰)」のテーマについて紹介いただけると大変嬉しいです 


「日本の漫画における古代ギリシャ・ローマ 西洋古典の表現とグローバルな時代への貢献」のイベントのお知らせは こちら

貴重なイベントを開催してくださいましたイタリア文化会館様に 心よりお礼申し上げます


 


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