「月の雫」
主な伝承地域 甲州市、甲府市
主な使用食材 砂糖、甲州ぶどう
歴史・由来・関連行事
「月の雫」とは、山梨県のぶどうを代表する品種「甲州ぶどう」の粒に、砂糖を練り上げた白い蜜を一つずつかけてコーティングした手間暇をかけた郷土菓子である。固まった蜜が、甘くほろっとほぐれる食感と、「甲州ぶどう」特有のみずみずしい甘酸っぱさが絶妙の組み合わせになっている。「甲州ぶどう」は、高温の蜜にも耐えられるほどの皮の厚さががあり、また適度な酸味がこの菓子に向いているとされる。「月の雫」の由来は、江戸時代、甲府市にあった和菓子店で砂糖を煮詰めていたところ、近くにあったぶどうが一粒落ち、それが冷えて固まりできあがったともいわれる。江戸時代末頃に出版されたガイドブック『甲府買物独案内』にも、数軒の菓子店で「月の雫」が売られていたこと、『甲斐名所寿古六』にも「極製月の雫」として描かれるなど、すでに甲州の銘菓として知られていたことがわかる。山梨県の銘菓として歴史が深く、今なお人気も高い。
食習の機会や時季
新鮮な「甲州ぶどう」のみを使うため、毎年9月下旬から12月、製造元によっては翌年3月あたりまでの期間限定となっている。
飲食方法
ボウルに砂糖と水を入れ強火で加熱し、砂糖が溶けるまでしずかに混ぜる。大きな泡が小さな泡になり112度か114度位まで加熱すると糸を引く程度の粘着力が出てくるので火から下ろし、ボウルを水につけ40度になるまで冷やす。冷めたらすりこぎで力いっぱい練ると月の雫の素(フォンザン)が仕上がる。フォンザンを小鍋にとり200度に設定したホットプレートにのせ、溶けてきたら温度を160度から180度位に下げ、長めに切りとったぶどうの軸をピンセットで持ちフォンザンをくぐらせ、クッキングシートを敷いたバットに取り出す。冷えたら軸を切りとる。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
山梨県が次世代への継承に取り組んでいく郷土食176品目「やまなしの食」のうち、さらに代表的な47品目としてしぼられた「特選やまなしの食」に選定されている。いくつかの和菓子店で製造販売されている。県外からも通販などで購入できる。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/tukino_shizuku_yama_nashi.html より
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