島村奈津講演会「イタリアの地域食材と 知られざる絶景と町おこし」リポート(2016.11.21)@イタリア文化会館
2017年11月17日(金)~26日(日)にイタリア文化会館で開催される「世界イタリア料理週間」の前哨戦として 昨年の島村奈津氏のスローフードの講演会のリポートをアップさせていただきます
ちなみに記事のラストに出てくるマルケ州のアルベルゴ・ディフーゾについては まさに2017年11月15日(水) 同じここイタリア文化会館にて このアルベルゴ・ディフーゾ協会会長による「イタリアの小さな村における空き家の再生について」という基調講演があり 私も聞きに行ってきました 日本にはまだないものです(リポートは後日):
* * *
立て続けの2016年11月の怒涛のイベント週間もこれで最後?! イタリア留学フェアに留学セミナー ローマの美食にAcci Gusto 検定も含めて大変な数週間でしたが この日は「ローマの美食散歩」に続いて行ってきました スローフードの講演会!!
壇上に立つ島村奈津氏の言葉の重みと思いの深さは 忘れることはできません... 長い年月をかけて写された写真の数々を見ながら 一人ひとりの生産者を 大切な友人としてきた彼女の イタリアの地域食材のたくさんのお話を聞きました...
aglio di Vessalico リグーリアの山間地のにんにく ヨーロッパの生物多様性の半分はなんと イタリアにあるのだという FAOの専門家の言葉...だからイタリアってすごい!!種取りまでの食材は今はレアで 生産者も7人くらいに減ってしまいました
日本とイタリアは縦長の島で 気候もよく似ています
トスカーナの街チェルタルドの赤玉ねぎ これも生産者は9人くらい 中国の野菜に押されてしまっています 「ダンテの神曲」にも出てきた玉ねぎなのだそうです!!
シモーネのお米 オーガニック米がここ5年ばかりで売れ始めたそうです
ロンバルディア州の最北端で作られる ピッツォッケリ(pizzoccheri)は そば粉のきしめんと チーズを合わせたような料理
地粉マークをつけたお店を増やすプロジェクト 段々畑が復活してきたというお話
そばがき つまり黒いポレンタ(そば粉grano sarazenoで作ったポレンタ)は チーズとバター入り!!
遺伝子組み換えとうもろこしが9割を占める米国 日本でも増えている
ピエモンテで消えゆく ottofileというトウモロコシの粉で作るポレンタ
このottofileという品種を 「倍払うから作り続けてくれ!」と言って作ったとうもろこしが今やプレミアに! そのとうもろこしが 2000年に偶然日本でも発見されたそうです
在来トマト シチリアのパッキーノというブランドが有名 皮は厚く糖度が高い(実に10%!!)
ピエンノロ(ヴェスビオ山のふもと)の乾いた土地で育てており 手摘みでの収穫 手間は3倍 年を越すまで畑で干すと糖度が上がる 上品な酸味...
まるで葡萄の房のようになっているこのピエンノロ・トマト(Pomodorino del Piennolo del Vesuvio)は チラシにもその写真が使われました
レモンは アマルフィのレモン(il Limone Costa d'Amalfi)は 年間10ヶ月収穫できるという 酸味は少なく上品 段々畑で育て 担い手がいなくなっている
そこで六次化してリモンチェッロ等の加工まで担うようにし 価格の価値をわかってもらうようにした 古代ローマにもレモンがあった 1,5メートルの幅の山の中腹にある段々畑...
アマルフィ海岸のリアスの景色は有名ですね ぜひこの山の上に泊まって 山ガイドと歩いてみてくださいとのこと 獣害が今問題です
カッラーラの大理石の石切り場 その大理石で作られた器に 豚の脂を仕込んで寝かして作られた
ラルド・デ・コロンナータ (Lardo di Colonnata)は 背脂の生ハムとも言われIGPにも認定されている
昔 cucina povera(貧しい料理)という 石切り場の人たちが捨てていたものを使っていた料理が 80年代半ばから価値が上がっていった
ピエモンテ牛(Razza bovina piemontese) また キアーナ牛(トスカーナやウンブリア)は ブランド化された
「ファーストフーディレーションに世界は潰される」と言ったイタリア人の獣医師が La grandaという 無添加の餌を使ったトレーサビリティのシステムを作った話
今は牛の妊娠も人が抱えたり人工的に行う中 ここでは自然に行われるという
カチョカバーロを木桶で作るなんて今はもうない!! しかも乳は手絞り!! 農家民宿がまだ残っている その貴重な写真...
