「さがんぼの煮つけ」
主な伝承地域 栃木県全域
主な使用食材 サガンボ(アブラツノザメ)
歴史・由来・関連行事
海なし県栃木では、冷蔵庫が普及する以前、海の生魚といえばサガンボ(アブラツノザメ)やモロ(ネズミザメ)と称されるサメ類を食べた。サメは、体の中に尿酸を蓄えており、命が尽きると尿酸が分解しアンモニアへと変化して腐りにくくなり保存が利くからである。
栃木県内で流通したサガンボは、もともと北茨城の漁港で水揚げされたもので、漁港では高値で売れるヒレや皮を取り除き、紡錘形になった身の部分を内陸の栃木県に出荷した。「サガンボ」という特徴的な名前は、北茨城から栃木県北東部あたりの方言で、紡錘形の氷柱(つらら)のことをさがぼうとかサガンボと呼ぶことが由来。江戸時代に全国の方言をまとめた『物類称呼(ぶつるいしょうこ)』によると、サメについて「下野国宇都宮周辺にてはさがぼうとよぶ」との記述があり、栃木県でサメを食べるようになった歴史は古い。
食習の機会や時季
日本近海でも比較的寒い地域での漁獲量が多いとされるアブラツノザメは、一年中漁獲されるが、特に12~2月のものは身のしまりがよい。「さがんぼの煮つけ」は、かつては冬の定番料理であった。一晩おいて出来上がった煮こごりも美味とされる。現在では栃木県内全域で親しまれているが、大田原市周辺では正月などの「晴れの日」の料理としても食卓を賑わせる。
飲食方法
サガンボの切り身を、醤油、砂糖、みりん、酒を合わせた調味料で10分ほど煮込む。最後に千切りにしたしょうがをのせる。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
県内の店頭では、「アブラツノザメ」の切り身が「サガンボ」「むきサメ」という名で日常的に販売されており、煮付けやフライなどの料理として家庭で食されている。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/31_5_tochigi.html より
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