イタリアの家庭の食品ロスはコロナ禍ですこし減ったそうです(2021年5月)
食品ロス...私も身近に考え続けて 10数年前まで区発行の家庭向け食品ロス削減の冊子に イラストを描くアルバイトもしていました
以下の記事は レストランやスーパー等の食品ロスは含まれていませんが 記事によると...
コロナ禍で イタリアの家庭では 2019年に比べて 2020年の食品ロスが11%減った
2020年のイタリアの家庭での食品ロスは 一年間に一人27kg 一週間あたりで529gとのこと
日本では換算すると年間21kgと少ないが 定義が違うとのこと
2019年初めには 一世帯から毎週出る食品ロスが6.6ユーロ(約837円)で 過去10年間で一番少ないデータだったところ 2020年にはさらにコロナ禍で4.9ユーロ(約621円)まで下がったとのこと
イタリアの廃棄物マップによると 南部では平均より15%も多くの食品や残飯が捨てられている
食品ロスの削減に関心の高い地域はミラノがある北部 関心が低いのは下層階級と労働者階級とのこと
子どものいる家庭は平均より15%多く 収入が少ないほど食品の無駄が多いそうです
これには驚きました 収入が少ないと大切に食べるのではと思っていたのですが...
賞味期限が近い果物や野菜を アプリなどを使って割引価格で買っているのは3.2%に過ぎない とまだまだアナログですね
また 食品ロス問題に対するイタリア人の関心は非常に高く「コロナ禍で生じた貧困の拡大を受け スーパーや企業が販売できなくなった食品を 生活困窮者を支援する団体に寄付することを法律で義務付けるべき」という意見が85%と高い とあります
大都市よりも小さな町で食品廃棄が多いというのも驚きでした
「家で捨てる食品、5位パン、4位サラダ、3位玉ねぎ、2位野菜、1位は?イタリア・コロナで食品ロス減」の記事は こちら
「Le dinamiche dello spreco」の記事は こちら (イタリア語)
「WASTE WATCHER INTERNATIONAL OBSERVATORY. IL RAPPORTO 2021 È DEDICATO ALLO SPRECO ALIMENTARE IN ITALIA E NEL MONDO. 」(2021.2.3)は こちら (イタリア語)
うちは冷蔵庫の野菜室がほぼカラに近づいてきたら買いに行きます いろいろ工夫して使い切る「材料主義」です( `ー´)ノ
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単語:
lo spreco alimentare 食品ロス
scadere 期限が切れる
deteriorarsi 劣化する いたむ
acquisto troppo 買いすぎ
cucino troppo (料理の)作りすぎ
gli avanzi 食べ残し
non sanno conservare 保存の仕方がわからない
spreco risorse vitali 生命に必要な資源のロス
aumento inquinamento 汚染の増加
rifiuti in eccesso ごみの増大
prodotti a lunga scadenza (賞味)期限の長い生産物
acquisto periodico 定期的な購入
organizzazione frigorifero 冷蔵庫の段取りのよさ(整理整頓)
privilegiare acquisto prodotti a lunga conservazione (賞味)期限の長い生産物の購入を優先させる
*添加物が少ないものは賞味期限も早く切れるけど安全 賞味期限の長いものは添加物も…ジレンマですね
mangiare prima il cibo deperibile いたみやすい食べ物をまず食べる
congelare cibi che non si possono mangiare a breve すぐに食べられないものを冷凍する
la etichetta (食品表示の)ラベル
cibi precotti 加工食品
prodotti usa e getta 使い捨て商品
imballaggi in plastica プラスチックの包装
compilare sistematicamente una lista della spesa basata sul menu settimanale
システマティックに1週間の献立に基づいた買い物リストをまとめる
世論喚起の公式キャンペーン 「spreco zero」 は こちら
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また イタリアでは大都市よりも小都市の方が食品ロスが多いとあり 日本ではどうなのか調べてみました:
高度経済成長期 (1955年頃~1973年頃)以前 の農村では 台所からごみを出すということ自体が皆無に近かった
「来年また収穫するまでの食料を管理し 一日々々のやりくりで食いのばして間に合わせるのが主婦の腕であり責任であった」とあり 台所や風呂の排水まで廃棄せずに活用した生活の中で 「食いつなぐ」ことが至上命題であり 「食べものを 捨てる」ということ自体思い及ばなかったと思われる
昭和40年(1965)頃 スーパーマーケット形式の個人商店が開店した
「農家では 野菜は買って食べるものではない」と教えられた (昭和43年/1968)
高度成長期の行政による料理教室などの「衛生」活動は 自給システムに大きな影響を及ぼした
し尿や 台所や風呂の排水などは 「肥やし」から「廃棄物」へと姿を変えてゆき バキュームカーによる
便所の汲み取りが始まった (昭和39年/1964年) ← 1960年生まれの私の小さいころにも通ってました 鼻がまがりそうなくらい臭かった..
食べられるものを捨てることは罪悪に等しく こっそりと捨てなければならなかった (昭和40年代)
この頃はまだ食べ残しは1割程度 平成で3割
食べ物が世の中にあふれ始めた頃に 捨てない知恵やつくる手間の退化が 都市へ出て行った家族から広がり始めた
故郷から送られてきた「食べきれないもの」を 加工して保存するよりも「捨てる」という合理性を 受け入れざるをえない状況が生まれつつあった
このように農村と都市の意識の落差は 住環境の変化とともに 食べ物の入手方法の違い(農村では作る 都市では購入する)が 大きな影響を及ぼした
とあります
2010年 「ある農村における高度成長期の食生活」より抜粋
このように日本では 都市から食品ロスが広がってきた歴史があります
一方イタリアでは なぜ大都市の方が小都市よりも食品廃棄が少ないのか? これについては 大都市の人々の方がこの問題への意識が高いからでしょうか? こんどはそれが知りたいですね
「食品ロス削減の法整備など政策が整った国ベスト10 フードシェアアプリ事例が紹介された日本の順位は?」 は こちら
イタリアは5位 日本はベスト10圏外とのことです
* 写真は アマルフィで食べたランチ いかにもごみが出そうな...(笑)