我に我が空あり夏の 風放ち風放ちつつはろばろとして 薬王華蔵
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わたしの空だのあなたの空だのとあるわけはない。しかし、見ている分の空は、我が空のように見えて来る。不思議だ。此処までがわたしの空で、その向こうからはあなたの空である、なんてことはないのだが、決してないのだが、わたしが見ていない空はそこに存在していることはできないかもしれない。それで、わたしは存在させるための役割を担って空を見ている。夏空を見ている。爽やかな。爽やかでありうるために、夏空は風を放ち風を放ちして、何処までも何処までも広がっている。それがみんなわたしの空である。それを許容してくれている。空がそうであるならば、わたしもそれに倣おうではないか。