わたしにも朝が来ているおのずから 力ずくなら来なかったはずを 薬王華蔵
*
夜が明ける。寝室の障子が白む。窓を開ける。雲の色が七変化して行く。夜の次には朝が来ることが分かる。分かるだけではなく、事実わたしが朝を迎えている。おのずからに朝が来る。それを有り難く思った。
*
嬉しいことはもはやそう多くは訪れてこない。世間からちやほやされることもない。栄達もわたしのことではなくなった。いや、用のないわたしには振り向いてくれることもなくなった。隠れ者でいるしかない。だが、朝が、わたしに来ているではないか。力ずくで来らせも来なかったはずの夜明けがわたしにも訪れている。
*
わたしにもはや嬉しいことなど望むべくもないと思っていて、その傲岸不遜、横着の鼻っぱしらを叩かれたように思った。朝が来ることを嬉しいことの一番に置いてもいいと思った。何が嬉しいか、朝は誰にでも来ている。そうかもしれない。しかし、それを今朝は晴れ晴れと嬉しく思うことができた。
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夜が明ける。寝室の障子が白む。窓を開ける。雲の色が七変化して行く。夜の次には朝が来ることが分かる。分かるだけではなく、事実わたしが朝を迎えている。おのずからに朝が来る。それを有り難く思った。
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嬉しいことはもはやそう多くは訪れてこない。世間からちやほやされることもない。栄達もわたしのことではなくなった。いや、用のないわたしには振り向いてくれることもなくなった。隠れ者でいるしかない。だが、朝が、わたしに来ているではないか。力ずくで来らせも来なかったはずの夜明けがわたしにも訪れている。
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わたしにもはや嬉しいことなど望むべくもないと思っていて、その傲岸不遜、横着の鼻っぱしらを叩かれたように思った。朝が来ることを嬉しいことの一番に置いてもいいと思った。何が嬉しいか、朝は誰にでも来ている。そうかもしれない。しかし、それを今朝は晴れ晴れと嬉しく思うことができた。