「おばく」
主な伝承地域 峡東地域、峡南地域、富士・東部地域
主な使用食材 丸麦、米、じゃがいも、大根、金時豆、さつまいも、里芋
歴史・由来・関連行事
「おばく(お麦・御麦)」は、大麦の皮を剥いた丸麦を一晩水に浸し、じゃがいも、さつまいも、大根、里芋などの野菜類や、あずきや金時豆などの豆類などを入れ、たっぷりの水で柔らかめに炊いたものである。すり鉢で煎りゴマ、味噌を入れてすり、水で溶いた冷や汁をかけて食べると口あたりが良く美味しい。稲作がしづらい山間部では、米は祝いの日の貴重な食べ物であったため、麦が日常的な主食となり長年親しまれていた。昔は大きな”かまど”で、焦げ付かせないように絶えずかき混ぜながら一日中煮ていたため、大変重労働であった。「おばく」自体には味付けされていないので、ねぎやカツオ節を加えた味噌や醤油の実をつけて食す。とろとろしたなかに丸麦のぷちぷちとした触感が好まれている。一般には丸麦を使った場合は「ばく」、押し麦を使った場合は「麦飯」と区別されている。丸麦は食物繊維やミネラル、ビタミンが豊富で「五穀の長」とも呼ばれる程の栄養食であり、山間部の厳しい気候や重労働がともなう生活のなか、地元民の健康を支えていたといわれる。
食習の機会や時季
主食として通年食されている。
飲食方法
前日のうちに3~4時間程度水に浸した丸麦を炊飯器で炊いておき、金時豆も前夜から水に浸す。米を研いで水に浸す。金時豆を鍋に入れ水3~4L位で煮立てておく。大根を厚さ2mmの短冊切りにする。里芋、じゃがいも、さつまいもを約1.5cm程の角切りにして食べ頃にゆでておく。金時豆が煮立っている鍋に大根と、丸麦を加え、焦げないように時々混ぜる。金時豆、大根がやや柔らかくなったら米と水をすべて鍋に加える。米が柔らかくなり、混ぜると鍋底が見えるようになったら里芋、じゃがいも、さつまいもを加えて仕上げる。味噌、薄切りにしたねぎ、花カツオ、砂糖を混ぜ、ねぎ味噌をつくり、「おばく」につけて食べる。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
山梨県が次世代への継承に取り組んでいく郷土食176品目「やまなしの食」のうち、さらに代表的な47品目としてしぼられた「特選やまなしの食」に選定されている。現在も主食として食している家庭や、定番メニューとして提供している飲食店もあり、長寿の秘訣としてたびたびメディアで紹介されている。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/obaku_yama_nashi.html より
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