角の長いマレンマーノの牛(Maremmana/razza bovina) 昔は大理石を運んだ手段だったという 国立公園保護区に放牧されており 宿泊もできるとのこと
船の上のマグロの写真 これはサルデーニャ マグロ漁で有名なサンピエトロ島(isola San Pietro)の町・カルロフォルテ(Carloforte)の5月末~6月初旬のマグロ祭り Girotonno
ここで行われるマッタンツァ(mattanza)は マグロを網で囲って徐々に狭い空間に追い込むという フェニキア人が伝えた中世の漁法
サルデーニャのからすみ(bottarga)は地域おこしのトップ! 漁師がからすみ料理のレストランを運営しているという
アマルフィの南は治安もよく コラトゥーラ(colatura di alici)という魚醤(しょっつる←国により名称等も様々)も作られている
バルサミコ酢は 80年代からだんだんと認められ輸出が増えている
エトナ山は 若い人々が戻ってきたのはワインやオリーブオイル生産が盛んなため 葡萄は2千年来の作り方とのこと
「多様性」在来種が残り プリニウスが書いたという絞り機がまだ残っている なんと 白と赤が同じ葡萄棚に混在しているという
畑の土壌は 場所によりまったく違うことがあるのも エトナ山ならでは
マルケ州の村では albergo difusoという 空き家対策から始まった宿泊システムがある 村を維持するためにこのまま残したいということで 煤(すす)の残ったままの 中世のような畜舎に農家の歴史をそのまま残した施設とのこと
若者たちが移住しており 地元の素材と 中世のレシピで作った料理を出す店などもある
畝(うね)ごとに作物の違う畑は この講演会のチラシに使われた写真にもある
マルケ州には 農家民宿などもある 様々な生産者たちが紹介された
イタリアのものづくりの人がヒントをくれたと言う: 「環境問題は 本当においしいものが食べられなくなるってことだ」
2016年にシチリアの若者達が 鹿児島と同じように オーガニック農園を始めた 生産はトップだが地元消費はワースト1 それを地元で店を出して売っていった
その他 多くの貴重なお話を伺った... ランペドゥーサに上がった移民たちの働く畑
そして 質疑応答では 日本ではまだまだ農業への補助金が少ないこと イタリアでは非耕作地があれば そこに牧草を植えて 牛の飼料を国産でまかなうようにしていること (日本では国産飼料が高く輸入に頼っている現状)
牛肉は東欧などからも入っているが イタリア産はおいしいから皆が選ぶ!!
遺伝子組み換え食品等 食の安全の教育を含めた「食育」は 日本ではまだまだ 種がどう育ち 収穫されてゆくかを知っている人は少ない 次の世代をどう育ててゆくか 遺伝子組み換えの種とセット販売の農薬で自殺したインドの生産者たちのこと... この話を始めたら止まらなくなるという講演者の思い しかと受け止めてきました
開催のお知らせは こちら
素晴らしいイベントを開催してくださいましたイタリア文化会館様に心よりお礼申し上げます
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2017年11月17日(金)~26日(日)にイタリア文化会館で開催される「世界イタリア料理週間」の前哨戦として 昨年の島村奈津氏のスローフードの講演会のリポートをアップさせていただきます
ちなみに記事のラストに出てくるマルケ州のアルベルゴ・ディフーゾについては まさに2017年11月15日(水) 同じここイタリア文化会館にて このアルベルゴ・ディフーゾ協会会長による「イタリアの小さな村における空き家の再生について」という基調講演があり 私も聞きに行ってきました 日本にはまだないものです(リポートは後日):
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立て続けの2016年11月の怒涛のイベント週間もこれで最後?! イタリア留学フェアに留学セミナー ローマの美食にAcci Gusto 検定も含めて大変な数週間でしたが この日は「ローマの美食散歩」に続いて行ってきました スローフードの講演会!!
壇上に立つ島村奈津氏の言葉の重みと思いの深さは 忘れることはできません... 長い年月をかけて写された写真の数々を見ながら 一人ひとりの生産者を 大切な友人としてきた彼女の イタリアの地域食材のたくさんのお話を聞きました...
aglio di Vessalico リグーリアの山間地のにんにく ヨーロッパの生物多様性の半分はなんと イタリアにあるのだという FAOの専門家の言葉...だからイタリアってすごい!!種取りまでの食材は今はレアで 生産者も7人くらいに減ってしまいました
日本とイタリアは縦長の島で 気候もよく似ています
トスカーナの街チェルタルドの赤玉ねぎ これも生産者は9人くらい 中国の野菜に押されてしまっています 「ダンテの神曲」にも出てきた玉ねぎなのだそうです!!
シモーネのお米 オーガニック米がここ5年ばかりで売れ始めたそうです
ロンバルディア州の最北端で作られる ピッツォッケリ(pizzoccheri)は そば粉のきしめんと チーズを合わせたような料理
地粉マークをつけたお店を増やすプロジェクト 段々畑が復活してきたというお話
そばがき つまり黒いポレンタ(そば粉grano sarazenoで作ったポレンタ)は チーズとバター入り!!
