遊びましょ/と言って来るのは/春と春の空
春の空は/高いところから/するすると下りてきて/腕を組んでくれる
春は/霞を連れて来て/こっちへおいで/こっちへおいでと/誘ってくれる
遊んでくれる春と春の空は/日長/わたしに/限りなくやさしい
明けましておめでとうございます/春ですね/回り一面/とうとう春ですね/
野原を転げ回っているのは 春の風と瓜坊たち
遊びましょ/と言って来るのは/春と春の空
春の空は/高いところから/するすると下りてきて/腕を組んでくれる
春は/霞を連れて来て/こっちへおいで/こっちへおいでと/誘ってくれる
遊んでくれる春と春の空は/日長/わたしに/限りなくやさしい
明けましておめでとうございます/春ですね/回り一面/とうとう春ですね/
野原を転げ回っているのは 春の風と瓜坊たち
7
わたしが所有しているものは/みな/これはいただいたものばかりです/わたしが造り出したものはありません/これはいただいたものばかりです/
いただいたものが/みな/掛け声を合わせています/「どうぞどうぞ」「どうぞどうぞ」「手前を有効に使い切って下さい」という掛け声をしてくれています/そして/総掛かりでわたしを向上させようとしています/
6
わたしが向上をしていくために必要なものは/みな/揃えてもらっています/一つ残らず揃えてもらっています/それを使って/使い切って/わたしは向上をしていけばいいことになっています/条件は完備されているのです/はたしてわたしはそうしているか/条件が揃ったという段階で/ストップしてしまっているのではないか/
5
いただいているものは/それを大切だと認めて/十分に活用してこそ/それに価値を与えることができます/それを有効に使い切ってこそ/届け主によろこんでもらえます/わたしはそうしているか?/そうできていないのではないか/粗略に扱っているのではないか/その疑問が深まります/
4
わたしはいのちをいただいています/肉体をいただいています/こころをいただいています/感情をいただいています/魂をいただいています/悲しみをいただいています/よろこびをいただいています/苦しみをいただいています/どっさりどっさりいただいています/
3
誰からいただいているのか/それがよく分かっていないのです/それが分かっていれば/もう少し手の打ちようもあるはずです/名札を貼って「誰々から」と書き込んでいれば/お礼の言いようもあったのです/
2
せっかくいただいているのに/いただいているものを/粗末に扱っていることもあります/疎かにしてしまっていることもあります/押し入れの奥の奥へしまったままということもあります/申し訳のないことであります/
1
いただいているものが/たくさんあって/いただいているということも/失念していることがあります/申し訳のないことであります/
「七草粥」 薬王華蔵
生きていると思わせるためには
どうすればいいか
はい わたくしめは
台所の鍋に
詩を落としてしばらく火を入れます
詩はとろりとした七草粥になります
生きているのに
生きていると感覚する器官が
放り出された青野菜のように萎縮し
全体の水気までが失せていて
これじゃあなんともまあ
見下ろしている尊いわたくしさまに
すまいのです
「わたくしの尊いわたくしさま
すまないことでありました」と
言葉の水の数滴を鍋に落とします
するとそれが新春の粥になります
さらさらさらの三分粥ですが
わたくしのそのわたくしさまが
春を迎え新しい潤いを取り戻します
(20字x20行)
*
お昼ご飯の後に新聞を開いて見ていたら、わたしの名前が見えた。おおおおっ、今日が発表の日だったんだあ。
この作品が新春読者文芸大会の佳作に入選していた。1席2席3席、それから佳作である。わたしのはその佳作3位。だから全体では6位ということになる。わたしのは、詩のタイトルと名前とが載っているきりだったが、それでも嬉しかった。
*
読み直してみた。ううん、ちょっと堅かったかなあ。こちらの言いたいことが、相手に伝わりにくかったかなあ。反省した。
でも、西日本新聞社の読者文芸となると投稿者は多いはず。そこで入選したんだから、いいじゃん。嬉しがってもいいじゃん。
即興詩 「いつも仲良し」
わたしに/こんにちはを言ってくれるのは空/青い空/
わたしに/こんばんはを言ってくれるのは/星空/
わたしに/おはようを言ってくれるのは/明るい東の空/
機嫌がいいときには/遊びましょ/とも言ってくれる/
空は/いつもいつも/わたしから/目を離さないでいてくれる/