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イスラエル人記者アミラ・ハスに注目

2009-06-20 22:38:06 | 中東関連
そのようなことをしたユダヤ系イスラエル人は初めてで唯一であ
る。パレスチナについて報道するというより、イスラエルの占領
の現実について語っている。



ハスは掲載されたコラムをまとめて「パレスチナから占領地の住
民となって報告します」と題する本を2003年に刊行した。ハスの
現地ルポを土井敏邦は、「現場で生きる人々のつぶやきの中から
心のひだを描き出し、読者が現場で当事者たちと同じ視線でその
生活を追体験させられているようなリアリティー」を持つと高く
評価する。

私が最初に注目した言葉は、「パレスチナ人社会に住み着くため
の鍵は、普通に行動すること、そして人々に敬意を払うこと、そ
してその社会で尊敬されている人々と接触を保つこと」というも
のであった。私は最後の部分に注目した。

ハスの観察は一言で言えば、この地域に新たなシステムのアパル
トヘイトが広がっていこうとしている動きを見抜いていることで
あり、これを阻止しなければならない、と強い信念を持っている。
何が彼女の活動の原動力かと聞かれて、ハスは「怒り」であると
答えている。パレスチナ人から次々苦情の電話がかかってきて、
イスラエル兵による不正義を知らされる度に怒りがこみ上げてく
るからである。

ジャーナリストの主要な仕事は「権力中枢をモニター(監視)す
ること」という信念を貫いている。また支配者がどのように被支
配者に影響を及ぼしているかを観察し、批判することという。パ
レスチナ人にとってイスラエルが「権力の中枢」であり、そのた
だ中にあるイスラエル人に自分たちがパレスチナ人に何をしてい
るかを示すことを使命と受け止めている。

家族がホロコーストを生き延びている。それでハスはいかなる問
題にも抑圧された側に立つ。そこで彼女はジャーナリストも自分
の意見を持って活動をしてよいし、そうでなければならない、と
言う。

私はこのような記者がイスラエル側にいることを知って嬉しく思
っている。著者と訳者も言っているように日本人もパレスチナで
起こっていることに無関心であってはならない。特にクリスチャ
ンと末日聖徒は目を凝らして見つめてほしい。

---

アミラ・ハス著、くぼたのぞみ訳「パレスチナから占領地の住民
となって報告します」筑摩書房 2005年
Amira Hass, "REPORTING FROM RAMALLAH -- An Israeli
Journalist in an Occupied Land," 2003 


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2 コメント

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イランとパレスチナ ()
2009-06-23 10:12:24
ここ数日、選挙後のイランの混乱がマスコミを賑わしてますが、その報道を聞くたびに、複雑な気持ちに成ります。

最近のイラン報道を見ると、アフマディネジャド大統領と、宗教指導者のハメネイ氏の姿勢に否定的な感情を持ちますが、改革派に対して、イスラエルがエールを送っているのを知ると、パレスチナ問題とのかかわりを考えてしまいます。

パレスチナの開放=新たなイスラム国家の樹立では無いと思いますが、結果的には、そうなるようにも思えます。


NJさんはハマスを中心としたパレスチナの自治に賛成ですか?


私は、イスラエルの実効支配もダメだと思いますが、ハマス中心の自治にも賛成しかねます。
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第三者による統治? (NJ(関心から始めて))
2009-06-23 17:59:47
パレスチナの将来については、なかなか見通しがたたず残念ながら世界が悲観的なのではないかと思います。当事者同士の対立の根が深く、いずれも(特にパレスチナ側)内部に問題をかかえています。

少なくともこれ以上状況がひどくならないため、イスラエル側を牽制し釘をさすことができれば、ということしか今は思い浮かばないです。ハマスがパレスチナ人全体を代表しているわけではなく、西岸に移ったアッバス議長も同様です。

もし、将来二カ国併存の解決策ができたとしても、当座は国連など第三者がパレスチナ人の自治政府に代わって統治していくしかないのではないかと思います。
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