遺伝子組み換えとうもろこしが9割を占める米国 日本でも増えている
ピエモンテで消えゆく ottofileというトウモロコシの粉で作るポレンタ
このottofileという品種を 「倍払うから作り続けてくれ!」と言って作ったとうもろこしが今やプレミアに! そのとうもろこしが 2000年に偶然日本でも発見されたそうです
在来トマト シチリアのパッキーノというブランドが有名 皮は厚く糖度が高い(実に10%!!)
ピエンノロ(ヴェスビオ山のふもと)の乾いた土地で育てており 手摘みでの収穫 手間は3倍 年を越すまで畑で干すと糖度が上がる 上品な酸味...
まるで葡萄の房のようになっているこのピエンノロ・トマト(Pomodorino del Piennolo del Vesuvio)は チラシにもその写真が使われました
レモンは アマルフィのレモン(il Limone Costa d'Amalfi)は 年間10ヶ月収穫できるという 酸味は少なく上品 段々畑で育て 担い手がいなくなっている
そこで六次化してリモンチェッロ等の加工まで担うようにし 価格の価値をわかってもらうようにした 古代ローマにもレモンがあった 1,5メートルの幅の山の中腹にある段々畑...
アマルフィ海岸のリアスの景色は有名ですね ぜひこの山の上に泊まって 山ガイドと歩いてみてくださいとのこと 獣害が今問題です
カッラーラの大理石の石切り場 その大理石で作られた器に 豚の脂を仕込んで寝かして作られた
ラルド・デ・コロンナータ (Lardo di Colonnata)は 背脂の生ハムとも言われIGPにも認定されている
昔 cucina povera(貧しい料理)という 石切り場の人たちが捨てていたものを使っていた料理が 80年代半ばから価値が上がっていった
ピエモンテ牛(Razza bovina piemontese) また キアーナ牛(トスカーナやウンブリア)は ブランド化された
「ファーストフーディレーションに世界は潰される」と言ったイタリア人の獣医師が La grandaという 無添加の餌を使ったトレーサビリティのシステムを作った話
今は牛の妊娠も人が抱えたり人工的に行う中 ここでは自然に行われるという
カチョカバーロを木桶で作るなんて今はもうない!! しかも乳は手絞り!! 農家民宿がまだ残っている その貴重な写真...
角の長いマレンマーノの牛(Maremmana/razza bovina) 昔は大理石を運んだ手段だったという 国立公園保護区に放牧されており 宿泊もできるとのこと
船の上のマグロの写真 これはサルデーニャ マグロ漁で有名なサンピエトロ島(isola San Pietro)の町・カルロフォルテ(Carloforte)の5月末~6月初旬のマグロ祭り Girotonno
ここで行われるマッタンツァ(mattanza)は マグロを網で囲って徐々に狭い空間に追い込むという フェニキア人が伝えた中世の漁法
サルデーニャのからすみ(bottarga)は地域おこしのトップ! 漁師がからすみ料理のレストランを運営しているという
アマルフィの南は治安もよく コラトゥーラ(colatura di alici)という魚醤(しょっつる←国により名称等も様々)も作られている
バルサミコ酢は 80年代からだんだんと認められ輸出が増えている
エトナ山は 若い人々が戻ってきたのはワインやオリーブオイル生産が盛んなため 葡萄は2千年来の作り方とのこと
「多様性」在来種が残り プリニウスが書いたという絞り機がまだ残っている なんと 白と赤が同じ葡萄棚に混在しているという
畑の土壌は 場所によりまったく違うことがあるのも エトナ山ならでは
マルケ州の村では albergo difusoという 空き家対策から始まった宿泊システムがある 村を維持するためにこのまま残したいということで 煤(すす)の残ったままの 中世のような畜舎に農家の歴史をそのまま残した施設とのこと
若者たちが移住しており 地元の素材と 中世のレシピで作った料理を出す店などもある
畝(うね)ごとに作物の違う畑は この講演会のチラシに使われた写真にもある
マルケ州には 農家民宿などもある 様々な生産者たちが紹介された
イタリアのものづくりの人がヒントをくれたと言う: 「環境問題は 本当においしいものが食べられなくなるってことだ」
2016年にシチリアの若者達が 鹿児島と同じように オーガニック農園を始めた 生産はトップだが地元消費はワースト1 それを地元で店を出して売っていった
その他 多くの貴重なお話を伺った... ランペドゥーサに上がった移民たちの働く畑
そして 質疑応答では 日本ではまだまだ農業への補助金が少ないこと イタリアでは非耕作地があれば そこに牧草を植えて 牛の飼料を国産でまかなうようにしていること (日本では国産飼料が高く輸入に頼っている現状)
牛肉は東欧などからも入っているが イタリア産はおいしいから皆が選ぶ!!
遺伝子組み換え食品等 食の安全の教育を含めた「食育」は 日本ではまだまだ 種がどう育ち 収穫されてゆくかを知っている人は少ない 次の世代をどう育ててゆくか 遺伝子組み換えの種とセット販売の農薬で自殺したインドの生産者たちのこと... この話を始めたら止まらなくなるという講演者の思い しかと受け止めてきました
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